【文・畑史進】
本題に入る前に、私事ではありますが【シネマトークサロン@Hollywoodfandom】「映画宣伝マンが語らない映画の世界」STAR WARS編にお越しいただき、ありがとうございました。
人生で初めてスター・ウォーズについて人前でたっぷり話す機会をいただくということで、何を話したら良いものか考え抜いた挙げ句、あまり誰も触れない「スター・ウォーズグッズ」についてこれまで買い込んだ研究資料(とは名ばかりの嗜好私財)を活かすことができて本当に良かったです。とはいっても僕は30歳なので当然1977年近辺のスター・ウォーズ事情なんぞ知る由もないので、資料や文献をいくつか買い揃えたり国立図書館に足を運んだりしなければなりませんでしたよ・・・。中でも「スター・ウォーズ 偉大なるマーチャンダイジングへの歩み」は本当に助かった。
スター・ウォーズグッズの中であえて触れなかったのが書籍類だったわけだけど、スター・ウォーズは映画だけ見ていてもわからない部分が多くあって、それを補ってくれるのが書籍。「だったらファングッズの研究の一環として扱うべきだ!」と思う人も大勢いるとは思うけど、あまりにも膨大すぎて下手に触れると「あれは?これは?」と枚挙にいとまがなくなってしまう。
そんな膨大な書籍の中でもライトなファンからコアなファンまで絶対に触れて欲しい書籍『私はC-3PO』が先日世界文化社から発売された。
この本は1977年から42年間金色の600万言語を話すプロトコルドロイド、C-3POを演じたアンソニー・ダニエルズによるスター・ウォーズ撮影回想録。
スター・ウォーズの撮影現場は、ハリソン・フォードやマーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、ユアン・マクレガーにナタリー・ポートマンがブルーレイディスクの特典映像等で色々ふりかってくれてはいるが、彼らのようないわゆる「顔を売りにしている俳優」とは違った視点になっている事がこの本がファンにとって必読本であるゆえの特別感を生んでいるうえ、映画以外にもオスカー受賞式やCMや公共広告、アニメ「クローン・ウォーズ」のような外伝作品にも登場したアンソニーだからこそ、スター・ウォーズのさらなる深淵に近づいているのもまた面白いところ。
詳細に話すとほんの売れ行きが下がってしまうので書籍を購入して確認してほしいが、本の中ではC-3POのオーディションから始まったジョージ・ルーカスとの初対面から「エピソード4」公開後に受けた苦難、そしてオリジナルトリロジー完結までに起きた出来事(伝説のホリデースペシャル含む!)、プリクエル・トリロジーで感じた“不満”、そして新作の「エピソード9 スカイウォーカーの夜明け」までを振り返り、綴ったものとなっている。
中にはディズニーアトラクション「スター・ツアーズ」の制作に関する経緯まで触れられていて、Wikipediaやウーキーペディアなんかでは知ることのできない新事実まで書いてあったりするのでただただこれまでのスター・ウォーズ観がアップデートされるような事だらけで最後まで楽しませてもらった。読み終わった時には新しい冒険に繰り出して無事に到達したかのような達成感すら感じた。
また個人的な話をすると、アンソニーはかつてANAのC-3POお披露目式のときに対面したことがあって、光栄にも直接のインタビューまでさせてもらったことがある。彼は気軽に「僕に突いて聞きたいことがないかな?」と自分から質問の場を儲けてくれるほどサービス精神旺盛な人で、応えてくれるときにも紳士的にふるまって丁寧に応えてくれたのは良い思い出。
もちろん映画に関することに触れているので、ブルーレイディスクやDVDビデオを参考に照らし合わせながら見るのがオススメ。
ただ難点としては途中アンソニーが言及する画像資料が本の最初の数ページにまとめて掲載されているのだけど、これを見るがためにいちいちページを戻して探さなきゃいけないのが手間。
こんな非常事態宣言が出てしまうような引きこもり推奨のご時世に、映画ファン、そしてスター・ウォーズファンにゆっくりと読んでいただきたい一冊である。
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