映画『死体の人』奥野瑛太&唐田えりかのオフィシャルインタビューとオフショットが公開!

 

【以下プレスリリース文掲載】

 

主演に奥野瑛太(「最愛」『グッバイ・クルエル・ワールド』)、ヒロイン役に唐田えりか(『寝ても覚めても』『の方へ、流れる』)を迎えた、ユーモアとペーソスで描いたハートフルな人間ドラマ映画 『死体の人』が渋谷シネクイントほかにて全国順次公開中です。

この度、主演・奥野瑛太とヒロイン役の唐田えりかのオフィシャルインタビュー、そして撮影時のオフショットが公開となりました!
「生きること・死ぬこと」を描いた本作と向き合うことで、「演じること」についても改めて考えるきっかけとなり、奥野と唐田がお互いに受けた影響や、草苅監督への愛と信頼感にあふれた現場について語っています。
オフショットには劇中劇で<死体の人>が披露する、溺死・ゾンビ化・柿ピー食べ過ぎ死(!?)といった姿や、リラックスした姿で撮影に臨む唐田の姿を捉えています!

 

 

 

『死体の人』 奥野瑛太さん オフィシャルインタビュー

続けていたから、たまたまこの映画にめぐりあうことができたんだと思います。

──出演の経緯を教えてください。

まず脚本を読ませていただいたのですが、お会いしたことのない草苅監督の顔が浮かびました。「これを書いた人はユーモラスで優しい人なんだろうな」と。それと同時にこの脚本は、この人にとって一生に一本書けるかどうかのものだと思いました。監督が持っているパーソナルな感情や現状を包み隠さず晒している青春のようなものを感じて、素直にこの作品に関わりたいと思えました。ただ、主演の吉田広志を演ることだけは気が引けました(笑)
これだけ監督の顔が見える作品で、自分がその人を演じるのキツイなって。限られた撮影時間や制約の中で本人に見守られながら吉田広志という人間になれるのかと試される…まぁ、嫌だなぁって(笑)
なので、監督に初めてお会いした時に『いろいろ考えましたけど、正直、僕はミスキャストです。』とお伝えしました。
それでも監督は、僕に演じてほしいと言ってくださったので、覚悟を決めました。

──物語に対する印象はいかがでしたか?

真面目さが空回りしてしまうのは、撮影現場に限らず社会のあらゆる場で見られるものだと思いますが、この物語は死体役にフォーカスすることで死生観まで描いています。生きることや死ぬことを言語として理解しようとするのではなく、そこに向き合う姿勢や人柄に光を当てている。生きることへの「情」みたいなのが死体役を通じて滑稽にも優しく描かれて好きでした。僕自身、普段似ているようなことをしているので本作が内包するテーマと僕自身が持つ考えとがリンクする部分がたくさんありました。死ぬ演技をするために必死になって生きようと、今でもチャレンジしています。

──“死体の人”こと吉田広志に対してはどんな印象を抱きましたか?

本作に参加している期間は、これまでの活動の中で身につけたもの、身についてしまったものを見つめる貴重な時間になりました。僕自身、いろいろ埃がついてきたなと反省するばかりです。下手に撮影現場の現実に触れ、広志のような温かく優しい前向きな気持ちばかりで仕事をしてこられたわけではないのかもしれません。広志が歩いているような道を僕もたどってきましたから、すごくシンパシーを感じる反面、広志と違って僕はどちらかといえばひねくれている。通じ合う部分があるからこそ、この誤差は演技をするうえでもかなり大きかったと思います。

──初タッグとなった草苅監督の現場はいかがでしたか?

本作が描いているのは僕にとって身に覚えのあることばかりでした。だからこそ、現場では意見をすることも多かったです。そんな僕に、そして何よりも吉田広志に、監督は寄り添ってくれました。というか、広志と草苅監督は僕の中で重なっていたので、監督の考えや見えているものに少しでも近づきたいと思っていましたね。現場でのやり取りは、一緒に積み木を重ねていくようなものでした。全体像が見えているのは監督ですので、一度監督に広志を演じていただきました(笑)。どの作品でもそうでしょうが、監督にとってこれが一生に一本の作品だろうからこそ、本当に撮りたいものが撮れているのか気になっていたんです。

──唐田えりかさんとの初共演はいかがでしたか?

芯があるけど、掴みどころがない。透けているような瞬間があれば、はっきりとした色合いで強く輝くときもあって。その揺らぎのようなものに魅力を感じました。殊に何かをストレートに伝える力を持っている方で、素敵で素直なエネルギーをたくさんいただきました!

──本作を経て得たものは何でしょう?

