人気シリーズ故に気が緩んだか?『モンスターハンターワイルズ』徹底レビュー

【執筆者:畑史進 (ハタフミノブ)】

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2025年2月28日にCAPCOMから発売された『モンスターハンター ワイルズ』のレビューを徹底的に行う。

今回のレビューにあたって一応チャプター6までクリア、レア8の防具、武器、アーティア武器を製造してそれなりにやり込んだうえでのレビューだと思う。

今更説明する必要も無いだろうが、本作は2004年にCAPCOMから発売されたハンティングアクションゲーム。いわゆる「狩りゲー」と呼ばれ、その代名詞になっている大人気シリーズだ。第1作目は28万本と小ヒットながらも現在に至るまでに継続してきたのはこのシリーズに対して将来性を見込んでいたCAPCOMの先見性あってのものだろう。

全シリーズに共通してフィールドにある素材となる虫や鉱石を発掘して武器やアイテム、防具を作ってキャラクターを強化し、モンスターを倒してそのモンスターの皮や骨といった素材を剥ぎ取ってそれを使って更に装備を強化してより強力なモンスターに挑むという内容となっている。ただ装備を強化するだけでモンスターを倒せず、モンスターの繰り出す攻撃や生態を熟知しないとモンスターに敵わないので、プレイヤー自身もモンスターを十分に観察してプレイスキルを積み重ねていくのがこのゲームの魅力となっている。

 

シリーズが大きく躍進したのはPSPで発売された『モンスターハンター ポータブル』からで、PlayStation 2ではPlayOnlineという別サービスを利用しなければ本作の魅力である多人数プレイが出来なかったのに対して、PSPという「持ち寄って遊ぶ」ことができる携帯ハードで展開したことから一気にシリーズは加速。『モンスターハンター ポータブル 2ndG』で大衆的なゲーム作品としての地位を確立した。次作の『モンスターハンター ポータブル3rd』は携帯ゲーム機ながら「アドホックパーティ」というPlayStation 3のアプリケーションの効果もあって据え置き機のハード売上にも貢献し、後に続くかのように『GOD EATER』や『討鬼伝』などの多人数で大きなボスを倒してその報酬から強化をしていくといった狩りゲーが多く作られるようにもなったようにゲーム業界に大きなインパクトを与えた。

 

さて、そんな本作『ワイルズ』のレビューに入っていくが率直に全体的な感想を話すなら「シリーズの人気に気が緩んであぐらをかいたような作り」という感じだった。大人気シリーズが定期的に発売されると言われがちな感想でもあるが、この作品ほど「なんで今になってこんな作りにしたの?」と思うような首をかしげる箇所が多数存在し、最後まで慣れることができなかったのはこれまで無かった。

今作のいいところ

まず最初に良いところを書いていきたい。ポジキャンとかではなく順当にシリーズ最新作として遊んでいて面白かったというところだ。

今回の新システム「傷口」は自然的で説得力のあるうえに、ゲーム的にも効率よくダメージを与える内容として面白いものだと思った。簡単に説明すると同じ箇所を攻撃し続けるとだんだんモンスターのその部分の表面が白くなり、最終的には赤く光るようになり部位が脆くなってダメージが上がる。更に攻撃し続けると傷が破壊されてそのモンスターの素材が入手できる。このシステムはこれまでのシリーズの中で最もダメージを与えるというゲームの基礎部分に大きく爽快感を生むことに貢献しているし、素材も入手できることでより効率よく素材集めができるようになったと感じられた。

もう一つがフックスリンガーを使って地形を使った攻撃や回避行動、防御行動ができるようになったこと。これは文章では説明しづらいが、特定のエリアにあるオブジェクトを活用してモンスターに攻撃を加えたり、盾として活用するといった自由な攻略ができるということ。ハードスペックの向上による最新作ならではの恩恵とも言える。

 

豊富なキャラカスタマイズ・・・これはもう『ワールド』以降の傾向なので今更言うことは無いだろう。

 

以上が本作の良い部分。

 

ぶっちゃけこれくらいか。まぁモンスターを狩るゲームだから「傷口システム」だけでもまぁ面白いと感じられたからそこまで不満は無いのだが、ここから書く不満のポイントがゲーム中ちょいちょい目に入るからこのゲーム全体の評価が微妙な感じに思えてしまう。

 

不満な点その1 「狩り出発前の準備が手間だらけかつ面倒になった」

 

