映画レビュー ガールズ・ロック・バンドの内幕に迫った青春音楽ドラマ 映画『ランナウェイズ』

 

ロックは男のモノというイメージが強かった1970年代に突如現れた平均年齢16歳のガールズ・ロック・バンド“ザ・ランナウェイズ”の内幕に迫った青春音楽ドラマ。劇中でクリスティン・スチュワート扮する当時のメンバーであったジョーン・ジェットが製作総指揮を担当し、これまでにミュージック・ビデオを多数手懸けてきたフローリア・シジスモンディが初の長編映画監督デビューを飾った。

本国よりも日本での人気のほうが圧倒的だったザ・ランナウェイズ。日本でのライブのシーンも描かれており、リアルタイムでランナウェイズの曲を聴いていた日本人にとってはこのシーンが一番興味深いことだろう。

ダコタ・ファニング扮するシェリー・カーリーは、かの有名な篠山紀信によってグラビア写真を撮影してもらったこともある。劇中ではシェリーが日本人カメラマンに撮影されるシーンが観られるが、恐らくこのことだろう。このように雑誌のグラビアを飾るシェリーを他のメンバーは面白く思わない。音楽よりもシェリーのセクシーさが一人歩きしてしまったことが原因でバンド内が不仲状態になってしまうのだ!!バンドメンバーの不仲はよくありがちではあるが、ロックバンドの内幕を題材にした作品ではこういったシーンに興味を抱きがちな観客も多いはず。だから、これをもう少し昼ドラ風にドロドロ感覚を醸し出して描いてみても良かっただろう…。

劇中でふんだんに使用される音楽にゴキゲンな気分になるのも良いが、それ以上に大人ダコタ・ファニング、クリスティン・スチュワート、プロデューサーのキム・フォーリーを演じるマイケル・シャノンの存在感に注目せずにはいられない。セクシーな衣装に身を包んでドラッグまでやってのけるダコタ、ゴスロリ風ファッションで男っぽさすら感じさせるクリスティン。おまけに二人のレズシーンまでも観られるのだから、これはもうスゴいとしか言いようがない。十代の少女たちに堂々と下品な言葉(もちろん下ネタ)を言い放って「ロックとは何か?!」を説法するマイケルの狂気風味の演技も忘れ難い。とにかくこの三人の個性が強烈に描かれており、観る者を圧倒させるのだ!!

バンド内のドラマをメインに描いていると思って観ていると、意外とシェリーと家族(姉と酒浸りの父)のドラマ描写のイメージが強かったりする。でも、これはシェリーの原作に基づいていることを考えると納得だ!!

レビュアー:佐々木貴之

『ランナウェイズ』
3月12日より シネクイントほか全国公開中
配給:クロックワークス
公式サイト:http://www.runaways.jp/
(C)2010 Runaways Productions, LLC. All Rights Reserved.

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