4月10日に発売された『FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE』(以下FF7Rと表記)。こちらのインプレッションレポートを編集長の畑が紹介!
【文:畑史進編集長】
畑史進(編集長Twitter):https://twitter.com/cefca_vader?lang=ja
■畑編集長のインプレッションレポート 「スクエニの底力を見た!」
『FF7』の思い出を話せって言われたら普通は「エアリスが~」「ゴールドソーサーが~」って話になうと思うけど、僕の場合は全くそうじゃなくて寧ろ入手した経緯のほうが印象深い。
『FF7』が発売された頃ってコンビニでのゲーム取り扱いが初めて行われたくらいで(デジキューブってあったね)、当時金の無い小学生だった僕は指くわえて「いつか買えたら良いなぁ・・・」っていう感じだった。まぁ最悪友達かゲーム持ちのあんちゃんの家に行けばなんとかプレイできるからその時で良いかなという選択肢もあったけどね。
ところが、その一週間後くらいのある土曜日の午後に近所の神社でやってたフリーマーケットに行くと、なんと『FF7』が100円の札の中に置いてあるじゃないですか!
ぶったまげたね!
店番しているのが40くらいのおばちゃんでさ、あえて『FF7』とは言わずに「これって100円なん?」と聞いてみる。そうしたらそのおばちゃんが「ほうで」と聞くやいなやすぐさまお袋から100円をもらってから購入しましたよ。「騙されているであろう」と思いつつ・・・。
で、家に帰ってから恐る恐る開けてみると中に綺麗なディスクがちゃんと入っているじゃないですか!!
今になって思うとね、あれはおばちゃんの子供かなんかがゲームのやりすぎで取り上げられてから、そのまま訳が分からずに低価格で売り飛ばしたんじゃないかと思っているのよ。平成中期のフリーマーケットはそういった思いも寄らないブツが転がってたよ(遠い目)。
それが『FF7』との出会いで、なんやかんやで今年で23年。FFシリーズの中で一番リメイクを望まれたモノがようやく最新の技術で蘇ったわけですよ。
『FF7』はシリーズの中で3番目に好きな作品だけど、『アドベントチルドレン』や『ダージュ オブ ケロベロス』『クライシス コア』なんかの関連作品をリアルタイムで追うくらいには熱量が高くて、このリメイクも長年期待してたし、音沙汰がなかった時期はもう無いもんだと諦めてた。だから今回の『FF7R』が2015年のE3で発表された時には嬉しかった。
で、あれから5年。散々待たせてくれたもんですよ!
いやここ最近のゲームって発表から発売までかなり時間が空くじゃない?中には自然消滅するものもあって、そういったのを見ていると「ほんまに出るんかい!」って思ってたわけで、しかも複数作だという話も聞いてて不安しかなかった。
ただ期待はしているから最初の発表でのPVを見て以来、一切の情報を遮断してこの日を迎えましたよ(余談だけど最近のゲームって発表から発売まで長過ぎるのと、情報を多く出しすぎるから全部の情報追ってると発売にはお腹いっぱいになるのよ。メーカーは情報を絞るか、逆にユーザーは情報をあえて遮断したほうが楽しめると思う)。でもプレイしたら最初の30分位で不安が一気に消し飛んだ。
正直に言うと、今日は散々待たせてくれた分重箱の隅をつつく位、色々とボロッカスに書き殴ろうかと思ったのよ。
ところがどっこい、否定するところが何も無いのよ。
寧ろプレイ開始から「すげーちゃんと『FF7』をアップグレードしてる・・・」って素直に感動している自分がそこにいるわけ。
ステージや風景とか見た目に関することは後にして、今回のゲーム性はアクションゲーム的なシステムに変わっている。ATBが溜まるまで待機してコマンド選択するとかそういうのじゃない。
この辺は他のメディアとかが色々書いているんで端折るけど、大雑把な感覚を話すと「『クライシスコアFF7』と『キングダム ハーツ』を足して2で割った」ようなゲーム性になってる。
プレイヤーは攻撃や防御をリアルタイムで行い、これらのアクションが成功するとATBが溜まっていって、画面の左端にあるコマンド一覧から魔法やアビリティを状況に応じて選択することになる。このコマンド選択時には画面がスローモーションになったり、コマンド選択はショートカットが用意されているので選択している最中にクラウドが間抜けなダメージを食らうという事がない。
加えて敵の攻撃はプレイヤーの移動操作や回避アクションでかわすことができるんで、昔思っていた「いや、お前それはかわせるだろ!」というツッコミもしなくていい。
正直『FF15』の戦闘システムが肌に合わなかった自分としては凄く助かるシステムで、やってて苦を感じない。
アクションが苦手な人に用意された「クラシックモード」も触ってみたら、これこそ従来のATBバトルみたいな感触になっている。ゲーム全体をクラシックモードで遊んでいたらプレイヤーはストーリーやサブイベントを進めるためのキャラクター操作、バトル時はコマンド選択という従来のRPGとあまり変わらないプレイになっていて良く考えたもんだと感心させられた。
さて、街の雰囲気(というよりミッドガルの状況)について一言で言うなら「そうそう、これがFFらしさだったんだよ」とリメイクの懐かしさよりも『FF』としての懐かしさを覚えた。