人としても俳優としても「死生観」というものに改めて触れる良い機会でした。死体役を演じることを通じて、どう「生きる」事と向き合うか。僕自身普段息をしてて、エロスよりもタナトスのような感覚が強いといいますか、ピンとくるんですが。逆に広志は本当にネアカだからこそ”死”について深く考えようとできるのかなと。その場その場で一生懸命に生きようとしちゃうってなんなんだろうなって考えさせられました。今までもこれからもあっちゃこっちゃ行ってごちゃごちゃ悩むんだと思いますが、少なからずともそんなふうに活動を続けていたから、今回この映画にめぐりあうことができたんだと思います。

Interview & Text:Yushun Orita

 

唐田えりかさん オフィシャルインタビュー

 

・お芝居ができることの幸せを噛み締めていました。

 

──出演の経緯を教えてください。

 

オーディションに参加したのですが、久しぶりだったのですごく緊張したことを覚えています。事前に脚本をいただいていたので、自分なりに作品の全体像をイメージできていました。とはいえもちろん、すべてを理解できていたわけではありません。ただ、まだお会いしたことのない草苅監督がどんな方なのか、脚本から感じることができていました。何よりもユーモアを大切にする、きっと温かい方なのだろうなと。そこから監督が求めているのであろうものを読み解いて、オーディションに臨みました。本作はなかなか光の当たらない役者をやっている主人公だけでなく、加奈という一人の女性の成長物語が描かれているのに惹かれましたし、これを演じられれば私にとって大きな一歩になる。出演が決まったときは嬉しかったですし、あの頃の私としてはお芝居ができることの幸せを噛み締めていました。

 

──物語に対する印象はいかがでしたか?

 

私自身も役者なので、主人公の広志に共感する部分が大きかったですね。一生懸命になるあまり、どうも空回り気味になってしまうところとか。広志の撮影現場での姿を思い浮かべては、「役者はもっと柔軟でいなくちゃダメだ」と考えさせられたりもしました。本作はそういった物語を描いている一方で、人の生と死をもテーマに描いてもいます。加奈は新しい命と向き合うキャラクターでもありますから。私が広志だったらどうするか。私が加奈だったらどうするか。と、自分自身のことに置き換えて考えていました。何度もクスッっと笑える作品ですが、それだけじゃないんです。

 

──加奈というキャラクターに対してはどんな印象を持ちましたか?

 

彼女はこれまで私が演じたことのないタイプのキャラクターなんです。今まではおとなしい性格の役を演じることが多かったので、加奈との出会いは刺激そのものでした。私自身もそうなのですが、加奈は非常に不器用な人間です。けれども彼女は自分にとって大切なものができることで、やがて強い人間へと変わっていきます。社会の中で一人の人間として立つことができるようになっていくんです。この過程を実際に演じてみて、私自身の芝居も自然と変わっていくのを感じていました。

 

──奥野瑛太さんとの初共演はいかがでしたか?

 

最初の本読みの場で初めて奥野さんが広志のセリフを発したとき、衝撃を受けました。その時点で奥野さんは完全に “死体の人”だったんです。私の想像を超えた次元で、もう目の前にいるんですよ。奥野さんは一生懸命なのに思わず私は笑ってしまい、失礼なことをしてしまったと反省しています。でもそれくらいすごかった。だから現場でも奥野さんの存在は大きかったですね。奥野さんの熱量の高いお芝居に影響を受けて、私も自然と変わっていきました。今回ご一緒してみて、いち役者としての自分自身を見つめ直すきっかけを与えてくださいました。「役者ってこういうことだ」って。あの役は奥野さんにしか演じられないんじゃないでしょうか。

 

──初めての草苅監督の現場はいかがでしたか?

 

草苅さんがとても大切にしているポイントがありました。表情の感じや声のトーンなど、こだわるところは細部までこだわる方なんです。でも、一方的に演出をつけるわけではなく、役者に寄り添って一緒に考えてくださいます。奥野さんの存在もそうですが、草苅さんの存在があったからこそ生まれた加奈の姿が映画には収められているはずです。本読みの段階では広志と加奈以外の役のセリフを草苅さんが読んでくださったのですが、やっぱり上手いんですよね。なので現場で演出をされるときもそうで、監督が望んでいるものが具体的かつ明確で分かりやすいんです。役者の生理というものを理解されている方なので、不器用な私にはすごくありがたかったです。あと印象的だったのは、草苅さんと奥野さんのやり取りですね。奥野さんは役にのめり込んでいて、少しでも気になることがあればすぐに草苅さんに相談していました。これまで私自身は何か気になることがあっても、言語化することに自信が持てなかったりして、自分の中で完結させていました。正解は監督が持っていて、いかにしてそこに到達するかを考えていたんです。でも映画作りって本当はみんなでやるものですよね。改めてそんなことを考えさせられる機会になりました。

 

──本作を経て得たものは何でしょう?

 

演じることが好きなので、私はこの仕事をやっています。でも演じることに楽しさを感じられる次元にまではまだ至っていません。いつも完成したものを観てようやく、「この仕事をしてよかった」と思えるんです。演じることは楽しい反面、辛いことも多いです。本作でも加奈の置かれている境遇的に、楽な心境ではありませんでした。けれども同時に私自身、演じる環境があることが心の支えになってもいます。久しぶりに現場に立てたこと、そして本作のテーマに触れてみて、私が得た気づきです。

 

Interview & Text:Yushun Orita

 

 

映画『死体の人』

渋谷シネクイント他全国順次公開中

Ⓒ2022オフィスクレッシェンド

 

<キャスト・スタッフ>

奥野瑛太 唐田えりか
楽駆 田村健太郎 岩瀬 亮 /烏丸せつこ きたろう

監督:草苅 勲
脚本:草苅 勲・渋谷 悠

主題歌:「僕らはきっとそれだけでいい」THEイナズマ戦隊(日本クラウン株式会社)

 

 

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