シリーズを通して狩りの出発前にはモンスターに併せて様々な準備をするのだが、シリーズ初期は手探りでの模索感があって不便な点をかじることがあるのはしょうがないものの、3~4作目くらいになるとプレイヤーのフィードバックもあって快適になった。特に最初期はプレイヤー、ハンターの家でしか準備できなかったものが近作の『モンスターハンター ライズ サンブレイク』では拠点にボックスを置いて、その近くで準備が簡潔出来たのに対して、今作は一度ハンターの部屋に戻らないと準備できなくなるという退化を遂げた。

更に拠点のエリア、アイテムボックスのすぐ近くで狩り前の準備の一つ、体力やスタミナを向上させ、特殊効果を付与させる「猫飯」もこの部屋の中で行うというなんとも質素なものになってしまったのも微妙な心地にさせる。毎作派手な「猫飯ムービー」が楽しみだった人もいるだろうにハンターがただ黙々と調理するのは味気ない。ハンターハウス内で飯を食べると書いたが、一応アイテム欄から簡易調理器具を使って同じ効果の物を作ることができるが、アイテム欄を圧迫する上にそれは猫飯と別カテゴリに出来なかったのか?と思う。何よりクエスト、狩りが終わって一度拠点に戻って最初にいちいちハンターの家の中に入らないと行けないのがすごく手間。今までなら拠点に戻ってアイテムボックス前に行けば完結したものが、超短時間とはいえ一度暗転を挟むのが妙なフラストレーションを生むことくらい分かるだろうになんでこんな退化するような事になったのか理解に苦しむ。何か意図があったにしても一度暗転を挟むことの意義を教えて欲しい。

 

不満な点その2 素材がわりと集めづらい

 

これは『ワールド』からあったことだが、素材集めがかなり簡素化したことと、移動に時間がかかることから素材集め自体がプレイヤーのまめさによってばらつきが出てきていた。ただ、『ポータブル』時代から拠点内でも素材を集める便利要素を提供して、なるべくクエスト中素材集めをしなくても済むような配慮がされていたが、今作は「人に任せて集めてきてもらう」ものになっている。これは『サンブレイク』でも見られたが個人的にはどうもしっくり来なかった。ゲーム後半は「はちみつ」が割と枯渇するようなことにもなってきて意識して各種素材を集めることにもなった。

これは推測であるが、今作の相棒キャラのアルマが「素材を集めておきました」が実はそんなに集めていなくて、割とこいつを信用して任せていたらそうでもなかっただけという誤認をしてしまっただけかもしれない。

 

不満な点その3 ストーリー、ムービーが邪魔

 

そもそも『モンスターハンター』にストーリーがあったのか?という話だが、これは第1作目からクエスト依頼の文章から村で置きている出来事をなんとなく伝えていることはあった。しかし、初期は頻繁にムービーを差し込む余裕もないのでそうした「ストーリームービー」が入ることはなかったが、近年『ワールド』から世界的な販売も視野に入れるためにも文章ではなくムービーも交えた「ストーリー」にも力を入れるようにもなった。もう一つミラ・ジョボビッチ主演の映画『モンスターハンター』の映画のプロモーションの意味も含むという側面もあった。

ただ、『ワールド』や『ライズ』はストーリー、ムービーがいくら間に入ってきても、従来の「クエスト受注」をしてからゲームに臨むというスタイルは変わらなかったのでストーリーが添え物程度に収まっていたものの、今作はクエストの受注がムービーやストーリーの中に組み込まれてしまっているような状態になっているので、ジェットコースターのレールに乗っているようにそのまま進行してしまう。

最初の頃は「別のクエストを受注して少しでも素材や装備を潤沢にしたいな」という思いがあってもストーリーの進行に引っ張らられるような作りがそれをなかなかさせてくれないという感じがあってストーリーが邪魔に感じた。あまつさえ「さっさとストーリーを終わらせて自由になる」という思考になってきたのは僕だけではなかったんじゃないだろうか?本末転倒である。

そのくせ今回のストーリーが殆ど『バイオハザード』のように感じたのは僕だけだろうか?