『FF13』くらいから「ココ最近の『FF』ってなんか違うなぁ」と思ってて、その違和感の正体に気づくことが中々できなかった。『FF15』もクリアこそしたけどそんなに好きじゃない。男だらけのパーティが悪いとかそういうのじゃなくて、個人的に「これって『FF』なの?『FF』である必要があるの?」って思ってた(『キングスグレイブ』は滅茶苦茶面白かった)。
今回のリメイクでその違和感の正体に気づけたきっかけが、バレットの台詞回しや街の住人、列車の乗客たちだった。
バレットって暴力的な発言が多いけど、どこか抜けたところがあったり、理論がやや破綻しているというちょっと憎めない場面がいくつかある。最初の辺りで言うなら神羅の社員に対して暴言を振りまいて席を空けさせる所だろう(原作ではイベント時期が違う)。
他にも列車で横になってるおっさんや、駅のホームで座り込んでうなだれているおっさん。なんというかどこにでもいそうな駄目な人たちがそこらに溢れていて、クラウドがそういったキャラクターに対しても真面目に接したり、時にはミニゲームイベントに移行したりと真剣に取り組むところが『FF』らしさだったと思う(だって馬主兼騎手のような事をイケメンキャラクターが真面目にやるって今考えてみたら相当ぶっ飛んでるよ)。
これらを忠実に再現、蘇らせようとしている部分を見たときに「これが昔の『FF』で見失っちゃいけない部分だよな・・・」と思ったわけですよ。
最近の『FF』は凄くカッコイイキャラクターが沢山出てくるけど、見ていて息苦しさを感じることもあった。一方でクラウドやスコールのような彼らがカッコイイと思えたのはメインストーリーの間に介在する「ある意味ダサいキャラクター」や、「泥臭い環境」に対しても真剣に向き合って意外な一面を見せたりしていて、親しみを覚えることが出来た(スコールのカードゲームとか特にそうだろう)。
セリフの言い回しも鼻にかけたような格好良さや、仲間同士のじゃれ合いだけじゃなく、自然とプレイヤーも思うような茶化しかたを主人公が行うから、自然と主人公の目線に立てるようになっていたんだと思う。
今作を遊んで、クラウドの一挙一動を見ていても原作のキャラクターだから、リメイクだからという所感ではなく、過去に遊んでいたからこそ「そうそう昔の『FF』はこうで、これが『FF』の面白いポイントで次も買いたいと思ったんだよ」と再認識させられた。
寧ろこうした「ダサいキャラクター」「泥臭い環境」を今の技術で極力蘇らせようとしたことがこのリメイク作品の成功ポイントだと思ってる。
仮に『FF16』みたいな作品を作るのなら今回のリメイクを通して作ったこうした泥臭いポイントを見失わずに思う存分入れてほしいと思う。スタッフも作ってて分かったんじゃないかなと期待したい。
というわけで細かい部分まで再現しようとしたこの『FF7R』にまだまだ時間がかかりそうだし、最後までプレイできてないんでこのへんで終わりにしようかと思う。全クリしたらまた別コラムで色々書こうかと思う。
最後にこれは要望!
「お願いです。続きがいつか、何部作構成で終わらせるのか発表して下さい」
これはゲーム業界全体に共通して言えるんだけど、次の作品がいつなのか、何部作構成なのかをはっきりさせてほしいわけで、発売日も厳守してほしいと思うんですよ。
映画業界で公開延期ってほとんどありえないことで、大変かもしれないけどそのへんのビジョンをちゃんと見せてほしいと、1ユーザーとして思うわけですよ(コロナウィルスみたいなのはしょうがない)。
特に『FF7』のラストって「空から巨大なダイオウイカっぽいのが降りてきたり、(以下ネタバレになるので自粛」」というものなんですよ!
それがいつ見れるのか!
ビジョンを見せてほしいのですよ!
あと、複数作になっているのであるなら早めに次も出さないと。関わっている声優、俳優だっていつまでも生きているとは限らない。ユーザーも含めてこのご時世不慮の事故や病気でアッサリとお亡くなりになるなんてこともあるんだから、早いスパンで次を出すべきでしょ(もちろんボリュームも用意する上で)。
「次のエピソードは5年後!」だけは勘弁してくれ、楽しみにしてんだから。
というわけで今回こちらのインプレッションレポートを最後まで読んでいただきありがとうございます。
エンタジャムの読者に向けて『FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE』のパッケージ版を抽選で1名の方にプレゼントいたします。
応募方法はエンタジャムの公式ツイッターのフォローと下記のTweetをリツイートするだけ!
プレゼント情報あり! 『FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE』 インプレッションレポ https://t.co/CCbw9KTkJh pic.twitter.com/uomgJfRhcP
— エンタジャム (@EnterJam) April 14, 2020
応募締め切りは4月24日(金)の23:59までとなります。
発表は発送をもってかえさせていただきます。
コメント
自分の一押しポイントはウォールマーケットの昭和感。ほひーほひー