『よだかの片想い』 安川有果監督×北條誠人(ユーロスペース)対談レポート

 

【以下プレスリリース文掲載】

 

 

ミニシアター、映画好きのためのオンライン・コミュニティ「ミニシアタークラブ」では毎回様々なゲストをお迎えして映画、映画館にまつわる様々なお話をしていただいております。

昨年の第34階東京国際映画祭「アジアの未来」部門正式出品作品である『よだかの片想い』が9月16日(金)より全国公開となります。今回は、監督の安川有果さんをお迎えして、制作の経緯から作品に込めた想いまでお話をお伺いいたしました。

 

【当日トークレポート】

本作『よだかの片想い』の制作経緯をお聞かせください。

安川監督「元々は、主演の松井玲奈さんが、原作者の島本理生さんが好きで、島本さんの作品の中でも、最も気にいられていたのが「よだかの片想い」なんです。アザのある女性を扱った映画ということで躊躇する会社も多い中、なんとか固まってきた時に、お声がけをいただきました。」

北條支配人「原作は結構ドロドロしてるんですか?」

安川「顔にアザのある女性の話なのですが、彼女を可哀想だったり、悲劇的には描いてなくて、私の印象ではあくまでも青春ドラマというか割とポップな印象を受けました。もちろんドロドロとした部分もありますが。彼女がイキイキと描かれているのがいいなと思いました。」

 

 

飛坂という映画監督のキャラクターが難しいと思ったワケ

北條「キャスティングは、すでに松井さんが決まっていたと思うんですが、それ以外の方の配役についてお聞かせください。」

安川「松井さん演じる主人公が憧れる映画監督(飛坂)の描き方が難しいと思いました。アイコの初恋の相手として魅力的な人でありつつ、同じ映画監督としては、つい疑いの目で見てしまいます。」

北條「疑いの目!?」

安川「小説では、映画監督が「憧れの人」「向こう側の人」として扱われていましたが、自分からしてみたら【こっち側】の人じゃないですか。人の人生をフィクションで扱うことへの自覚がどれくらいあるのかとか、つい飛坂を問いただしたい気持ちにかられてしまって。そうゆうところはきちんと描きつつも、魅力的な人物になるようにバランスを意識しました。そのバランスが崩れるとものすごく気持ち悪い人物にもなるし、、、、と思っていたところに中島歩さんが登場してくれて!スタッフ内でも絶対、中島さんがいいと盛り上がりました。物語は、主人公のアイコの手記を映画化したいと中島さん演じる飛坂という映画監督が申し出るんですが、その設定はなかなか際どいなと。映画化したいというお仕事の話と男女の恋愛の話がオーバラップしていくので。」

北條「あ〜、なるほど・・・」

安川「なんだかスレスレのことを扱ってるんだなとものすごく怖かったです。イノセントな二人の恋愛ものでありつつも、それだけではないと言いますか」

ミニシアタークラブ運営「そうゆう意味では、飛坂は結局は恋愛よりも映画が恋人だったってことでしょうか!?」

安川「そのことすら、映画監督の飛坂はわかってなさそうなところも面白い部分だとは思うんですが。」

 

脚本・城定秀夫とのコラボレーション

安川「ご一緒できて本当に勉強になりました。小説を映画にする構成の力だったり、一人称で語られている内容を映像に置き換える力だったり。城定さんのお力を借りてやってみたかったことにもチャレンジでき、感謝しています。」

 

作品の反響について

ミニシアタークラブ運営「マスコミ試写などの反響はいかがですか?」

安川「恋愛映画と謳っているんですが、映画内で扱われている様々なテーマを敏感に感じ取って見てくださる方が多いと感じています。大人の女性の方から良かったと声をかけてもらえることが多いことに手応えを感じています。大人の女性が見て満足できる日本映画は少ないんじゃないかと思っていたので」

 

制作中のエピソード、別れ際のパワーのあるセリフ

安川「作中で、アイコが飛坂との別れ際にあるセリフを言うんですが、このタイミングでなぜそれを言うのかがわからなくて、躊躇しました。同時に、わからないんだけど鬼気迫るような迫力を感じたので、えいっと採用したら、とてもいいシーンになって」

北條「それは、本編見てからのお楽しみですね。」

 

安川監督、北條支配人

 

 

公開に向けてのメッセージをお願いします

安川「初めはアザの設定に注目をして見られると思いますが、映画を見ていくうちにそれが気にならなくなっていることに気づくんじゃないかなと思います。顔は一番最初に目につく場所ですが、深くその人を知っていくと、顔に意識がいくことってほとんどなくなるんですよね。

 

初恋によって生まれる葛藤だったり、人の実人生をフィクションで扱うことの危険性であったり、女同士の連帯とは違うリスペクトの仕方だったり、色々なテーマが入り込みつつ、青春映画として楽しめる映画になっているので、ぜひ何か一つでも引っ掛かるものがありましたら、劇場に足をお運びいただけたら嬉しいです。」

 

監督・安川有果

1986年生まれ、奈良県出身。 2012年、CO2(シネアスト・オーガニゼーション・大阪)の企画募集で選出され、『DressingUp』

を監督。第14回TAMA NEW WAVE にてグランプリと最優秀主演女優賞を獲得した後、2015年に全国の劇場で上映され、第25回日本映画プロフェッショナル大賞の新人監督賞を受賞した。その後はオムニバス映画への参加や舞台作品などを経て、長編第2作『よだかの片想い』(2021)を監督。東京国際映画祭のアジアの未来部門に選出される。

 

 

 

『よだかの片思い』作品概要

9月16日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開 キャスト 松井玲奈、中島歩 藤井美菜、織田梨沙、手島実優、青木柚、池田良、三宅弘城

原作:島本理生 監督:安川有果 脚本:城定秀夫

2021年製作/100分/日本 配給:ラビットハウス

公式HP:https://notheroinemovies.com/yodaka/

(C)島本理生/集英社 (C)2021映画「よだかの片想い」製作委員会

 

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