映画レビュー　『デビルズ･ダブル－ある影武者の物語－』

イラクのサダム･フセイン大統領の息子ウダイの影武者となった男ラティフ･ヤヒア。彼の自伝をリー･タマホリ監督が映像化。主演のクリス･クーパーがウダイとラティフを一人二役で好演。

“狂気の申し子”として悪名高きフセイン大統領の息子ウダイ。彼が高校時代の同級生ラティフ中尉を呼び出し、家族の命と引き換えに影武者になるように命じられる。高校時代からウダイとよく似ていると言われたラティフは、さらにそっくりになるべく整形し、話し方や身振りまでも練習。ウダイの狂った日常生活に寄り添っていたラティフも遂に自身を許容できなくなり、ウダイと対決することを決意するのであった。

莫大な富と絶大な権力のもと、やりたい放題をやりまくるウダイ。彼はドラ息子を遥かに超越し、暴力やセックスはもちろんのこと、ドラッグまでキメるクレイジーを超越した極悪人と言っても過言ではないヤツだ!!とにかく影武者ラティフよりもウダイの悪行ぶりの方が印象深い。

特にウダイのセックスに対する執着も異常で、単なる好色野郎どころではない!!学校から帰宅途中の10代前半の女学生を車でつけ回して連れ込む様子は、まるでよくありがちな誘拐犯の手口と変わりなし。さらには挙式中の花嫁にも手をつけてしまうが、このシーンはとにかく後味悪すぎ!!まさにバッドテイスト!!他にもダンス･クラブで開かれた自身の誕生日会では「男女関係なく全裸になれと!」とマイク片手に叫んで大勢が脱ぎだすシーンも。このように彼のド変態&性犯罪者ぶりには呆れてしまうほど!!

とにかく悪趣味かつ残酷極まりないバイオレンスが多々観られるため圧倒されるが、リー監督はアクション映画を得意としているため、見応えバツグンの銃撃戦では腕が発揮されていることがわかる。

「フセイン大統領の息子は、こんなヤツだったのか!!」と驚愕すること必至の衝撃作だ!!

レビュアー：佐々木貴之