第10回 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

小宮山雄飛の東京DVDライフ 第10回 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』



文章/小宮山雄飛
画/黒木裕貴
ロックフェスやラジオ局なんかで、過去の仕事仲間や関係者に5年ぶり10年ぶりにたまたま会うと必ず「雄飛君は、老けないよねー!」と言われます。
しかし、実際には自分なりに歳取っていってる訳です。
ではなぜ、僕が老けて見られないか、今日はその秘密をお教えしましょう!


そりゃみんな、老けたと思われるよりは、若く見られたいっしょ?


その秘密はすごく簡単なことです。


相方のワタナベイビーがつねに僕より5歳老けてるから、比較して若く見えるのです。


ドテーーーー!!と思ったそこのキミ、でもこれほんとなのよ。
僕はワタナベイビーの5歳年下なんですね。さらに言えばホフディランのバックメンバーは基本的に全員僕より年上、ドラムの田中ゲンショウさんに至っては9歳上です。そしてそもそも一般的にホフと同世代と見られているミュージシャン(サニーデーとかフラカンとかミッシェルとかカジ君とか)も全員僕より年上なんです。
そうなんです、ホフディランがデビューした辺りに一緒に出ていたミュージシャンの中で、実際には僕一人だけ世代が下だったんです。
なので、関係者の人は、当然その世代を見る目で僕を見る、でも実際に見てみると
「あれ、雄飛だけなんか若いな!?こいつ歳とんねーな!」
ということになる。でも実際には僕も歳とってる訳で、身近な比較対象がさらに上というだけなんですね。


よく可愛い女は必ず自分よりブスを連れて、自分が可愛く見せるようにするなんて言いますが、そう考えるとあながちその手はほんとに使えるかも知れませんね。常に自分より年上と行動していれば、どこに行っても若く見られる訳です。
あー得した!得した!(ってか女性と違い、別に僕は若く見られてもなんの得もないのですが・・・)


てなことで今回紹介するのは、産まれた時が老人で、成長するごとに若返って行くという不思議な主人公を描いた


ベンジャミン・バトン 数奇な人生



監督はデヴィッド・フィンチャー。
デヴィッド・フィンチャー作品はどれも好きなんですが、前作の『ゾディアック』だけちょっとピンと来なかったんですね。それは実話に基づいた作品だったからです。
やっぱりこの監督は今回の若返って行く男のような、とてつもないフィクションを描いた方が絶対に面白い。



『セブン』も『ゲーム』も『ファイト・クラブ』も、もちろん全くの夢物語ではないものの、基本的には「あり得ない」話ですからね、そういうのを描かせるとほんとにうまい!
もともとこの人はミュージックビデオを撮ってた人で、マドンナ、エアロスミス、ローリングストーンズ、マイケル・ジャクソンなどなど、そりゃーもうすごい面子の音楽ビデオを撮ってる。
こういうレベルになってくるとね、それこそフィクションじゃないですか、一般的な現実からはかけ離れてる。
といって、役者が演じる劇やコントとは違って生身のミュージシャンのビデオな訳だから、全くの夢物語では駄目で、そのミュージシャンの歴史や生の部分も引き出さないといけないと思うんですよ、そういうとこでデヴィッド・フィンチャーはフィクションとリアルの絶妙な着地点を身につけたんじゃないかと想像するのです。



デヴィッド・フィンチャーの特徴は、独特の暗いタッチの映像ですが、今回は特にそれが素晴らしい!
部分部分で、まるで1枚の絵画を観てるような映像は芸術の粋に達してますね。ちなみにwikiによると「嫌いな色はピンク」っていうのが笑えます、分かります分かります、あなたピンク嫌いでしょうねぇ、はい。



さて映画の方ですが、一番面白いのは『一生で7回雷に打たれた』という男の話。
いや、本筋とは全く関係無いエピソードなんですけどね、全体的に暗いムードの中でついつい声を出して笑ってしまうほどの面白映像が7回も出て来る、やっぱりこの監督は根本ではユーモアたっぷりの人なんだろうなと分かります。というか、もしかしたらデヴィッド・フィンチャー作品の中では、実は一番ユーモアが入ってる作品かもしれません。何しろ産まれた時が爺さんで、そっからどんどん若返って行くという設定そのものが笑える作品ですからね、変に真面目に描こうとしてもしょうがない。そこの「ありえね~!」という部分を笑って許してもらった上で、『老い』や『人生』という重いテーマを描いて行ってるわけです。


そういう意味では実にずるい監督ですよね、「ありえね~」部分はお客を笑わせて「許してくださいね~!すんませ~ん!」と認めさせた上で、自分の描きたいように描いて観客を納得させてしまう。正攻法で責めたら「このシーンはおかしい」「この設定は無理がある」と今時ネットで叩かれそうな部分を、うまく笑って許してもらった上で最終的にはリアルに見せちゃう訳ですから。



うーん、こういうズル賢い手法を僕も身につけたいなあ。
意外と普通に会社にいても植木等の『無責任』シリーズみたいに出世しちゃうタイプかもしれませんね、フィンチャーって・・・



平成のゴマすり男・デヴィッドフィンチャー



小宮山雄飛(ホフディラン)

ミュージシャン
1973年8月14日生まれ
1996 年「スマイル」でホフディランのVo&Keyとしてデビュー。「遠距離恋愛は続く」「恋はいつも幻のように」「欲望」「極楽はどこだ」など、ヒッ ト曲を多発し、FUJI ROCK FESTIVALへの参加、日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、ライブでも活躍。日本のポップシーンにおいて根強い人気を誇る。デビュー以 来、シングル19枚、アルバム9枚(ベスト盤含む)をリリースしている。
絶賛発売中のニューアルバム『ブランニューピース』(DVD付き初回限定盤)に収録されている『恋人たち』『ニューピース』のPVでは、自ら監督を 務めるなど、多才な一面を持つ。2009年7月3日には、渋谷C.C.Lemonホールにて、デビュー13周年記念ライブを行い大成功!その模様を収録し たライブDVD『13年の金曜日』においても監督を務め、11月4日にライブCDとともに同時リリース、絶賛発売中! 
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZOへの出演も決定!
2010年7月3日(土)
ホフディラン ワンマンライブ
『14年の土曜日』
会場:SHIBUYA-AX
open 18:00 / start 19:00
チケット料金:3980円(ドリンク無し!)
ワタナベイビープロデュースDVD第3弾発売&自ら手売り
ゲスト:ゆってぃ / and more…
問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999
5/9からの一般発売に先駆けて、HP先行予約を受け付けます!
受付期間   4月19日(月) 12:00 ~ 5月5日(水) 18:00      
  ※専用URL http://eplus.jp/hoff-hp2/   
・ホフディラン HP http://hoff.jp/
・軟式ブログ http://blog.excite.co.jp/yuhi-blog/
・こむぞう http://comzo.cocolog-nifty.com/
・シコウヒンTV http://www.andsmile.tv/
・SHOOT UP http://www.shootup.net/

黒木裕貴(クロキユタカ)
東京生まれのイラストレーター。
CDジャケットや書籍・雑誌、アパレル等で幅広く活躍中。
また、影絵やコマ撮り作品をつくる映像作家としての顔も持つ。
official website http://www.kurokiyutaka.com/
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