映画『キラークラウン』の非対称対戦ゲーム『KILLER KLOWNS FROM OUTER SPACE:THE GAME』が面白いぞ! 日本先行レポート!

【文・畑史進(編集長)】

 

映画『キラークラウン』(英題:KILLER KLOWNS FROM OUTER SPACE)はキオドブラザーズが制作したSFコメディホラー映画で1988年に公開された。

監督はスティーブン・キオド、脚本はチャールズ・キオド、スティーブン・キオド。

日本ではなかなか聞き馴染みがないタイトルなうえ、視聴するにはDVDかBlu-rayで観ることはできるがいずれも探すのは困難。だが、アメリカ中心とした英語圏では近年もフィギュアやピンバッジやキーホルダーなど新規のグッズが作られるほど、根強い人気のあるカルトカルチャー的な立ち位置の作品だ。

 

内容は外宇宙からピエロが地球にやってきて、人間たちを攫ってはサーカステントに連れ込んで殺してしまう。といったよくある単純なホラー者だが、ピエロという風貌やポップコーンの銃や綿あめのようなコクーン、パイ投げなどバイオレンスなサーカスというテーマのもとに、作品全体がおもすぎるホラーではなくコメディテイストに徹していることから大人から子供まで見られるようなユーモア溢れる作りになっている。日本で言うところの『学校の怪談』的な雰囲気だと思えばとっつきやすいかもしれない(しかもガッツリ子供よりになった2とか3のあたり)。

この映画の特筆するべきところは、ピエロは本来、顔に直で白塗りに赤い口紅を塗るものだが、映画では一体一体がラバーマスクで個性豊かに作られており、その上ある程度瞬きや口元が動くといった細かな作りで、馬鹿げた内容にも関わらずしっかりと真面目に作られているのが好印象。現代もなお色褪せないピエロの作りには脱帽だ。

 

本来邦題は『キラークラウン 外宇宙からの侵略者たち』とするべきだった。というのも、「キラークラウン」だけだと実際に男娼を33人、しかも全員未成年の殺人事件を犯したジョン・ゲイシーという輩がいるので、こっちを連想してしまうし、その結果映画の先入観が『悪魔のいけにえ』や『死霊のはらわた』のようなガチモノを期待してしまう。今ほど映画の情報が溢れていない80年代末期にこれはあかんかった。

 

現在は惜しいことに配信も存在しない作品だが、気になる人はレンタルショップかビデオの購入をしてその目で確かめてほしい。

 

さて、そんな『キラークラウン 外宇宙からの侵略者たち』だが(便宜上『キラークラウン』とする)、イルフォニックより『KILLER KLOWNS FROM OUTER SPACE:THE GAME』というタイトルで7対3の非対称対戦ホラーゲームとして発売される。

 

非対称対戦ホラーゲームとは、『デッドバイデイライト』のような殺人側(キラー)と、人間側に分かれて、殺人者からの凶行を逃れつつ脱出を図るという内容のゲーム。

イルフォニックは過去にも『プレデター:ハンティング・グラウンズ』や『13日の金曜日:ザ・ゲーム』『ゴーストバスターズ:アンリーシュド』など、有名ホラー映画のIPを使った非対称作品を手掛けている。

 

本作に関しては昨年、2023年の東京ゲームショウでイルフォニックのチャールズ・ブランガード氏独占インタビューを敢行しているのでそちらも見てほしい。

 

 

今回、いよいよ完成の近い本作の試遊を特別にさせて頂く機会を得たのでレポートとしてお届けする。

 

ピエロサイドのプレイ!

 

まず最初にプレイしたのはピエロサイド。

これは非常に単純で、逃げ惑う人間を追いかけて殺害するか、綿あめコクーンにして吊るす。綿あめコクーンにする方法は、映画と同じようにビーム銃を使って規定量人間に当てるだけでいい。コクーンにしたあとは指定の場所に持ち込んで吊るすだけだが、この間、人間サイドも抵抗して綿あめの中から脱出することもできる。人間サイドがナイフを持っていたら比較的早く脱出することもできるそう。

 

 

殺害は至って単純で、手にしているハンマーなどで人間サイドのHPが無くなるまで叩くだけでいい。一定量HPが減り、ノックアウト状態で特定のボタンを押すだけで「フェイタリティ」という特殊演出を発動させることが可能。この「フェイタリティ(クラウンタリティ)」は様々な種類があり、ロードアウト画面でカスタマイズすることで「今日の殺しかた」をその日の気分で作ることができるため、「キラークラウン」の気持ちに寄り添うことができる(自分で書いていてなんだが、まさにサイコパスなピエロになりきることができるのがこのゲームの魅力)。

 

