【連載コラム】畑史進の「わしは人生最後に何をみる?」 第9回 バイオハザードRE:3がめっちゃ面白かった件

 

畑史進(編集長Twitter):https://twitter.com/cefca_vader?lang=ja

 

 

先週4月3日、コロナが暴れまくる中で発売された『バイオハザードRE:3』がめっちゃ楽しかったです。以上!

 

・・・という感じでレビューを終わらせようかと思ったけど、それじゃあんまりなので今日は現実とゲームの状況が上手いこと噛み合ってしまった稀有なゲーム作品のレビューをしていこうと思う。

 

周知の通りこの作品は『バイオハザード3 ラストエスケープ』を現代風のTPSにリメイクした作品で、この旧作は今でも僕の中ではシリーズの中で傑作中の傑作だと思っている。

というのも、元の作品はバイオシリーズの中で初めてクイックターンや緊急回避といったアクションが初めて実装され、今の「アクションバイオ」の礎になったともいえる作品だった。この作品から一本道のマップに点在するゾンビやB.O.Wを撃破してポイントを競う「マーセナリーズ」が実装されていることからも分かると思う。

 

懐かしい話題に入って比較する前に単純にこの作品自体の評価をするなら、サクッとゲームを立ち上げてクリアするまでには5~6時間程度と非常に気楽なボリュームに仕上がっていてかつ、旧バイオ3の作品性を損ねないで現代に忠実に蘇らせた。という一言に尽きる。

 

 

元々の作品もボリュームがそんなに多いというわけではなかったし、あのバイオ3のリメイクと知っていたらまぁこんなものかと納得が行くはず。逆に知らない人からすると「8000円近く払ってんのにこんなもんなの!?」とぶったまげるのも無理もないと思う。まぁこのゲームはボリューム少なくして、何度もリプレイをして楽しむことが売りだったんだけど、もう一つ「マーセナリーズ」というミニゲームのボリュームがほど良く中毒性もあったので、これでハイスコアを狙うために何度も何度も挑戦することが本編のボリュームが少なくても許された部分でもあった。

 

 

ところがどっこい今回のリメイクにはこの楽しかった「マーセナリーズ」がまるっと削除されているからクリア後のお楽しみがただの難易度上げた周回プレイかポイント稼ぎのための作業か周回プレイか、とにかく周回プレイしか楽しみがなくなっているものだから困りもの。後述するけど一応『バイオハザード レジスタンス』っていう協力型対戦ゲームが収録されているけど、『バイオハザードRE:3』とは別モノのゲームとして扱われている。

 

ボリュームに関して言うなら前作『バイオハザードRE:2』も『RE:3』と比べて多いかと言うと決してそうじゃなく、「レオン表→クレア裏」「クレア表→レオン裏」というマップ使い回しを前提とした作りになっているからボリュームが滅茶苦茶多いように錯覚するわけで、実際のところは「多いことは多いけど、レオン単品、クレア単品で言うなら『RE:3』より多い」というくらいだと思う(ゲームにおいての使い回しは『ポートピア連続殺人事件』なんかの時代からの常套手段なので気にはしていない)。なので『RE:3』だけやたら「ボリュームが少ない!」と攻めるよりは「使い回しの要素がすくねぇ!」と指摘するほうが適切なんじゃないかなぁと思う。

 

あとこれは旧作とリメイク両方に共通していることだけど、『バイオ2』『バイオ3』って感染したラクーンシティを舞台にしているけど、『バイオ2』でのラクーンシティってそんなに探索できたわけでもなくて、案外さっさと警察署の中に入ってその中で探索させらて、タイラントと遭遇後は下水道に潜ってさっくりと研究所にむかってしまう。寧ろ『バイオ3』の方がラクーンシティが観光を楽しめちゃう。

