映画レビュー 映画『ハロウィン Ⅱ』 恐らく、ロブ・ゾンビ監督による『ハロウィン』リメイク最終作

ジョン・カーペンター監督のいわずと知れた「ハロウィン」のリメイク第2弾。オリジナル、カーペンター作品では「ブギーマン」というタイトルで公開された。



オリジナル「ブギーマン」は病院でのマイケル・マイヤーズの殺戮がメインであったが、今作は病院での惨劇はイントロダクションに過ぎず、再び妹のローリー(エンジェル・マイヤーズ)を付け狙うマイケル・マイヤーズの狂気の追跡を描いている。
役者も前作ロブ・ゾンビ版「HALLOWEEN」で登場した 殺人鬼マイケル・マイヤーズを演じる身長206cmの大男タイラー・メインを始め、妹ローリーのスカウト・テイラー=コンプトン、オリジナルではマイケル・マイヤーズの主治医で、マイケルの宿敵 故・名優ドナルド・プレザンス演じるサミュエル・ルーミス医師役を、ロブ・ゾンビ版では「時計じかけのオレンジ」「カリギュラ」のこれまた名優マルコム・マクダウェルが個性的な「悪」でマイケルと対峙。他にもマイケルの母役(亡霊?)でロブ・ゾンビ夫人のシェリ・ムーン・ゾンビ(残念、お色気無し)とかゾンビ作品では「あの人は今」的なゲストが楽しみですが、今作ではローリーの精神科医役で「悪魔のシスター」のマーゴット・キダーが登場。相変わらず、ロブ・ゾンビのホラーは「痛い」。その残酷描写の徹底した「表現の拘り」こそロブ・ゾンビ映画の真骨頂といえる。
まるで観客がこの殺人鬼の殺人現場の第1目撃者であるかのように、生々しい映像で地獄に引きずり込む。凶器はナイフであったり、ガラスであったり 皮膚を切り裂くものが多い。しかもナイフは刃こぼれしている。
だから「痛い」。血も実際はこうなのだろうなと思えるほど「どす黒い赤」。カーペンター作品では考えられなかった描写である。
お約束の裸女惨殺シーンはあるのだが、エロさは全く感じさせないほど酷い殺し方である。
マイケル・マイヤーズのお面も長時間使用によってボロボロであり、カーペンター作品のような仮面の無表情さの怖さは無く、その辺がオリジナル版とロブ・ゾンビ版の「好き嫌い」の分岐点なのかもしれない。
言い忘れたが、この映画のテーマは「家族愛」である。 FAMILY IS FOREVER である。
現代の、良くも悪くも象徴的なホラー映画の傑作である。

                                                   レビュアー:JJ堀尾

『ハロウィンⅡ』
6月19日より、シアターN渋谷にてロードショー


監督・製作・脚本・音楽監修: ロブ・ゾンビ

製作: マレク・アッカド / アンディ・グールド
2009年/アメリカ/1時間47分/カラー/35ミリ/ビスタサイズ
配給: ショウゲート 
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