畑史進「二郎系ラーメンのようなゲーム」 ジャンクハンター吉田「小島ゲームの最高峰」 『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』クロスレビュー

2025年6月26日に発売された小島秀夫、コジマプロダクション最新作『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』を畑と吉田がレビュー。

畑はクリア済み。

畑史進(クリア済み)「食べ物に例えるなら二郎系ラーメン」音と映像美はゲーム業界最高峰

今から6年前、『DEATH STRANDING』のレビューを書いたときに作品のファンと言うか、制作者のファンがかなりレビュー記事にボロクソに書いてくれたり、わざわざTwitter(現:X)の僕のアカウントのDMにまで「廃業して死んでください」とまで意見してくれたのも今となっては良い思い出だ。熱意のあるファンの皆様がいるというのは良いことだと思うよ。

作品の言いたいこともストーリーもなんとなく理解できている上であのレビューを書いたのであって、どんなにボロクソに言われよう書かれようと1作目はゲーム全体のテンポが大衆受けするようなものではないし、大衆(マス)に向けて「全てのゲームユーザーが遊ぶべき完全無欠のゲーム」とは思えない。PlayStationのトロフィー上での話ではあるが未だに、クリア率が「20%」なのはそういうことだろう。4章辺りから獲得率が30%なのは考えもの。

ましてやダメなところははっきりと駄目というべきゲームメディアが揃いも揃ってハイスコアの評価を出すことは今でも疑問で、どんなに著名なクリエイターでも手放しで褒めるとクリエイターを殺すことになり得ないし、ゲームというエンターテインメントの特性上、評価するときには大衆としての目線を失ってはいけないだろう。

前作のクリア率・・・

前作の第1章で7割

第2章で一気に4割

3章から一気に3割ラインに・・・

とはいえ、クリアしたときには2~3度くらい動画サイトでエンディングを見返したくらいに映画に精通している小島さんのこだわりはすごいなと思ったし、よくある「お使いゲー」を面白くエンタメとして昇華したのは評価するべきところだとは思う。

という前回のレビューに関してはここまでにしておいて、もう「デススト旋風」も収まって小島さんの新作が気になる中で発表されたのが本作『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』と知ったときに心の底から「マジで!?」となったのは僕だけではなかったはずだ。

あの話をこれ以上どう掘り下げるんだ?いくら配達ゲームが受け入れられたとしても新マップこさえていくにしても代わり映えしないとキツくないか?そもそもクリア率に疑問がある前作の続きってどうなのさ?となってもそこは魔性の男、小島秀夫。

 

どんなジャンル、どんな内容であってもやっぱり気になってしまうのはゲーマーの性。発表後は一切の情報をシャットアウトするという『スター・ウォーズ』クラスの迎え入れで心待ちにしていた。

 

後半はかなり飛ばし気味のプレイで進めたのだが、このレビューを書くにはとにかくクリアしてからのほうが良いだろうという一心だった。クリア後も余韻があってようやく筆を取る、キーボードに向かうのに時間がかかった。

先に率直な感想を話すと「音と映像は流石の小島さんのこだわりが見られるハイクオリティな作品」だと思った。この点に関しては他のゲームメーカーは追随できないと思う。昨今はエフェクトの多用で豪華に見せるゲームが多い中、数多くの映画に精通している小島さんならではの「映像の魅せ方」をプレイヤーが多種多様なシチュエーションを作り出すビデオゲームという媒体で見事に作り上げたと感じた。小島さんの映像へのこだわりは『メタルギアソリッド』のころから見られるが、プレイヤーの生み出す多用なシチュエーションに対して高い映像クオリティを魅せているのは『メタルギアソリッド3』から見受けられる。イメージとしてわかりやすいのは巧妙なプレイヤーが生み出す敵兵士を嵌める動画集なんかがいい例で、どのアングル、シチュエーションでも人を引き付ける映像美となっている。プレイヤーの作り出すカメラアングルや編集が良いからと思いがちだが、ゲームのビジュアル構成の下地としての完成度が高いからこそ面白い動画もコンスタントに出てくる。

音響面も同様に本作を長い時間7.1chのヘッドホンでプレイしていたが、小さく細かい演出の音から激しいエフェクトの音までのこだわりが強い。世界観って部分はゲームを評価するうえで一番最後に評価するところだけど、前作以上に徹底して作り込もうとしているのが伺えた。

 

さぁここからはゲーム面だが、正直に言うとシステム面では前作との違いを大きく感じられず、「デススト1.5」。『DEATH STRANDING』のファンディスク的な感じでまぁこんなものでしょうと思っている。ただ一点前作の反省からから、便利グッズや乗り物の開放が前作よりも早く、前倒しで開放されているのは良かった。また前作みたいに本格的にバイクとか乗るのに15~20時間かかるのは御免被りたいと思っていたので「なんでこれが前作で出来なかったんだ・・・」とさえ思う。

