映画レビュー ゾンビめった斬り!『ヘルドライバー』



「東京残酷警察」に続き、特殊メイクのトップランナー西村喜廣監督のゾンビめった斬りスプラッター映画。


父を殺した残酷な母リッカ(しいなえいひ)の魔の手から逃げるキカ(原裕美子)だったが、遂に「ゆうばり」の地で追い詰められた時に、突然リッカの胸を上空より飛来した謎の物体が貫く。
リッカはキカの胸から心臓をつかみだし、自らの胸に移植した。するとリッカの口から人間をゾンビにする死の灰が吐き出され、北海道、東北地方を汚染。政府は東北以北を壁によって隔離する。
壁の側で目覚めたキカは、政府の命により、元凶の母リッカを追う旅にでる。自分の心臓を取り戻す為、日本刀型チェーンソーで迫りくる様々なゾンビをなぎ倒しながら。
主役のキカにはファッションモデル出身の原裕美子。本作が初主演になる。八頭身以上のスタイルの良さで個性的なルックス。悪の権化、母親のリッカ役には「東京残酷警察」主演のしいなえいひ。キカを助けながら旅に同行するカイト役には「パッチギ!」で注目を集め「ライオン丸G」で主演した波岡一喜。過去のファンタジー映画へのオマージュシーンもいくつも散りばめられており、映画ファンは思わず「にやり」。このての映画にはパロディやオマージュは必須アイテムなのである。断崖絶壁へ向かうカーアクションは「インディージョーンズ」か、はたまた「トレマーズ」?!穂花が服を着たまま全身真っ二つもこのシーン。
この映画にストーリーの辻褄合わせは一切不要であり、「ゾンビの新しい殺し方」こそ、この映画の心臓部。ゾンビや血しぶきは半端ない程登場するが、手作り感のある味わい深い喜劇映画である。
とにかく、既成概念にとらわれず新しいゾンビ映画を作るにはどうすれば良いか?どうすれば観客を笑わせることができるか?!まるでアニメを実写化したような自由度はいまや日本映画の専売特許で、チープな描写が良い意味でパワーになっている。この約2時間にも及ぶ本作が、エンタメのひとつの回答なのである。
レビュアー:JJ堀尾
『ヘルドライバー』
(C)2010 SUSHI TYPHOON/ NIKKATSU
7月23日 銀座シネパトスほか全国順次公開
公式サイト:http://www.sushi-typhoon.com/jp/

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