不満な点その4 捕獲のハードルが上がった

 

これは短い。これまでのシリーズでは店売りで「捕獲用麻酔玉」が販売され、モンスターのHPを削り切るよりも「一定ダメージを与えて罠にかけて麻酔玉を投げて捕獲」のほうが効率が良かったのに、今作では販売そのものが取りやめになったので一気に選択肢の一つだった捕獲のハードルが上がってしまって時間の面で考えるとモンスターを絶命に追い込む方が「捕獲玉を作るための素材集め」と比較してトータルの効率が良い事になった。タイパタイパと言われる昨今なんでこんなことをしたのか理解不明。

 

不満な点その5 コントローラー操作の悪さ

 

今作はPlayStation 5でプレイしたが操作の一つにR2と✕ボタンを同時押しするアクションが存在する。これの同時押しのタイミングがあまりにもシビアで中々操作が成功しない。というのも現在のR2やL2はXboxも同様に銃のトリガー状になっているのでボタンの反応までに若干のラグが生じる。そうなってくると気持ち早めにR2を押し始めてスライド押しするような感覚で✕を押せば良いのだが中々慣れるのは難しい。コントローラーの構造上の欠陥でもあるのだが、それも踏まえて設計するべきだろう。

また、ショートカットボタンも押している反応が画面上にでているのにアクションに反映されないという不具合もある。武器を構えている状態で回復役のセットされているショートカットを使おうにも押したはずなのに反映されないということが度々あった。それよりも昔ながらのアイテム欄から選んでアイテム使用ボタンを押したほうがはるかに効率的で間違いが起きなかった。

 

とまぁ色々書いたがモンスターハンティング中は楽しくゲームをプレイしているのでゲームとしては完成度高く作られているが、これが『モンスターハンター』の新作と言われたら「シリーズの最新作でなんで退化してんのさ?」と言いたくなる気持ちが強かった。

このゲームを「初心者向け」と評価している人もいるようだが、それは「モンハンの立ち回り」が少しでも分かっている人間が言う最も価値のない意見。これが初心者向けかときかれたらむしろ「モンハンに慣れた人向けのゲーム」で全体的にもごちゃごちゃした視覚的にハードルが高いゲームになっていると思うし、とてもじゃないがこれを初めてのモンハンとしておすすめしづらい。

 

最後に書くと、今回最初に遭遇するモンスターがイャンクックでないのが大問題だと思う。あのモンスターは後に出てくるリオレウスやリオレイアといった上位モンスターの基礎的な動きをしていて、イャンクックを克服してからモンスターハンターが始まると考えている。むしろ昔はそうした考えからイャンクックはハンターたちにゲームの基礎を教える先生として君臨していただろう。

また、昔は本当に酷い作りだったが「亜空間タックル」とか「何処にそんな当たり判定があったんだ?」と言いたくなるような酷いものもあって、そのおかげで「余裕を持った立ち回り」を意識するようになったものだった。

今作はそういった当たり判定とかが昔と比べて大きく改善されているので感じないだけかもしれないが、ガチガチの初心者にこれをやらせたところで装備のセット構築方法とか、繰り返しのモンスター狩猟、更には現ハードに合わせた新システムまで上乗せされて果たして付いてこれるのかかなり疑問な作りになっていると思う。

昔の単純な作りだった頃のほうがよっぽど初心者向けであって、今のごちゃごちゃした操作感や、様々な機能が詰まっている拠点システムが初心者向けのゲームとは到底言えない。

少なくともこのゲームは「シリーズをわかっている」人が分かれば良いだけのゲームになっていて人気シリーズ故に気が緩んだとしか思えない。ゲーム全体の仕上がりが良いのにもったいないとさえ感じる。

このゲームぶっちゃけ『ワールド』の拡張コンテンツとして作ったほうが良かったのでは無いだろうか?おそらく2年後には新拡張コンテンツを出すだろうがその頃に再びユーザーを呼び戻しても『ワイルズ』のゲームシステムを覚え直さないといけないということを考えているだろうか?

ぶっちゃけ僕自身いろいろな事情から『サンブレイク』を3本買って複数人と遊んだが、そもそも『ライズ』のシステムを思い出すのに時間がかかったし、その頃には飽きも来ていた。『アイスボーン』も同様だった。「新システムの慣れを思い出すなら次のモンハンまで待ったほうが良くね?」と。

 

ある程度限界があるにせよこうした拡張コンテンツありきのビジネスはそろそろ考え直したほうが良いと思うし、『ワイルズ』は拡張コンテンツを売るにしても第2弾、第3弾とMMORPGのように作り続けたほうが良いんじゃないだろうか?

と追加のタマミツネを待ちつつ今日も狩りに行くのであった。

 

 

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