【レビュー】大ヒットSF超大作『オデッセイ』ブルーレイ&DVD本日発売!

オデッセイ

巨匠リドリー・スコット監督×主演マット・デイモンのタッグで贈る、火星にたったひとり取り残された宇宙飛行士の想像を絶するサバイバルを描き、日本でも興行収入35億円を超える大ヒットを記録したSF超大作『オデッセイ』。デジタル配信版に続き、ついにブルーレイ&DVDが本日6月3日(金)にリリースされた。

ブルーレイ版には映画本編の前日談、後日談、別サイドからのショートストーリーが収録されており、まさにディスクを買った人に対する熱いリスペクトが感じられる特典となっている。もちろんこれ等の映像は単なる本編の使い回しではなく、劇場へ足を運んだ方や本編をご覧になった方にはひと目観て分かるように新規映像がふんだんに盛り込まれている。もう映画「オデッセイ」を心の底から120%楽しむのはこのディスク版しかありえないと断言しても良い!

[文:畑史進]

【ストーリー】
人類による有人火星探査ミッション<アレス3>が、荒れ狂う嵐によって中止に追い込まれた。ミッションに参加した6人のクルーは撤収を余儀なくされるが、そのひとりであるマーク・ワトニーは暴風に吹き飛ばされ、死亡したと判断される。しかしワトニーは奇跡的に生きていた。独りぼっちで火星に取り残され、地球との交信手段もなく、次にNASAが有人機を送り込んでくるのは4年後。サバイバルに不可欠な食糧も酸素も水も絶対的に足りない。そのあまりにも過酷な現実を直視しながらも、ワトニーは決して生き延びることを諦めなかった。やがてワトニーの生存を知って衝撃を受けたNASAや同僚のクルーは、地球上のすべての人々が固唾をのんで見守るなか、わずかな可能性を信じて前代未聞の救出プランを実行するのだった……。

【作品レビュー】
まったくもって個人的などうでもいい話から始めて申し訳ないが、外惑星に置き去りにされた宇宙飛行士と聞くと、どうしてもウルトラマンの「ジャミラ」が思い浮かんでしまう・・・

本作品は『火星の人』というアンディ・ウィアーが書いた小説が元になっていて、原作とはストーリーがどう違うかは全く分からないが、第一に浮かんだ感想はなんて前向きで強靭な精神力を持つ主人公なんだろうということだ。そうでないとストーリーが進まないと言われればそれまでだが、決して火星という不毛な大地に置き去りにされても「科学を武器にしてのりこえる」という台詞の通り自分のスキルをフル活用して目前の問題を一つ一つ解決していく姿は一番心打たれる。これが逆に主人公が植物学者じゃなかったらどうなっていたんだと作品以外に想像力を掻き立てられのは良いストーリーである何よりの証拠である。

序盤の個人視点のカメラからの周囲の様子の見せ方から、割りとあっさり気味に主人公に起きた不幸を第3者からの視点で描いて他の仲間が理路整然と脱出していく様は、ワトニーには申し訳ないが観ていてとても気持ちが良かった。「エイリアン」のリドリー・スコットらしい見せ方だろう。そんな「エイリアン」と同じ様なパニック宇宙物映画として一線を画している部分があるのも興味深い。「エイリアン」はノストロモ号という広大な宇宙の中を佇む宇宙船内に残忍かつ凶悪なエイリアンがうろついており『閉鎖空間』という舞台が恐怖のテイストとして一役買っていたが、「オデッセイ」の場合は果てしない宇宙空間から火星という非常に広大な『閉鎖空間』が舞台となっており、自由がありそうだが慎重に行動しなければ死が待ち受けるという全く逆の状況をつくりだしたのだ。70歳を超えても尚、飽くなき挑戦心を抱くリドリー・スコットに敬意を払いたい。

エイリアンという異形の生物が分かりやすい恐怖の象徴であったのに対して、「オデッセイ」は逆に火星という全く違う目には見えない『環境』が敵になっているのも注目ポイントだが、実は映像では分かりやすく描かれていることに気づいただろうか?宇宙飛行士にとって知識や体力は必須の武器ではあるが、それ以上に求められるのは並々ならぬ『精神力』である。ここを念頭に入れていただいて少し作品の内容に触れさせて頂くが、序盤にワトニーを不幸に突き落とすきっかけは火星での『嵐』であり、それからワトニーにとって突きつけられた非常な現実を受け入れるときには『嵐』が吹いている。そして再びワトニーを絶望の淵に叩き落とすシーンでは半人工的ではあるものの『嵐』が吹き起こるのだ。観客に『嵐』又は『吹き荒れる風』に不安感をインプットさせ、後半で砂煙が吹いているのを見てしまうと心配させるように仕向けさせているあたり、今作品の最大の敵は『環境』という曖昧な見え方よりも明確に『嵐』と表現され、その前後にはワトニーの精神のゆらぎも描写されるのでエネミーに対するウェポンが『精神力』であることは明白なのだ。

その他にもこの作品は火星や宇宙工学に対する知識が観客の多くにとって薄いことも注目だ。専門家なら色々と突っ込みどころから思考ポイントが多いのだろうが、一般の人にとってこの作品は「ジャガイモ」以外一生関わらないであろう未知の物であるからこそ作品の全編にわたって言い知れぬ不安感と恐怖が作品全体を飽きさせないようにできているので2時間20分という時間があっという間に感じられる。

今作品の非常に個人的な見所はやはり昔の日本人なら懐かしい「うんこ」「排泄物」をジャガイモ畑に苦労してまいているワトニーの姿は必見であり、一瞬この作品でぜひとも多くの農家の人にはボットン便所を復活させていただきたいと切に願ったほどだ。それと必要以上に調味料は使うまいと教訓があるところだ!

最後にブルーレイ版の特典として収録された本編の前後を描くオリジナル・エピソードの力の入れようは大きな拍手を送りたい。「アレス3:明かされる真実」、「アレス3:別れの挨拶」、「適性検査」、「アレス:史上最高難度のミッション」、「アレス・トレーニング」、「マークの生還を祈る人々」。本来なら全ての特典の話をしたいが、個人的にはこれ等のおおよその時系列順をお話するだけでご容赦願いたい!もし初めて見る人がこのオリジナル・エピソードを踏まえてみる気があるなら参考にしていただきたい。「適性検査」→「アレス:史上最高難度のミッション」→「アレス・トレーニング」→「アレス3:別れの挨拶」→「オデッセイ 本編」→「マークの生還を祈る人々」→「アレス3:明かされる真実」。この順番で見れば間違いなく「オデッセイ」ワールドにどっぷり入れ込めるのでオススメだ。先に「アレス3:明かされる真実」から見て本編を見るという「スター・ウォーズ」でいうⅣ・Ⅴ・Ⅵ→Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのような順番で観るもよし。ブルーレイを買って観なければ決して味わえない体験なので強く購入をおすすめする!

『オデッセイ』
6月3日(金)ブルーレイ&DVDリリース!!
<4月27日(水) 先行デジタル配信開始>
発売元:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
公式HP:http://www.foxmovies-jp.com/odyssey/

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