あとストーリー的にもカタルシスがあるのが『バイオ3』で、「ラクーンシティでのt-ウィルスのパンデミック」という人々が混沌の渦に巻き込まれている様相から物語が始まって、「ラクーンシティの消滅、滅菌作戦」というド派手なやり方で物語を終わらせるという内容で中々にぶっ飛んでる。一方の『バイオ2』ってこれが簡潔と言わんばかりのまとめぶりで岡本吉起さんから「続編の制作に支障が出る」って言われてから含みのあるストーリーや設定を散りばめて終わらせていることもあって、内容自体起伏のあるものかってなると実はそうでもない。思い出してもらえると分かると思うけど、レオンとクレアが感染しきったラクーンシティに入って、その中から脱出するだけというジョージ・A・ロメロの『ゾンビ(ドーン・オブ・ザ・デッド)』と内容があまり変わらない(あの映画も突如はじまって何も解決せずに終わるしね)。別に『バイオ2』をコケにする気は毛頭ないんで比較はこのくらいにしておくけど、『バイオ3』が盛り上がりに欠ける、ボリュームがないという世論に対してなんだかなぁと思う部分があったんで書いときました。

 

 

さて肝心のゲーム部分について話をしてさっさと終わりにしたい。

今回の緊急回避システムの中にはスローモーションになって、敵クリーチャーの攻撃を完全に避けきった後に銃を構えたら自動で標準が急所を狙う様になっているのが凄く気持ちい。これは元々の『バイオ3』にもあったような“挙動”だけど、最新ハードの技術で甦った演出は中々にカッコイイし、クリティカル率も上がるので積極的に使っていきたい。こう書くと必ず緊急回避後には射撃したほうが良いのかという話になるけど、実はそうでもなく、攻撃寸前のクリーチャーがいたりすると射撃中に襲われてあえなくダメージを受けたりもする。回避は3回まで連続での発動が可能なので必ずしも緊急回避後の射撃が正しいというわけでもない。プレイヤーには常に次の行動の選択を迫られるという中々にシビアな作りになっている。感のいい旧作プレイヤーならこれがかつての『バイオ3』にあった「ライブセレクション」を模した作りになっていると気づくはず。ライブセレクションについて書くと長くなってしまうので簡潔に言うと、特定の場面に入ると突如画面の色が反転して選択肢が2つ現れて、その選択に応じた展開がされていくという斬新なシステムがあった。これをうまく昇華しているようで僕としてはこの回避システムは現代的で良いなぁと思ったわけ。

ただこの緊急回避もちょい難有りで、無敵判定のタイミングがどうなっているのか検討がつかない。『モンスターハンター』や『キングダムハーツ』みたいに相手の攻撃に対してジャストタイミングで発動すればいいというものでもなく、なんとなく回避発動から0.3秒位で無敵時間があるようなときもあれば、明らかに回避できてないだろという様な敵クリーチャーの攻撃終了した演出のタイミングでボタンを押したら緊急回避判定になっていたりとイマイチつかめないシステムになっている。

 

 

システム面の不満を言うと、イベントボタンの発生角度があやふやな設定になっている所。キャラクターは明らかにイベント対象物に対して向いて、画面上もイベント対象物に対して位置表示をしているにもかかわらずイベントが発生可能の表示に切り替わらずにいることがある。

特にひどいのがグレネードランチャーを初めて取得するエリアには真隣にセーブをするためのタイプライターが置いてあり、どちらもイベントボタンを押して使用、取得する用になっている。ここでプレイヤーが先にグレネードランチャーを取得しようとグレネードランチャーに向かって○ボタンを押すとセーブ画面に行ってしまい、ここで誤って連打してしまうとセーブまで行ってしまう。

今回のSランククリアにはセーブ回数が5回と決まっているのに対して、この事故の発生はひどい。これがゲームのシステムに寄るものだったらなんとも言えない心地悪さを残すだけ。これは早急に改善して欲しい所。

 

今作最大の特徴を言うと「全体的にゾンビが硬い」。今作は難易度が全部で5段階まであり、一番標準的なスタンダードモードでもゾンビ1体を倒すのに10発ほどハンドガンの弾を使わないと倒せない。『RE:2』で常套手段となった足の破壊を狙っても中々破壊が出来ないほどの硬さで、前作にましてうようよするゾンビに対する対処が中々に厳しい。

