【連載コラム】畑史進の「わしは人生最後に何をみる?」 第7回 ネタバレなしで『ターミネーター:ニュー・フェイト』のお話を

【文・畑史進】

畑史進Twitter:https://twitter.com/cefca_vader?lang=ja

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉はもう死語になり、つい最近までうだるような暑さが続く日々が続いておりましたが、皆さんいかがお過ごしですか?
私ですか?
ここ最近は忙しいの度をこした訳のわからん日々に追われて生きるのが精一杯でしたよ。

さて今週公開の『ターミネーター:ニュー・フェイト』の話を少しだけ。
この映画ね、簡単に言い表すなら「アーノルド・シュワルツェネッガーの集大成」とでも言いますか、映画のあちこちにシュワさん(ちゃんなんて言えない!)の出演した映画のオマージュが隠れていてね、そこに白髪白髭のシュワさんが映るじゃない。「あぁいつシュワルツェネッガーもこの銀幕から身を引いてもおかしくない時になってきたんだなぁ」って観ているこっちが映画の内容とは別に頭を持っていかれるわけです。

映画の大半はマッケンジー・デイヴィス演じるグレースとメキシコ人のダニーが中心で、サラ・コナーはバックアップみたいな感じで参加する。まぁリンダ・ハミルトンも63歳だからあまり無茶なこともさせられないから仕方がない。
そのため、アクションシーンは古いIP作品の割にはバリバリで行うため、若い役者とベテラン役者で緩急がつけられて、いい塩梅になっているのも本作の魅力の一つ。

不満があるとするとね、今作の敵のターミネーター、ガブリエル・ルナ演じるRev-9 があまりにも強すぎる。

観ているこっちは、その強さに圧倒させられて終始ハラハラすするかと言うとそうでもない。むしろ、ネタ切れ感と対抗するT-800への同情心が折り混ざって複雑な気分になるの。
だって『ターミネーター2』で液体で何度も修復できるT-1000っていうチート野郎と死闘を繰り広げて、最後が溶鉱炉に叩き落とすという物理法則にかなった最善の方法で倒し方をしてしまったから、続作を作つくろうにもネタとバトルシーンの膨らませ方が無くなってしまったのよ。次にやるとしたら核爆弾くらいしか無い・・・。

でも、やっぱりT-800やサラ・コナーが20年近くの時を経て、再び銀幕の上でエゲツない殺人ドラえもんと戦うのは凄く興奮するし、展開も長いことシリーズを観てきた自分としては納得する部分が多かった。

それもそのはず、今作の脚本を手掛けているのは、デビッド・S・ゴイヤー。
彼は『バットマン・ビギンズ』『ダークナイト』や『コールオブデューティー』『ブレイド』など、アクションを主眼においた作品に携わってきていて、最近ではルーカスフィルムのゲーム部門「ILM×LAB」で制作された『ダース・ベイダー イモータル』っていうVRゲームの脚本まで書いた。このゲームもダース・ベイダーの立ち回らせ方がよくできていて、ダース・ベイダーとプレイヤーの関わらせ方も絶妙な具合にできていた。脚本家はお人形の一人遊び、一人チェスが匠に出来る人じゃないと面白い脚本は書けないもので、彼は「最高級の食材を最高級の料理」に仕上げることができる逸材だと思っている。

だってバットマンやスーパーマン、ダース・ベイダーそして今回はT-800やサラ・コナーだぜ?おそらく彼には「超一流IP」のキャラクターを任せられる信頼と安心感がハリウッドの方で定着していると考えても差し支えはないはず。彼の「『ターミネーター』を熟知している脚本」だからこそ、T-800やサラ・コナーの立ち回りが年月を経た現在に新しい歴史の1ページとして見せられても、腑に落ちるモノに仕上がっている。

今回はこんな短い感想に留めておしまいにするけど、最後に『ターミネーター:ニュー・フェイト』の邦題について言及しておきたい。

これの原題は『ターミネーター:ダークフェイト』だったんだけど、サブタイトルはちゃんと意味があって、「新しい運命」だとナンノコッチャかわからないし、映画の終わり方にそぐわないわけじゃないけど、「暗い運命」というサブタイトルのほうが遥かにしっくり来る。今回サブタイトルを「ニュー・フェイト」に決めた理由を1時間かけて記者会見で理由づけして欲しいよ。万人が納得する形でね!

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