無免許編集長の畑と交通ジャーナリスト吉田が体験してきた! 4DXスクリーン版『フォードVSフェラーリ』インプレッションレポ

【以下プレスリリース文掲載】

 

1月10日に公開された『フォードVSフェラーリ』。こちら全国の4DXならびにスクリーンX対応映画館では各種アトラクション的な鑑賞体験が可能となっている。

この度編集長の畑とジャンクハンター吉田(交通ジャーナリスト:吉田武)の2名でこの2つの要素が合わさった「4DXスクリーンバージョン」を鑑賞してきたのでその体験レポをお届け!

 

【畑編集長 体験レポ(自動車運転免許無し)】

 

自動車免許無し。夢は「いつかお金に余裕ができたら運転免許取ってキャンピングカー乗り回したかったな」。

昨今の経済不況と増税で自働車運転免許取得すら夢となってしまいましたが、自動車の運転は『マリオカート』『クラッシュバンディクーレーシング』『リッジレーサー』『グランツーリスモ』と経験豊富。そんな私が最近話題の『フォードVSフェラーリ』の4DXスクリーン版を鑑賞してきました。

 

4DX、スクリーンXそれぞれ単品で体感したことはあっても「4DXスクリーン」なんて体験はこれまでなかったので、どれだけ作品に合わせてチューニングしているかとても楽しみにしておりました。

 

だらだらとあらすじに沿って書くと飽きられそうなので簡潔に書くと「スピード感に特化したチューニングでこれはこれでよくできている」と感じます。

 

これまでエンタジャムでは『ミッション・インポッシブル』や『ガールズ&パンツアー』『アナベル』と色んな4DX体験のレポートをお伝えしてきましたが、実はいづれもジャンルが違う作品ばかりで、4DXのチューニングからスクリーンXの3面スクリーンの使い方もそれぞれ違いがあったわけです。

この作品はカーレースをテーマにしている通り、作品の至るところに猛スピードで走る車が映し出されます。どのシーンも基本的に運転手の目線よりはるかに下の方にカメラが置かれるため、2D上映でもそのスピード感が感じられたかと思います。

これが4DXスクリーンと合わさってどのような体験になるのかというと、4DXは座席の振動の大きさや顔に吹き付ける風、カーブに合わせた傾きから襲ってくる強烈なスピード感をリアリスティックに生み出す。そこにスクリーンXが投影する運転席の映像が観客に圧迫感を植え付けるので、観客は運転する側の緊張感をより強く感じるようになっているわけです。

 

特にお気に入りなのがヘンリー2世の融資を受けるためにGT40の試作機の助手席に載せて異次元とも言うべきスピードを体感させるシーン。ここではヘンリーのブヨブヨに太った体格がドアップで映るため、ただでさえ狭苦しいスポーツカーの運転席にさらなる圧迫感を与えるなんてある意味芸術的ですよ。そこから猛スピードで試運転するシーンにつながると観客もヘンリー2世と同じ様な感情を抱くので、スピード重視の4DX体験としては完璧な構成、演出だと思いました。

 

 

他の4DX作品と比べるとあんな機能やこんな機能が使われていないと若干不満に思うかもしれないけど、この作品は「スピード重視」のカーレース作品なのでこれで十分なんです。

マイカーは持っていてもスポーツカーは持っていない、夢のまた夢、ある意味夢を叶えてくれる作品がこの4DXスクリーン版『フォードVSフェラーリ』なんですよ。

 

よし!「60過ぎたら自動車免許を頑張って取得するぞ!70歳ころにはスポーツカー買ってブイブイ乗り回そう!」

 

【ジャンクハンター吉田 (交通ジャーナリスト:吉田武)レポ】

 

とっくに劇場公開されている『フォードvsフェラーリ』ですが、未見でにあったのでせっかくならばと池袋にあるグランドシネマサンシャインにて4DX版を鑑賞。モータースポーツ好きなのでどっちにせよ観に行こうと思っていた本作。あのレース用マシンから響くように奏でるエキゾーストノートを4DXで味わうとどうなるのか気になったこともあり、初見でいきなり4DXを選択。

 

物語はフォードがフェラーリを買収しようとしていたところ、フェラーリ側の高いプライドが邪魔して白紙に。そこでバカ息子扱いされたヘンリー・フォード2世がル・マン24時間耐久レースでフェラーリを倒すためにチームを結成させて挑む……という実話をベースにしたNHKの『プロジェクトX』的な内容なので、クルマに興味ない人も知識ない人でも熱い男たちのロマン(BL要素はない)に感情移入させられるはず。

 

50歳のオッサン的にはスーパーカーブームを味わっていた世代でもあり、その前だと『マッハGoGoGo』でアニメからレーシングカーを堪能していたわけで、最新のガチガチなコンピューター制御だらけのレース用マシンと違い、ドライバーの腕次第で、というかドライバーのテクニック+マシンと一体化するぐらい気持ちが入り込めないとレースでは勝てない時代……つまりレーシングカーのデザインやフォルムが流線的に変わってきた1960年代半が作品の舞台になっているので昔からモータースポーツが好きなクルマ好きには本当にたまらない内容なんですよね。

 

