第19回 『スラムドッグ$ミリオネア』

小宮山雄飛の東京DVDライフ 第19回 『スラムドッグ$ミリオネア』



文章/小宮山雄飛
画/黒木裕貴
今回は、アカデミー賞を受賞した作品を紹介いたします。




 
『スラムドッグ$ミリオネア』



 
なんかねえ、こうやって人にDVDを紹介するコラムだと、なんか気が引けますよね、
アカデミー賞受賞作品って。



「そんなもん、今さらキミに紹介されなくても知っとるわ!」


と言われそうで。



しかし!



やっぱり良いものは良い!ということで、あえて紹介させていただきます。



などと言いつつ、ぶっちゃけ僕全く前知識なく観たんですよ、この映画。


アカデミー受賞した、というくらいは聞いてましたが、誰が監督でどんな人が出てて、コメディなのかサスペンスなのかアクションなのか、全くなにも分からないまま観ました。



そして割と早い段階のシーンで、主人公が公衆便所(のウンチの中)に飛び込むシーンがあるんですが、そのシーンを観てピーン!と来ました。


「これって、トレインスポッティングじゃん!」



後に調べてみたら、これ『トレインスポッティング』と同じダニー・ボイル監督なんですね。


そうかそうか、そりゃーテンポ良くて面白いはずだ!



にしても、この監督はどんだけ人をトイレに飛び込ませれば気が済むんだ(笑)



ダニー・ボイルと言えば『普通じゃない』も最高に面白かった。もう53歳らしいんですが、とにかく若者の感覚を持った監督ですね。


そこら辺の若者よりよっぽど感覚的に若いかもしれない。



今回の作品でも、独特の影があるけどビビッドな色使いは、観てるだけでゾクゾクするんですよね。



さて、肝心のストーリーはネタバレになってしまうので、あえて触れないでおくとして、僕がすごく感動したのは最後の最後、主人公とかがいきなり歌って踊りだすシーン。


(これ本編の流れとは全く関係ないので、まだ観てない人もご安心を)



おそらくこれってインド映画へのオマージュだと思うんですよ。


最後はみんなで歌って踊ってハッピー!ハッピー!みたいな。



全然関係ないですが、『時をかける少女』も同じように、いきなりエンドロールで歌いだすんですよね。


両方とも、本編自体はどちらかといえば暗い作品なので、最後にこういうのがあると、一気に安心するんですよ。


映画っていくら重い題材を描いていても、やっぱりエンターテイメントであるべきだと思うんですよ、おそらくダニー・ボイルもそういう思いから付けたシーンじゃないかなと。


もちろんこのシーンがなくても、全然エンターテイメントではあるんですが、最後にこういうシーンがあると振り返って映画全体を笑い飛ばせる。


たぶんこの監督は、どんなに大作や重いテーマの映画を撮っても


「これはエンターテイメントなんだから、みんなそんな真剣にならないで笑ってよ!」
ていう監督からのメッセージなんじゃないかな。



そういう感覚があるから、真面目なシーンでもどこかジョークが効いてる。



そしてこの映画でもう一つ好きなポイントは、A.R.RahmanとM.I.Aによる音楽!


これもダニー・ボイル監督の作品に共通することですが、とにかくサントラのセンスが良い!


特にM.I.Aボーカルの独特な世界観は、この映画に一気に真実味を足してます。



なにしろM.I.Aの生い立ちは、父が反政府組織のメンバーで子供の頃生き別れとなり、スリランカでの内戦により親戚や友人を亡くし難民になり、その後全くの独学でミュージシャンになって大成功するという、言ってみればスラムドッグミリオネアそのもの!


そして、そんな生い立ちや政治的な背景を表に出しながらも、表面的にはドPOPな作品というところも、この映画とM.I.Aには共通する部分があります。



アカデミー賞受賞作品というと、なんか逆に重くて真面目そうなイメージがあって、意外と観ないでスルーしちゃうことも多いのですが、この映画は賞とは関係無く現代のPOPシーンを知る上でも必見の1本です!



小宮山雄飛(ホフディラン)

ミュージシャン
1973年8月14日生まれ
1996 年「スマイル」でホフディランのVo&Keyとしてデビュー。「遠距離恋愛は続く」「恋はいつも幻のように」「欲望」「極楽はどこだ」など、ヒッ ト曲を多発し、FUJI ROCK FESTIVALへの参加、日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、ライブでも活躍。日本のポップシーンにおいて根強い人気を誇る。デビュー以 来、シングル19枚、アルバム9枚(ベスト盤含む)をリリースしている。
絶賛発売中のニューアルバム『ブランニューピース』(DVD付き初回限定盤)に収録されている『恋人たち』『ニューピース』のPVでは、自ら監督を 務めるなど、多才な一面を持つ。2009年7月3日には、渋谷C.C.Lemonホールにて、デビュー13周年記念ライブを行い大成功!その模様を収録し たライブDVD『13年の金曜日』においても監督を務め、11月4日にライブCDとともに同時リリース、絶賛発売中! 
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZOへの出演も決定!
2010年7月3日(土)
ホフディラン ワンマンライブ
『14年の土曜日』
会場:SHIBUYA-AX
open 18:00 / start 19:00
チケット料金:3980円(ドリンク無し!)
ワタナベイビープロデュースDVD第3弾発売&自ら手売り
ゲスト:ゆってぃ / and more…
問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999
5/9からの一般発売に先駆けて、HP先行予約を受け付けます!
受付期間   4月19日(月) 12:00 ~ 5月5日(水) 18:00      
  ※専用URL http://eplus.jp/hoff-hp2/   
・ホフディラン HP http://hoff.jp/
・軟式ブログ http://blog.excite.co.jp/yuhi-blog/
・こむぞう http://comzo.cocolog-nifty.com/
・シコウヒンTV http://www.andsmile.tv/
・SHOOT UP http://www.shootup.net/

黒木裕貴(クロキユタカ)
東京生まれのイラストレーター。
CDジャケットや書籍・雑誌、アパレル等で幅広く活躍中。
また、影絵やコマ撮り作品をつくる映像作家としての顔も持つ。
official website http://www.kurokiyutaka.com/
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