「シン・ゴジラVR」先行体験会レポート!樋口真嗣特技監督・東宝 佐藤善宏プロデューサーが登壇!

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8月3日にソニーインタラクティブエンタテインメントにて「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation®VR 特別先行体験会」が開催された。

イベントでは、本作でメガホンを取った樋口真嗣監督とプロデューサーの佐藤善宏によるトークショーも実施。トークショーはいくつかのキーワードに沿って自由に喋っていただくというゴジラファン必見のプレミアムな内容となっていた。

[取材・文:畑史進]

■キャスティング
今作品には329名にも及ぶキャストが出演しており、その中でも学者3人が出てくるシーンやキーパーソンは皆、映画監督だという小ネタから始まった。その上、普段映画を取る立場である自分たちが何度も最後で詰まった結果30テイクに及んで大変だったと笑いながら撮影時を振り返った。メインの役者たちはほぼ一発撮りで、庵野総監督の“こだわり”が発動する以外はほとんど撮り直しはなかったと話し、台詞に関して樋口監督は「感情があまりなく専門用語が多い台詞で非常に覚えづらいと聞いていて、それでもちゃんと覚えてくる役者は凄い」と称賛。「膨大な量のセリフを覚えられる役者は忘れることができるから覚えられる」と話すと、昨日のシーンをもう一度『引き絵』で撮りますという指示が庵野総監督の指示が出た時にキャストが一斉に「もう忘れちゃったよー!」と言いながら控室に戻って必死に台詞を覚え直していた事があったと申し訳無さそうに振り返った。公開後に話題になった野村萬斎のキャスティングについて、樋口監督は「日本で作る作品なんだから日本らしさを出したかったんです。以前、「のぼうの城」という映画で仕事をしたことがきっかけで、萬斎さんの狂言を見せて頂いたんですけど、そのときのテーマが『人間と山に住む得体のしれない者』という掛け合いのお芝居で、人間ではないものを体で表現していたんです。それを見ていたら「あ、萬斎さんいけるんじゃないかな?」と思って連絡しました」と樋口監督直々のオファーだったことが判明。ゴジラを演じている野村氏の様子を「まるで降霊術を見ているようだった」と振り返り、「ただのCGではなく本物っぽい魔物に近いものが欲しくて、それを演じられるのは萬斎さんしかいなかった」と改めて強調した。

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■撮影現場
樋口監督はモーションキャプチャー収録時に野村氏の要望で「ゴジラのお面」を製作したという話を披露し、「お面を被った先を意識してそこが『顔』になるようにする」と野村氏から注文があったことを明かした。さらに、尻尾の長さと重さを表現するために尻尾も製作したと、ゴジラを演じることに対して非常に前向きだったと佐藤プロデューサーも嬉しそうに話した。撮影現場のエピソードでは、佐藤プロデューサーは「本来ならプロデューサーとして手厚くお迎えしなければならないようなベテラン俳優の方々がいっぱいいるんですが、会議室など大人数が動くシーンが多くて、そんなことやってられないような現場でしたね。長机を用意して『自由に座ってください』としか対応できませんでした(笑)普通だったらありえない人数に集って頂いたので・・・。それでも皆さんプロなので、すぐに自分の役に入って頂けました。もうあの人数を集めてスケジュール調整するのは大変だからもう嫌ですね(笑)」としみじみと当時の苦労を話した。樋口監督は「役者さんは「見られる」という仕事じゃないですか。見られるということにすごく神経質になっている人たちなんです。後から『今のシーンどうだった?』と訊かれると、(人数が多すぎて)見てなかったですなんて言えないわけですよ(笑)」と当時の苦労話を披露した。また、樋口監督は出演者たちの間で「早く台詞を喋らないとカットされる」という噂が実しやかに流れていたことを明かし、佐藤プロデューサーは「誰もそんなこと言ってなかったんですけど、先のことを考えるとそれも良いかなと思ったのであえて「そうです」と言ってました(笑)」とコメントし会場の笑いを誘っていた。

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■ゴジラのデザイン
本作品は118.5mというシリーズ最大のサイズで、そこに至るデザインのこだわりについて、佐藤プロデューサーは「東宝にはゴジラのデザイン関する最低限守るべき掟というのがあり、それ以外は細かいことは言わず、庵野さん、樋口さんには大きさも含めて自由にして頂きました」とコメント。さらに今作は「「人が入るという考え方をやめませんか」という提案があったので、それは是非というところでスタートしました」と話した。樋口監督は「初代より後の作品は怪獣と戦うためのデザインなので人間的になってきてるが、今作は東京を滅茶苦茶にする存在だからデザインも初代に近くなった」と話す。「腕の小ささについてよく聞かれますが、初代がそういうデザインだし、二足歩行の恐竜はそもそも手が小さいんです。昔のように着ぐるみに人が入るとどうしても腕が大きくなって人間ぽく見えちゃうんです」とデザイン性について細かく説明した。佐藤プロデューサーも「VSシリーズや、平成のゴジラシリーズもどうしても人間的な可愛さがちょっと残っていたので、今回はそこも一度すべて忘れましょうということになりました。ゴジラは恐怖の象徴としてのデザインにしたかったんです」とまとめた。