この手の非対称対戦ホラーゲームでありがちなのが人間を探している最中に方向感覚が失われてしまうことがある。このゲームでは、ワッキーというミニピエロがピエロサイドをアシストして人間の大体の方向を教えてくれるので、目的、目標物を見失うようなことは軽減されている。

 

ピエロには他にも特殊な能力があり、映画同様にピザに変装して素通りした人間を狩ることもできれば、大ジャンプを使ったファストトラベルで移動することもできる。

武器に関しても映画同様にポップコーンバズーカやボクシンググローブのほか、今後も多種多彩な武器を追加していくそうなので、製品版がとても楽しみだ。

 

ピエロサイドを遊んでいて思うのは、バイオレンスなシーンもあるが、映画同様に攻撃手段は基本的には血生臭いような演出ではないので、広くおすすめできるゲーム内容になっているのではないかと思った。

残り時間が1分30秒を切ると、アイスクリームトラックがエリア上の何処かに出現して、人間サイドはこれを目指すことになる。ピエロサイドも勝利を掴むためにはこのアイスクリームトラックを探し出して人間サイドの退路を断つために奔走することになる。

 

 

マッチが終了すると、エリアから脱出した人間と、殺害された人間の比率で勝敗が決る。脱出した人数が多ければ人間サイドの勝利で、殺害された数が多ければピエロ側の勝利となる。

 

 

人間サイドのプレイ!

 

続いて、人間サイドをプレイ。

人間サイドの目的はエリアの脱出。人間サイドはピエロよりもやれることが多く、脱出経路を確保、そのための必要なアイテムや鍵を収集するためにエリア内を移動するだけでなく、ピエロを攻撃し、倒して一時的に封印することもできる。

 

 

ピエロへの攻撃方法は様々あり、今回の試遊ではレンガを武器に殴打したり、手斧を使ったり、エリア内に落ちている銃を使って攻撃することができた。

 

 

ここで本作の特筆するべき革新的なシステムがある。ピエロサイドが倒れてしまったら30秒程度でゲームに復帰できるが、人間サイドは復活するまでの間、ミニゲームがプレイできる(脱出したプレイヤーもプレイできる。このミニゲームはAtari2800やファミコンテイストの単純な作りで、このゲームのプレイ結果に応じて見方の人間サイドプレイヤーにアイテムを送ることができたり、復活した際にアイテムを持って戦線復帰ができるなど趣向が凝らされている。

これの革新的な部分は、このような協力型の対戦ゲームにおいて常につきまとっている「プレイヤーの戦線離脱」を解決していることだ。倒された直後~1分程度は復活できる可能性があるにも関わらず、戦死したプレイヤーが戦線離脱して、あえなくチームが全滅という経験はこれを読んでいる多くのゲームプレイヤーにあるだろう。このゲームでは単にミニゲームを用意するだけでなく、チームプレイヤーに何かしらの貢献をすることがまだできるという可能性を残しているため、ゲームからプレイヤーが離れてゲームが崩壊するという理不尽さを排除している。

 

 

イメージで言うと『ボンバーマン』のみそボン、『スター・ウォーズ』で幽霊になったオビ=ワン・ケノービがルークにアドバイスをすると言った感じだ。

このシステムについて尋ねると、「仮に人間が一人しか残っていない状況でも逆転の可能性を用意したかったのと、最後までマッチしたゲームに対して取り組んでもらいたいという思いがあった。また、復活した際にアイテムを所持していることがピエロの脅威になると思うかもしれないが、逆に何もない状態だとゲームの進行に対して人間が丸裸なのは状況的にも不利なのでこのシステムを用意した」と話しており、これについては僕も納得できた。

 

 

今回の試遊では本作のPR担当者と遊んだが「映画を知らなくても楽しめる」と話しており、まさに頭のおかしいピエロから逃げ惑うというコンセプトの非対称対戦ホラーゲームとして取り組んで遊んでも楽しいと思えるだろう。

 

シングルプレイについて尋ねると、マルチプレイ想定のゲームとなっているが、万が一プレイヤーが足らないといった状況になった場合はボットプレイヤーが参戦するなど、快適なプレイを提供すると回答を得た。ゲームの練習としてオススメなのはピエロ側でプレイするのが良いそうだ。

 

ゲームリリース後にはボイスチャット機能をゲーム側で用意する予定で、これはプレイヤーの距離に応じてボイスチャットを通じて協力プレイができるというシステムとなっているようだ。遠距離ではボイスチャットが聞こえないように設計され、死後のゴースティングができない作りとなっているので、ディスコードのような通話アプリを使うより、よりゲームの雰囲気が楽しめそうだ。

本作は映画を知らなくても楽しめるように作られているし、映画のファンにとっても新たな楽しみを提供する作品だ。日本でも邦題を整えて映画の再上映が望まれるところだが、ゲームが発売されたらそれまで映画を観たことのない人も観たくなるのではないだろうか。発売が待ち遠しい。

 

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