 

また、流石に前作のクリア率が20%、30%を割っているのはまずいと思ったのか、タイトル画面から「前作の紹介」があるのは好感度も高い。欲を言うなら「5分で分る『DEATH STRANDING』」みたいなファスト映画みたいなコンテンツがあればもっと気軽にこのゲームを手に取ってもらえるんじゃないかと思うが、まぁ小島さんはやらないだろうな。

 

あと、前作は説明がほとんど無いまま専門用語のオンパレードで割と「パルスのファルシのルシがコクーンでパージ」状態だったのも良くないと思ったのか、ムービーとかですぐに専門用語を開けるようになったのは良い改善点。さらにムービーを途中で止めたらシークバーみたいなのが出てきてあとどれくらいでムービーが終わるのか把握できるようになっているのも良い改善点だと感じた。かなり「前作の評価」や『DEATH STRANDING』というブランドに対して新たに取り組む新規ユーザーへの配慮があると思う。

このゲームをゲーム業界を見渡して食べ物に例えるなら「二郎系ラーメン」だと思う。

二郎系ラーメンはこだわりの強い店主とファンが多いコンテンツで、まさにこのゲームを遊んでいて凄く強く感じた。食べ物としても食べきるのに覚悟はいるし、味の面でも重たい。このゲームはいたるところで「重たい」と感じることが多い。それは重量物をゲームという仮想空間で運んでいるのに、車で運んでいてもなぜか重量を感じられるし、山を登っているときもなおさら仮想空間の重量を感じる。遊んでいてまるで「二郎系ラーメン」を食べているときのような感覚を思い出す。二郎系ラーメンにも“山”があるよな。

両方とも食べきり、やりきった後には達成感よりも「徒労感」を感じる。「やりきった」という感想は後から感じてくる。ここも共通していると思う。

 

今回配達という点で「ヤマト運輸」とコラボしていたが、案外「ラーメン二郎」とコラボしたらゲームの方向性的にめちゃくちゃ相性が良いんじゃねーの?

とプレイしていたときに思っていたのだ。

 

このゲームは決して早く食って終わらせるようなもんじゃない。少しずつ休憩を入れながら味を楽しんでもらいたいと思う。

今作は8章でも4割をキープ。まぁファンが勝っているからこの値でしょう。

現在のクリアは3割これを割っちゃいけないと思う

ジャンクハンター吉田レビュー「映画敵表現がパワーアップした」

 

結論から言うとデススト2は前作の不満点が随分解消されてて相当遊びやすい完成度になっていた。

しっかり前作を遊んでない人にもわかりやすい説明が冒頭にあるため、いきなり続編から遊ぶのはなぁって人にも問題なし。というか前作を遊んだ人にしかわからないがストレス溜まった部分が色々とアップデートされているのは嬉しい仕様だと思う。特に車両の運転は前作が苦難を強いられたことで乗り心地はかなり良くなっていた。

配達ゲームといえばPCエンジンで35年前に発売された名作『カットビ!宅配くん』を思い出す者はほぼこの時代にいないと思うが、デスストシリーズは続編でもその孤独に配達するデリバリーゲームのシステムは変わらないのでひとりでコツコツ遊ぶお使いゲーム好きには杞憂なスタイルではないかな。

ただ前作をやっていた者からするとゲームデザインは変わってないため既視感満載で新しい何かをやっている感覚はない(そりゃ続編なので当然だが)。前作は突飛なゲームデザインに腰抜かしそうになるほど新しい何かを学ぶ部分も多々あったけど今回の続編は前作プレイ済のユーザーからの意見を多く聞き入れている感じもして程良い修正も嬉しいのだが、ここはやはりコジゲーとしての作家性を貫き通し魅せる表現を徹底して欲しかったかな。スキップさせないというね(笑)。

ボス戦含め色々とスキップできる仕様はビギナーからは有難い仕様。

だけどコアユーザーからしたら「コジカンのゲームはスキップさせず耐えて見るのも我々のミッションである」が緩和されちゃているのは残念。とは言え、前作ではシリアス過ぎて遊び要素は少なかったが続編では押井守監督や加藤茶さんが出て来たりとコジゲーらしい良い意味でバカバカしさが全開しているのは最高。個人的に気に入っている部分では絵や音の美しさ。

映画的表現がさらにパワーアップしていてそれらを体験するのもデススト2ならではだと思うし、既存のゲーム作りでのフォーマット殺しな作品としてお世辞抜きで買いの1本ですよ。

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