スタン・リー×ボンズ New ヒーロー!『HEROMAN』プロデューサー 南 雅彦さんインタビュー

スタン・リー×ボンズ New ヒーロー!『HEROMAN』株式会社ボンズ 代表取締役・プロデューサー 南 雅彦さんインタビューしてきました!
 


(編集部):4月1日から放送されている『HEROMAN』。『スパイダーマン』などの原作者スタン・リーとの企画ですが、どのような形で決まったんでしょうか?


南さん:私がサンライズ時代に『カウボーイビバップ』という作品をWOWOWで放送していたんですが、その時のWOWOWのプロデューサーの方がWOWMAXの海部さんで、今はWOWOWを辞められて海外を拠点に映像ビジネスに携わっているんです。で、その方が日本に帰国した時は情報交換をしていて。いくつかアメコミのアニメ化の話は頂いてたんですが、実はあまり僕自身興味が薄かったりしていて。日本の手描きアニメーションと、アメリカンコミックスのテレビ用アニメーションの合致にピンとこなかったというのもあるんですが。そこに今回のスタン・リーが「日本のアニメスタジオと新しいものを作りたい」という話がでてきたんです。それからスタン・リーと会い、「HEROMAN」という原案を聞いて、単純に作品性、ビジネス両面で興味を持ちました。海外での日本のアニメーションは『ポケモン』だったり『遊戯王』だったり、いわゆる「カートゥーン」のカテゴリーは受け入れられている印象はあると思うんですが、われわれのスタジオが作っているアニメーションになると極端に市場が狭くなってしまう。そこで、スタン・リーと組むことでその壁を乗り越えられないかとも思ったんです。
(編):スタン・リーと組むことでの苦労などはありましたか?
南さん:最初、スタン・リーからもらったストーリーは、TVシリーズにすると9話分だったんですよ。でも、まずはその9話を構成してみようと。日本としては「これはキャラクターに語らせるべきセリフだ」と思っていても、向こうは必要ないと思ってたり、ドラマやセリフの組み立てにしても向こうとの考え方の違いはありました。でも何度もミーティングを繰り返す中で、フィルムのスピード感、ドラマの展開、キャラクターの造形などスタン・リーがHEROMANというヒーローをどう扱いたいのかだったり、彼の求めているものというか、やりたいことがつかめてきたんですね。そこから先は、こちらからアイデアを出したり、向こうにもアイデアを出してきてもらったりして、どんどんストーリーを膨らませていくことができましたね。
(編):日本と海外、双方のマーケットでどう成立させるかがポイントになりますが。
 
南さん:やっとスタートしたばかりですが、『HEROMAN』というタイトルでもありますし、世界中のヒーローになってほしいと思っています。
(編):スタン・リーの作品だけに、これから先のジョーイの心の葛藤にも期待がかかります。ジョーイの家族構成も『スパイダーマン』の主人公同様、おばあちゃんと住んでいたりしますね。
南さん:もちろん詳しくは話せないですが(笑)。ジョーイにはジョーイなりの「ヒーロー像」というものがあるんです。そこで困難に実際対峙した時に感じるギャップなんかも心の葛藤として描かれていくことになると思います。スタン・リーには「様々なハンディを持った主人公が、それを乗り越えていく力が生きていく力になっていく」という共通のテーマがあるんでしょうね。ジョーイだけでなく、友達のサイにしても松葉杖の生活を余儀なくされていて、でもそれをハンディと感じさせない感じのいい兄貴分に描いています。
(編):サイは影のある良いキャラクターですよね
南さん:スタン・リーはサイのキャラクターをとても気に入ってくれたんですよ。いわゆるスタン・リー的な主人公で中性的なジョーイのキャラクターとは対照的に、強そうなサイのキャラクターはバランスがとれていると思っています。
(編):ヒーローマンの造形は日本側で作ったんですか?
南さん:そうですね。最初にコヤマ氏に描いてもらったデザインはもっとスタイリッシュだったんですが、スタンから、もっと重量感がほしいというオーダーをもらい今のデザインの方向性で進めましたに。第1話にスタン・リー自身が喫茶店のお客で出ていますが、スタンのキャラクターデザインに関しても、「おれはこうじゃない」とか結構注文来たりしましたね。これからも画面に登場しますので探してみてください。
(編):ちなみにオモチャが雷に打たれてHEROMANになったということについて、今後説明はあるんですか?
南さん:たぶんありません。スタン・リーのメモにもなかったですから。でもみんな疑問に思いますよね。実は私達スタッフも何かリアリティのある設定を作らなければといくつかアイデアは起こしたのですが、それをスタン・リーに見せたら「必要ない」って。彼の中では、「ヒーローを求めるジョーイの気持ちが壊れたおもちゃに宿って、それがヒーローになった。」で充分なんですよ。とはいえ、雷に打たれて誕生したということについては、私達スタッフの拠り所として共通の考え方は持っていたりはします。でもこれを作品では描くつもりはないんです。作品を最後まで見てもらえば、「ジョーイの気持ちが、HEROMANを作りだした」という設定が納得してもらえると思っています。
(編):ボンズとして、今後の作品はどんなものを作っていきたいですか?
南さん:今回の『HEROMAN』もそうですが、ここまでロボットものというジャンルで、ボンズのオリジナルのものを出せていると思います。今後もその「ボンズのオリジナリティ」にはこだわっていきたいと思っていますが、原作モノやジャンルの違うものでも、クリエイターたちが描きだしていきたい、というパワーのある作品を、手がけていきたいと思っています。
(編):最後に『HEROMAN』をこれから見る方に一言お願いします
南さん:ストレートなお話なので、今からでも是非、観てください。ストレートな題材ながらも、主人公のジョーイを通じて、勇気、ヒーローという、人間にとって大事なものを感じて、考えていただけたらと思います。素直な気持ちで見ると、きっと壮快感を感じてもらえると思いますし、とくにHEROMANの目ヂカラは強力です。若くて力のあるアニメーターが多くの時間をかけて作った作品ですので、アクションも楽しんでもらえます。ジョーイをはじめスタン・リーの描く魅力的な新しいキャラクターが、これからもどんどん出てくるのでお楽しみに。HEROMAN!GO!
 『HEROMAN』
テレビ東京系列6局にて、毎週木曜夕方6時より放送中
スタッフ
原作 / スタン・リー 
監督 / 難波日登志 
シリーズ構成 / 大和屋暁
キャラクターデザイン / コヤマシゲト 
クリーチャーデザイン / 武半慎吾
チーフアニメーター / 川元利浩・富岡隆司 
美術デザイン・美術監督 / 近藤由美子
色彩設計 / 岩沢れい子 
撮影監督 / 木村俊也 
音響監督 / 原口昇
オープニングテーマ / TETSUYA「Roulette」 (Ki/oon Records)
エンディングテーマ / FLOW「CALLING 」 (ki/oonRecords)
音楽 / METALCHICKS・MUSIC HEROES
アニメーション制作 / ボンズ
キャスト
ジョーイ / 小松未可子 
サイ / 木村良平 
リナ / 小幡真裕 
デントン / チョー 
ウィル / 保村真 
ゴゴール / 石塚運昇
[公式サイト] 
(C)B・P・W / ヒーローマン製作委員会・テレビ東京 

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