難易度が上がるとこの傾向は更に過激化し、最高難易度になるとダメージが通っているのかどうかさえ疑わしい。そのために今作は「猛攻のコイン」を始めとした補助アイテムが用意されているが、正直これを取らないとまともにゲームにならないほどの鬼畜難易度となっている(もちろん無くてもクリアできる)。更に、これらの補助アイテムを使うことを前提としたようなクリアタイムの設定も儲けられているため、今作は「レコード」というやりこみ具合でポイントを稼ぎ、ポイントから無限武器や各種コイン、キーアイテムを最初に用意する必要がある。

このポイントを使って無限武器を開放していくシステムも旧作『バイオ3』からの流れで、こうした「初心者でも頑張れば無限武器を開放できる。開放して爽快感が味わえる」という点が『バイオ3』の良い所でもあったりした。

 

今作の『RE:3』のメインストーリーが周回前提のボリュームで、さらにレコードというお題が用意され、達成するとポイントを貰い、そのポイントを使って無限武器や攻略補助のアイテムを入手する。そして今度はどういったプレイをしようかと計画するというのは中々にいい塩梅に作られているなと感じた。加えて無限武器の使用がランクに影響しないというのは「もっと高みを目指してみようかな」と思わせる良いスパイスになっているので、この点は良くやったと褒めたい部分であり、今回の最高難易度が無限武器や補助アイテム使用を前提にした作りなのもうなずける(無限武器を開放するまでの過程が苦労するのに開放した後はやること無いし、使うとランク下がるしはやる意味あるの?になるしね)。

ただ難点なのはこの手のお題達成には「稼ぎプレイ」という作業じみた行程になってしまうので、つまらなくなってしまう。なので、全ての要素を開放する前に飽きてしまうこともある。そのための「マーセナリーズ」だったので削除は誤った判断だと思う。

早急に「マーセナリーズ」を追加アップデートで加えて欲しいところですよ!

 

 

あとグロテスク表現に関していいたいんだけど、海外版がリージョンフリーでプレイできるのにCEROという存在価値皆無な監査団体のせいで表現規制された物を国内で販売するのはいかがなものでしょうかね?

『RE:2』のときにも思ったんだけど、頭が吹き飛んでいるのかどうかってゾンビの生死の判断基準になって、日本版は吹き飛ばないから生きているのか死んでいるのかの判断基準が無いから変に難易度上がっているのよ。これって良い難易度の上げ方じゃなくて、完全に死んだと思ったらそうじゃなくて、不意に噛みつかれることもあって結果として理不尽な難易度になっているのと変わらないのよ。噛みつかれなくても生死確認のためにハンドガンの弾を使って確認したりしなきゃいけないからゲーム全体のバランスとして非常にリスキーなものになってる。

思うのがね、CEROはいい加減、生産者表示農家のおじさんおばさんみたいに「私が審査しました」って顔写真と名前付きでエンディングロールに載せろよ!!!

無責任すぎると思います(怒)

 

 

最後に『バイオハザード レジスタンス』について触れると、1対4のマルチプレイゲームで、1人のプレイヤーが決められたエリアの中にゾンビを始めとしたクリーチャーを配備して相手プレイヤーの排除を試み、一方の4人のプレイヤーはお互い助け合いながら指定時間の間にエリアから脱出するという『デッドバイデイライト』のバイオハザード版といった感じの内容のゲーム。もちろんクリーチャー操作側はタイラントを操作することもできる。

 

肝心の評価だけど端的に「つまらなかったです!」。やりたいことは分かるけどゲームとしてつまらない、この内容じゃ抱き合わせ商法みたいに見える。そもそもこれって『バイオハザード』でやる意味を感じない。

どうせなら『スター・ウォーズ バトルフロント』の「ヒーローVSヴィラン」みたいにプレイヤー4人対4人のマルチプレイにしてヒーロー側は「クリス、レオン、クレア、ジル、バリー、カルロス、レベッカ」から選んで、ヴィラン側は「タイラント(1)、タイラント(2)、ネメシス、ウェスカー、リサ・トレヴァー」を選んでかち合わせるくらいが面白かったんじゃないかなぁと。まぁこのゲームシステムで「ヒーロー4対ヴィラン1」のPVPでも良かったんじゃないですかね。

 

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