鶴岡亮の今日はこれ観るか?あれやるか?  第1回 『何で今更?Amazonプライムにて好評配信中!トム・セレック主演!映画・未来警察』

 

【文・鶴岡亮】

鶴岡亮Twitter:https://twitter.com/ryoutsuruoka

 

どうも、ライターの鶴岡亮です。

このコラムは、私が最近観た映画、ドラマ、プレイしたゲーム、行った場所について書いていく内容となっています。

非常にメジャーな作品から、今一知られていない作品などについて、皆さんが読んで良かったと思えるコラムを目指して書いていきますのでどうかよろしくお願いします。

 

さて、今回取り上げるのは1984年に公開されたSF映画『未来警察』です!

 

© Sony Pictures Television

 

『未来警察』Amazonプライム配信URL

 

 

このタイトルを聞いて「未来警察?何それ?」と思われる方や、「未来警察?何故今更?」と思われた方もいるでしょう…。今作は国内に置いては些か知名度か低く、古い映画で視聴し辛い環境だった為、残念ながらマイナー映画感が漂っている作品であります。しかし、10月からAmazonプライムにて配信が始まり、いざ観返してみると結構リアリティに満ち溢れた先進的な作品だったので、今回ご紹介させていただきたいと思います。

 

【STORY】

 

舞台は日常生活にロボットが普及した近未来。主人公・ラムジー巡査部長は「警察特別班・ランナウェイ・スクワット」に所属する人物で、暴走したロボットの鎮圧にあたる任務を日々繰り返していた。そんな中、彼はとある事件を捜査していくうちに武器商人ルーサーの陰謀にたどり着く。彼はこの陰謀を阻止すべく、新しく配属されたパートナーのカレン巡査とともに決死の捜査線を繰り広げるのだった…。

監督は『ウエスト・ワールド』『ジュラシック・パーク』の原作者として知られるマイケル・クライトン。主人公のラムジー巡査部長を演じるのはドラマ私立探偵マグナムで脚光を浴び、インディ・ジョーンズの主役候補だったことでも有名なトム・セレック。相棒のカレン巡査を演じるのは『フラッシュダンス』でティナ・テック役を演じ、バンド『アニモーション』でリードボーカルを勤めたシンシア・ローズ。宿敵の武器商人ルーサーを演じるのは、バンドKISSのボーカル、ベーシストのジーン・シモンズ。御覧のように、監督、キャスト陣に気合いの入ったSF映画でございます!

 

さて、未来を舞台にした過去のSF映画を観るにあたって、それが「現代の目で観てもリアリティのあるものなのか?」という点は非常に重要になってくるものです。それを踏まえた上で本作を鑑賞してみると、一部80年代らしい古めかしさはあれど、要所要所ではリアリティ溢れる未来像を描いていた作品に思えました。

 

<独創性と相反する未来像>

『未来警察』で描かれた未来像は、本作の2年前に公開された『ブレードランナー』の巨大建築物が並ぶ街並みや、退廃的な繁華街に代表される独創的な未来像とは異なります。それとは対照的に、現実の街並みや背景をそのまま利用し、室内では最小限のSF的小道具やロボットを配置して未来社会を描いています。些か控えめな未来描写ですが、それによって我々の住む世界の「地続きの未来感」を演出し、独創的では無いにしろ、リアリティのある未来像を描く事に成功しています。予算の関係性上、こうなったという側面もありますが、このやりすぎないが故に描ける近未来的な表現、詰まる所、現実+SFの程良い匙加減こそが『未来警察』の世界観の魅力です。この手法は今作に留まらず、後の『機動警察パトレイバー』『ロボコップ』のような作品でも使われて行く事になるので、一種の未来像の潮流を産んだ演出と捉えると中々再評価のしがいのある部分です。

 

© Sony Pictures Television

 

<先駆的なロボット描写>

そんな世界観の本作に登場するロボット群は、如何にも80年代テイストの電卓やビデオデッキのような古めかしいデザインなのですが、そのロボット達が持つギミックは現代に通じるリアリティのあるものになっています。

