【以下プレスリリース文掲載】
第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』で作家デビューし、数々の受賞歴のある椰月美智子の2016年に出版された同名小説を原作に、子を持つ親なら誰もが直面する問題を社会派エンタテインメントの旗手である瀬々敬久監督が豪華女優陣を迎え映画化した『明日の食卓』が絶賛公開中です。
主演を務めるのは、10年ぶりの映画主演となる菅野美穂。フリーライターで二人の息子を育てる留美子役に挑み、やんちゃ盛りの息子たちを育てながら仕事復帰を目指す母親を熱演。また、若くして母となり、シングルマザーとして働きづめの中息子を育てる加奈役を高畑充希、そして年下の夫と優等生の息子に囲まれ、一見なに不自由なく幸せを手に入れているように見えるあすみ役を、尾野真千子が丁寧に演じています。
子を持つ親なら誰もが直面する問題をリアルに描いた本作。実力派豪華女優陣が各々のドラマを濃密に演じ、緊迫のクライマックスへと向かわせ、観る者に共感と問題意識を喚起しながらラストには希望の光を与えてくれる、第一級のエンタテインメントが誕生しました!
映画『明日の食卓』のトークイベントが7月9日(金)、東京・シネマート新宿にて開催され、瀬々敬久監督と藤原季節がそろって登壇した。トークでは『明日の食卓』についてはもちろん、2人の出会いや瀬々監督の若き日のエピソード、藤原さんが俳優を目指すことになった経緯などが赤裸々に語られ、大きな盛り上がりを見せた。
瀬々監督が最初に藤原さんの存在を”認識“したのは、藤原さんが実在の脚本家・荒井晴彦さんを演じた映画『止められるか、俺たちを』で、瀬々監督自身も親交のある荒井さんを本人そっくりに演じていることに驚きを覚えたという。藤原さんは、同作の主演の井浦新さんらに連れられて足を運んだ居酒屋で瀬々監督と遭遇したが「完全にデキあがった瀬々さんがいて(笑)、(泥酔した状態で)『クソっ!』とか言いながら号泣してて、最後は失神して、倒れてテーブルの向こうに消えていきました…。新さんから『これが瀬々監督だよ』と教えられました(笑)」と衝撃の出会いを明かす。
瀬々監督は、自らの20代、30代を「暗黒時代」と評し「借金地獄で大変だったよ(苦笑)。家にお金を入れられるようになったのは40代」と語るが、そんな瀬々監督から見ても“インディーズ”の香りがする藤原さんは興味深い存在のようで、『明日の食卓』についてはそっちのけで、次々と質問を繰り出していく。「いつ映画に目覚めたの?」という瀬々監督の質問に、藤原さんは「6歳くらいで『マトリックス』を見て覚醒しました。内容は全く理解しないまま、1日に何度も観てました。そこから、ジャッキー・チェンとかカンフー映画を観るようになりました」と明かす。さらに「19歳まで札幌にいて、演技の勉強は一切してなかったけど『俺は俳優になるんだろうな』って小学校の頃から思ってました。(笑)18歳で高校を卒業して、浪人して大学に入学したんですけど。演劇活動で数カ月で退学しました。学費を使い込んで演劇をやってたので…」と語り、会場は驚きに包まれる。
そして話題はようやく本題の『明日の食卓』へ。以前の舞台挨拶で、あえて風呂に入らずに本作の撮影に臨んでいたと語った藤原さんだが風呂どころか「あまり大きな声では言えないのですが、実は家にも帰ってなかったんです…」と告白。高畑充希さんが演じる石橋加奈のクズな弟役をものにするために「目つきを悪くしたくて、どうやったらいいか? 家に帰んなきゃ良いんじゃないかと思って街を放浪してました。身寄りのない感じが出ればいいなと。でも(完成した映画を観ると)“目つきを悪くしている青年”にしか見えなくて、あんまり意味がなかったです」と苦笑い。そんな藤原さんを瀬々監督は「やっぱり藤原くんは面白い! お芝居に瞬発力があるし、映画が、現場が好きなんだなって感じが伝わってくる」と評価する。
また、藤原さんは本作について「自分の精神年齢が子どもってこともあるのか(苦笑)、子どもの目線でみてしまい、(親たちの姿に)自分の母を重ねたりしました」とも。特にクライマックスで、主人公のひとりが息子に自らの思いを伝えるシーンがあるが「僕の周りには、こうやって自分の感情を伝えてくれる大人が少なかったんですね。(自身が子どもの頃に)こうやって話していてくれたら、僕もわかったんだけどな…と思いました。そういう大人がいなかったので、自分にとって大人を遠い存在に感じていました。菅野さんが子どもを抱きしめて守ろうとするところとかは、もしかしたら自分も母親にこうやって守られたことがあるかもなって泣けてきました」としみじみと語る。
これに瀬々監督も「俺も、自分は親じゃないし、子ども目線で見ているところがある」とうなずき「特に批判は多いけど、(尾野真千子さん演じるあすみの夫を演じた)大東駿介くんの役とか、『ああいう人も、こどもだった』というのを描こうと思ったし、男性陣はみんな特に情けないし、ひどいとも言われるんだけど、感情移入して見ちゃう」と語った。
藤原さんは、この瀬々監督の言葉にも深く同意。「男って、『それ言っちゃダメなのに…!』ということを言っちゃうんですよね(苦笑)。『その一言、いらん!』ってことを言っちゃう。客観的に見ると『ひどいなぁ』と思うんですけど、自分のことになると言ってしまう(苦笑)。よくないですねぇ…」と自らと重ねながら、苦笑を浮かべていた。
トーク終盤、瀬々監督から「今後はどういう俳優を目指すの?」と聞かれた藤原さんは「与えられた仕事は何でもやって…」と答えるが、これを瀬々監督は「優等生ぶるな(笑)!」とピシャリ。藤原さんは改めて「立派な大人になりたいけど、周りと一緒のヤツにはなりたくない。ずっと主役がいいです。齢を重ねても主役がいい。ずっと“佐々木、イン、マイマイン”です(笑)。そうやって、主役で映画館に人を呼べたらカッコいいなと思います」と力強く宣言!
そんな藤原さんの意思表明を聞きながら、瀬々監督は改めて「今回、藤原くんに出てもらって嬉しかったです。インディーズから出てきた俳優という意味で、メジャーとかの垣根を取っ払ったところで勝負して、いま、こういう位置にいる俳優さんであり、面白ければ何でもやるという精神の持ち主であり、それはすごく素敵だなと思います。映画というのはいろんなものを飛び越えて、いろんなところに行けるものであり、それはまさに藤原季節の生き方そのものだと思います。今後とも応援してやってください」と集まった観客に呼びかけ、会場は温かい拍手に包まれた。
『明日の食卓』は公開中。
監督:瀬々敬久
原作:椰月美智子『明日の食卓』(角川文庫刊)
脚本:小川智子
主題歌:「Motherland」tokyo blue weeps
菅野美穂 高畑充希 尾野真千子
柴崎楓雅 外川燎 阿久津慶人 / 和田聰宏 大東駿介 山口紗弥加 山田真歩 水崎綾女 藤原季節
真行寺君枝 / 大島優子 / 渡辺真起子 菅田俊 烏丸せつこ
製作幹事:WOWOW 制作プロダクション:トラヴィス 配給:KADOKAWA/WOWOW
(C)2021「明日の食卓」製作委員会 公式Twitter:@asushoku_movie 公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/ashitanoshokutaku/
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