作品背景にフォードとフェラーリの企業競争があるけども、これも実話だったからこそ観る者に対し徐々にリアリティーが発生していき、気が付くと「アメリカ負けるな!」状態に。クライマックスのル・マンでの耐久レースシーンでは日本人も参加していたから実況する日本人のアナウンサーもいたけど、勝つためのレース……というか、ケン・マイルズという男が自動車修理工も経営していた経験によるマシンスペックを完全に熟知したレーシングドライバーであるため、極限までクルマのポテンシャルを引き出せる能力が一流のドライバーになる夢と共に最後まで輝く演出に日本人でも胸が熱くなってしまうのですな。面白いのがケン・マイルズは英国人なので一服するのはコーヒーじゃなく紅茶、つまりお茶なんですよね。コーヒーを飲む文化で育ってないことを物語前半から表現しており、何回か会話でお茶の話が出てくるシーンはどうしても笑みがこぼれてしまう。

 

 

このようなスピード狂が登場するクルマを主軸にした作品の萌えポイントって、シフトペダルを踏むクローズアップショットとシフトレバーを動かすクローズアップショットが編集でどこまで上手くできているかだと元走り屋として声を大にして言わせて頂きたい。『ハイウェイマン』なんかは鬱陶しいぐらいこのクローズアップショットを挿入していて、「もしかしてこれってスピード狂フェチのためのシーンじゃねーのか!?」と思わせるほど。当然『フォードvsフェラーリ』でもしつこいぐらい繰り返してくれたので、ジェームズ・マンゴールド監督の”わかっている感”に脱帽。

 

若い人であればスピード狂が競う映画だと『ワイルドスピード』シリーズになるだろうが、オッサンからすると『栄光のル・マン』『グラン・プリ』に燃えつつ、F1レースにおける命懸けの連中が登場(実際にクラッシュシーンや事故死なども描かれていた)し、舞台裏まで描ききった傑作ドキュメンタリー『ポール・ポジション』(ヤン・デ・ボンが撮影監督を務めていてキアヌ・リーヴスの『スピード』で経験がかなり活かされたそうな)。直近では『ラッシュ』なんかが良くできてましたなぁ。と、モータースポーツ大好きオヤジとしてはぶっちゃけ『フォードvsフェラーリ』の企業競争なんかどうでもいいんですよ。熱く滾るレースシーンこそが真のドラマだと思っているぐらいなので(苦笑)。

 

 

劇中ではNASCARでのレースシーンも出てくるが、アメリカのモータースポーツ文化の象徴がこのデイトナで行なわれるレースであり、楕円形のコースを延々と走るだけの単調レースと思いきや、わざとぶつかってクラッシュさせるのもテクニックだったりと、実は緊張感の高いレースでもある。詳しくはトム・クルーズの『デイズ・オブ・サンダー』を観ればある程度の知識は身に付くんじゃないかな。ちなみに『フォードvsフェラーリ』でマット・デイモンがフェラーリ陣営のピット上へナットを1個さりげなく放り投げるシーンがあるんだけど、以前NASCARのレーシングドライバーから話を伺ったことがあり、「マシントラブルが発生するかもしれないとピットイン時間を滞留させるため、パドックを混乱させたりするうえではデイトナでは常套手段なボルトやナットを投げ入れる行為は戦略的嫌がらせで良くあった」と。まさか『フォードvsフェラーリ』でマット・デイモンがとある事案での仕返しで行なうとは! そういう背景を知っているとあのシーンのあざとい面白さが増す♪

 

ケン・マイルズ演じるクリスチャン・ベイルのストイックな芝居に驚かされた。生前のケン・マイルズは自動車修理工の癖から猫背になりがちだった部分まで完全再現。大昔ヒストリー・チャンネルか何かでケン・マイルズを描いたドキュメンタリーを観た時の本人とクリスチャン・ベイルがソックリなほどオーバーラップ。劇中におけるベイルを見ても相当減量して(『マシニスト』ほどではない)挑んだのも伝わってくる。修理工出身のレーシングドライバーならではな、少しでも車体を軽くする=体重が少ないほうが説得力も出るわけで、素晴らしい熱演に心揺さぶられる。マット・デイモンはいつものマット・デイモン(と言っても意味わかんないと思うが、アクション映画以外での彼は常にノーブルな雰囲気を出していることで時折笑いもの扱いされている)で安定していたし、なんといっても光り輝いていた助演はジョン・バーサルでしょう。彼が出演している作品にはハズレがないほど”あげちん俳優”だといつも感じてしまう。『ウォーキング・デッド』のシーズン1&2では気の毒な役を演じさせられていたが、それ以降ドンドン頭角あらわしていき、顔面を鼻中心にぶん殴られて骨折したまま固まってしまったようなあの表情が個性的すぎて嫌でも目に飛び込んでくる。

 

おっと、熱く作品を書きすぎてしまったので4DXでの鑑賞した感想をまったく書いてなかったことに今気づきましたわ(汗)。グランドシネマサンシャインでの4DX体験は三面スクリーンだったためか、レースシーンになるたび映像が左右の壁へ拡大されて包まれるような臨場感が体験できた……と同時に、ムービングシートが揺れまくるので(『マッドマックス 怒りのデスロード』ほどじゃないけど)ケツが椅子からズリ落ちそうになること多々。しかし、三面スクリーンが没入感を増大させてくれるので本編への集中力は決して途切れることはない。レーシングカーから炎が出ると耳元から熱風が吹かれるわ、ル・マンでの雨のシーンでは天井から霧上の水が降ってくるわ、車両の速度が上がるほど劇場内に風が吹きまくるわで、鑑賞料金3300円以上の価値はあった。素晴らしい映画に臨場感のおかげで感情移入度が追加されるので本当に4DXでの上映は観るべきですぞ!

 

 

最後に……どの企業でもそうだけど副社長という輩は常にポジショントークしかできないクソ野郎ですね。本作を観て改めて感じました。

 

『フォードvsフェラーリ』

映画 『フォードvsフェラーリ』 2020年1月10日(金)全国ロードショー
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

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