劇中、警察が暴走したロボット(家事用912型ロボット)が立て篭もる家の状況を調べるシーンがあるのですが、そこで偵察用ロボットのフローターが登場します。このフローターを送り込んで犯行現場の様子をモニタリングする訳ですが、これは現実の犯罪や災害でドローンを活用して状況を確認する様子を想起させますね。現実世界のワシントン州でも警察のドローンの使用率が年々増加していて、その内、アメリカ全土で使われて行くだろうと予想されています。そういう昨今の現実と比較すると、84年の段階でこのようなガジェットと用途を考案したマイケル・クライトンの発想力は非常に先駆的で驚かされますね。

 

© Sony Pictures Television

 

それに加えて、ラムジー巡査部長の家庭にいる女性の声で喋る「12型・お手伝いロボット」もリアリティのあるギミックを持ち合わせています。このロボットは部屋の明かりの調節や睡眠時間をセッティングしたり、来客の氏名や声紋情報の登録をするか尋ねてきたりするのですが、これはAlexaSiriのような音声認識デバイスとの相似性を感じさせますね。彼女が不意にラムゼイの音声を認識してトンチンカンな回答をする所も、上記のデバイスで起こるトラブルのような特徴を思い起こさせます。音声認識デバイスというテクノロジーを描きつつも、それが実用されたらどんなトラブルが発生するか?という面も描いているのが、マイケル・クライトンの発想力の面白い所ですね。こういう視点は『ウエストワールド』や『ジュラシックパーク』でテクノロジーのデメリットを描き続けた作家ならではの視点です。

 

© Sony Pictures Television

 

<悪役・ルーサーの魅力>
そして、リアリティのある世界観に加え、強烈なインパクトを齎す悪役が登場するのも本作の魅力の一つです。彼の名はルーサーといい、標的を追尾する小型ミサイルを発射出来る特殊銃を使用し、蜘蛛型のロボットのロボティック・スパイダーを用いて攻撃を仕掛けるという、未来の武器商人というポテンシャルを活かしたキャラクターです。

 

 

© Sony Pictures Television

 

 

© Sony Pictures Television

 

 

そんなあらゆるハイテクマシンを操る非情な犯罪者のルーサーを演じるのは、あのkissのボーカル、ベーシストで有名なジーン・シモンズです!何でこの映画に出たんだよ!と突っ込みたい所ですが、彼はバンドの版権ビジネスや、あらゆる事業に手を出している自他共に認める「ビジネスマン」なので、法外な出演料を頂いて出演したのでしょう…。その甲斐があってか、彼のど派手なパフォーマンスで知られるライブで鍛え上げたこの世で悪行を行う為に産まれてきたような表情を活かした演技力は非常に印象的で、見事な悪人面を披露してくれてます!『コマンドー』のベネット『マッド・マックス2』のウェズ『アバター』のクオリッチ大佐のように、良い悪人面の俳優は、映画に良いハッタリを効かせてくれるものです。彼ら同様にジーン・シモンズが、顔芸に継ぐ顔芸のオンパレードを遺憾なく発揮してくれているので、是非ともそこもチェックしてご覧になってください!

 

© Sony Pictures Television

 

<その他の魅力>

メインの役者陣に加え、様々なベテラン俳優陣が脇役で出ているのも本作の面白いところです。ジョンソン役に『ランボー』のウォード役のクリス・マルキー、ジャッキー役に『スタートレックII カーンの逆襲』のザーヴィック大尉役のカースティ・アレイ、警察署長役に『ポリスストーリー』のハリス警部役のG・W・ベイリー、ウィルソン役に同じく『ポリスストーリー』からタオ警部補役のマイケル・ポール・チャンが出演しています。音楽を担当した『エイリアン』『トータル・リコール』ジェリー・ゴールドスミスが作曲した80年代丸出しのシンセサイザーのバリバリ効いた音楽も印象的で、今となってはあまり聞くことの無い当時ならではのサウンドデザインが独特の味わいを感じさせます。こうした、どこかで観た覚えがあるキャストを発見したり、当時の独特の音楽の雰囲気を楽しんだりするのも昔の映画を楽しむひとつの醍醐味ですね。

 

<総評>
全体的に近未来描写は、ややロボットのデザイン面で時代を感じさせつつも、現代のテクノロジーに通ずる要素が描かれていて「未来予測映画」としては割と面白い作品なのではないかと思いました。ルーサーの陰謀を巡るラムジーの追跡劇も王道の刑事モノの体制で作られていて、非常に観やすい作品になっています。

 

そんな映画『未来警察』はAmazonプライムにて好評配信中です!気になった方々は是非ともご覧下さい!

 

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