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■本作のこだわり
本作品へのこだわりを尋ねられると樋口監督は「ゴジラ以外は実際に存在するものしか出てきません。自衛隊もきちんと行動の全てに統制が取れているので、攻撃するときすぐに「撃てー!」とかは言わないわけです。今までの本物らしく見えればいいという考えではなく、本物ならどうなるかをきちんと調べています」と本物作りを徹底したと明かした。庵野総監督も映画で何かを使う際に、その要素が本当かどうか曖昧な答えだったら、シーン丸ごとカットをするという徹底ぶりであることが佐藤プロデューサーから明かされた。映画に登場する首相官邸のシーンも実際に見学して調査したが、撮影や測定が許可されなかったので、美術チームが歩幅や、バッグの長さから測って再現したとスタッフたちのこだわりを話した。また、官邸地下の非常時に使われる危機管理センターには入ることが出来なかったので、有明にある同様の機能を備えた施設を代わりに使用したと話したが、そこを使う際には「非常時は30分で撤収」という規則があったため、そのための撤収の練習を徹底したという苦労話を話した。

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ここで、ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア ソフトウェアビジネス部 次長 制作技術責任者 秋山賢成氏がステージに登場。今回の目玉である『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation VR”の話に。

秋山は「PSVRを東宝さんに体験して頂いた際、VRでゴジラの体験を拡張した表現ができないかと仰っていただけました。」と今回の企画がスタートした経緯を明かした。佐藤プロデューサーは「映画業界としてはVRは脅威と感じていて、映画は見せるコンテンツですが、VRは見たいものを見られる。これを同じコンテンツでやられたらどうなるだろうと思いました。お互いに相乗効果もあるでしょうが、どこかライバルのようなところも出てくるだろうと、今回のコラボは挑戦的だなと思いました。」とコンテンツ展開の側面を話し、それに対して樋口は「どういうアングルで物を見せるのか、一つの絵ではなく複数の絵を続けて見せていく映画に対して、映画のように見えて映画では絶対に出来ない体験はVRが持っていて、映画のような事は絶対にできないという面白さがある。全く違う体験のジャンルでFPSに代表されるゲーム的なものをいかに広げていくかがポイントである」とそれぞれの立場で分析した。さらに映画製作の話に移って「アンリアルエンジンの現実に近い綺麗さを映画でも欲しいし、予めCGでラフなスタジオを作ってアングルを作ることをしているが、VRでも同じようなことがしたい」と話してVRを使った新たな映画製作の可能性の道を語った。

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更にゲーム以外のVRの広がり方について訊かれると、秋山は「自分が入ってしまったような体験が出来ることは新しい表現であって、それはゲームでは出来ない表現であり、距離感の体験や行ったことのないような体験ができるので、ゲーム以外の表現ができることに期待している」と話し、そこから今回のシン・ゴジラのVR体験に話が移るとゴジラ史上最大の体型をVRで如何に再現するのかということに試行錯誤を重ね、映像だけではなく足音にもこだわり、特別体験会の前日まで調整を重ねていたことを話した。佐藤はシン・ゴジラのVRに対して「映画では118mを見上げるというのは映像的にカメラを振りあげるという作業が非常に難しいのだが、自分の動きで体感できるVRは描ききれている」と話した。

最後に会場の皆が楽しみにしている「シン・ゴジラVR」の感想を尋ねられると、秋山は「映画で使っているCGをそのまま使っているので満足行く体験になると思う。ゴジラの表現で守らなければいけない掟も東宝監修の元、守っているので心ゆくまで楽しんで欲しい」と話した。佐藤は「今回はデモで欲を言えばもう少し欲しい物もあるが、よく表現されているので、これで映画が作れればどうだろうと思う。まだ体験していない樋口監督の反応が楽しみ」だと話した後早速、まだ体験していないという樋口の公開初体験が実施された。「東宝マークから始まるのね」と実況を始め、「おぉ~!おぉ~!」と感嘆を漏らして非常にご満悦の様子だった。

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最後にPSVRの「シン・ゴジラ」を楽しみにしている全国のゴジラファンに向けてのメッセージとして佐藤プロデューサーから「今回のVRで体験できるゴジラは新しいスタートだと思います。シン・ゴジラも新しい視点で作り上げたものなので、それぞれがいいスタートが出来て新しい時代を生み出せればと感じています」と話した。一方、佐藤のコメント中そっちのけでPSVRが気になって仕方がない様子の樋口監督は「欲しい!前に試した時よりもヘッドセットが進化していて装着するときの邪魔臭さがすごく軽減されているし、調整も最小限になっている。メガネ族には嬉しい設計になっているので本当に欲しい。この間もAmazonの追加があったとき買えなかったから欲しいです!」というユニークなコメントで本トークショーは締めくくられた。

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■シン・ゴジラ VR映像体験会
早速PSVRを付けて映像を観ると、はじめは装着者の主人公である自分は東京駅丸の内駅舎側の道路の上で瓦礫に足を潰されて身動きが取れない状態となっていた。周りを見渡すと東京駅の駅舎と丸ビルと新丸ビルが壊れてはいるが、非常にリアルに再現されていた。その後頭上を見上げるとゴジラの尻尾が見えて、その次の瞬間、東京駅駅舎の象徴的な屋根からゴジラが顔をのぞかせたのだ!自分の頭上に自衛隊のヘリが次々に到着し、ミサイルを打ち込むとゴジラは当然そちらの方向に向いてくる。ゴジラは自衛隊のヘリに向かって歩いてきているのだが、必然的にこちらにも近づいてくる・・・

というところでここまでにしたい。あとはPSVRが発売された後のお楽しみということで是非期待して待っていただきたい!

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