『残された者』マッツ・ミケルセン オフィシャルインタビュー

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【STORY】
飛行機事故で北極地帯に不時着したパイロット、オボァガードは、壊れた飛行機をその場しのぎのシェルターにし、白銀に包まれた荒野を毎日歩き回り、魚を釣り、救難信号を出すという自ら定めた日々のルーティーンをこなしながら、救助を待っていた。しかし、ようやく救助に来たヘリコプターは強風のために墜落し、女性パイロットは大怪我を追ってしまう。目の前の確実な「生」を獲得してきた男は、瀕死の女を前に、ついに自らの足で窮地を脱しようと決心する。危険は承知。しかし、行動しなければ女に未来はなく、自身にも明日は来ないかもしれない。現状の安住を捨て、勇気ある一歩を踏み出すが・・・。

【以下プレスリリース文掲載】
『ハンニバル』(13-15)や『ドクター・ストレンジ』(16)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)で知られる“北欧の至宝”マッツ・ミケルセン主演作、『残された者-北の極地-』が11月8日(金)より、新宿バルト9ほか全国公開致します。

本作は、飛行機が墜落し北極で窮地に立たされた男を描くサバイバル・ドラマ。極寒の白い荒野にたった一人取り残された男。彼を囲むのは、寒さ、飢え、そして肉食獣。やがて、その孤独が終焉を迎えた時、男は待つことをやめ、とどまることを捨てた。極限状態の中、自らの心の奥底に何を見るのか?今、明日の「生」に向けて決意の旅が始まる!

『キャスト・アウェイ』(00)や『ゼロ・グラビティ』(13)、『オデッセイ』(15)など、孤立無援の傑作サバイバル映画群と引けをとらず、最も優れたサバイバル映画の1つと絶賛された本作。平均気温-30℃、刻々と変わりゆく天気の中で撮影され、説明的な台詞、映像表現を一切削除することで、観客は自らがそこにいるかのような感覚で観ることが出来る体感型映画にもなっている。監督はブラジル出身のジョー・ペナ。「ゲーム・オブ・スローンズ」のクルーら強力な制作陣がリアリティを徹底的に追及した。

【オフィシャルインタビュー】

—本作への出演の決め手は?

マッツ:エージェントから、いくつか読んでほしい脚本が送られてくるんですけど、今回は『ハンニバル』のマーサ・デ・ラウレンティスから電話があり “今読むべき脚本だ”と言われて。他の脚本の束の中からそれを一番上に持ってきて読んだんです。すごいな、美しいなと。シンプルで誠実に書かれているなと思ったんです。それから監督のジョー・ペナとミーティングをしたんだけど、僕が感じたことを彼も同じように感じていました。2か月後にはアイスランドで撮影をしていました。ただラッキーだったのは、この企画は最初は火星が舞台だったので、そのままならアメリカ人の役者が配役されたかもしれないので、よかったなと思いました。

—主人公オボァガードについて

マッツ:彼はサバイバルの達人というわけではなくて、エンジニアなんです。毎日のルーティーンでただ生き延びている。劇中、あまり表情を作らないが、ちょっとした感情が見えた瞬間に彼という人物を一気に感じられると思うよ。

—本作はとてもセリフが少ないですが

マッツ:セリフが多くても少なくても作品が成立していればいいのです。僕はセリフが少ない作品も楽しめる方です。この作品はセリフが少ない方が正解だと思います。実際にこういったシチュエーションになったらほとんど独り言さえ言わないと思う。リアルだよ。
作品の終盤で「ハロー」というセリフがあるが、セリフが少ない分とても意味があるんですよね。もしかしたらこの作品で一番重要な言葉かもしれません

—撮影は過酷だったとおもうのですが

マッツ:これまでクレイジーな作品を沢山やってきたけど、今回がこれまで経験した中で最も過酷な撮影でした。自然、風、雪、寒さというものが常に付きまとっていたんです。撮影に何時間もかかってしまうような作品で僕は出ずっぱりでしたからね。身体的だけでなく、心情的にも大変でした。常に事件が起きているという状況で、35日間の予定が、19日しか撮影ができなかったんです。例えば作品で嵐のシーンを撮ろうとすれば、突然お日様が出てきたり。天気の中で撮影しようとすると雪が降ってきたりして。だから途中からあきらめて、天気に合わせてフレキシブルにやろうということになりました。北極圏では、寒さよりも風の強さの方が大変でした。風が吹くととても寒くなるんです。

—本作で長編監督デビューしたジョー・ペナについて

マッツ:監督はブレないビジョンを持っていました。エネルギーとビジョンについては初監督の方がいい時があると思います。過酷な撮影環境にも関わらず、流れるように撮影は進み、一度も新人監督だなと思うことはありませんでした。

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Director Joe Penna works behind the camera on the set of his film, ARCTIC, a Bleecker Street release.
Credit: Helen Sloan SMPSP / Bleecker Street

—『残された者』では“孤独”がひとつのキーワードです。マッツさんにとっての孤独とはどのようなものですか?

マッツ:孤独というのは自ら選んでそういう状況に自分を置いていることが私の場合多いです。子供の頃、別荘の近くに大きな森があって、その中で迷子になるのがとても好きでした。“誰も自分を見つけられなくなる”、その感覚が自分にとって凄く魅力的なものでした。その感覚が楽しかったし、何かこう自分が消失するということにすごく魅力を感じていました。しかしこの映画の主人公と一緒で、そういう場に身を置いたとしてもいつだって自分が行動すればそこから出られると思っていました。

—撮影で実際に孤独を感じたか?

マッツ:スタッフ自体も少人数でみんなが仲間同士という感覚はありました。でもスタッフは僕からかなり離れての撮影が多く、嵐や吹雪が始まるとスタッフのところに戻れず自分は消えてしまうんじゃないかと思うこともありました。でも逆に良いなと思ったのは、この巨大な世界の中で人間は大きな存在ではないと実感できたこと。地球という惑星が僕一人のことなんて気にかけないということを改めて感じられたんです。でも吹雪の中、雪原の中を歩くと自分自身も自然の一部になるんです。

—撮影で印象に残っていることは?

マッツ:今となっては止めてくれて良かったと思っていますが、山の上の方での撮影に向かっているときに、車から降りようとしてドアを開けたらそのドアが風で谷底の方まで吹き飛ばされたことです。とても美しい場所なので私も監督もそこで撮影しようとしたけど、危険だということでプロデューサーがその場所での撮影を許可しませんでした。

—命を落とすかもしれないと感じたことは?

マッツ:自分が気づいてないだけでそういう危険な状況というのは経験しているんじゃないかと思うけど、それはそれでいいんじゃないかな、だってずっと何か起きるんじゃないかって考え続けているのならば、進めないと思います。今回のアイスランドの撮影では今自分が行動しなければ誰も自分を見つけられないとう状況は何度かあったが、それを感じることは良いことだと思います。何度も言うが、大きな自然の中で自分がいかにちっぽけな存在なのか、重要じゃないのかが分かる。それを改めて自覚することができるから。

—1人でいるときはどうやって過ごしていますか?

マッツ:体を動かすことが好きで基本的には自転車に何時間も乗ってます。何も考えないようにして空っぽにする、肉体的な行動が好きなのでそれを通して頭をクリアにします。あとは、殺風景なところを一人で眺めているのも好きです。

—過酷な撮影が終わって何かご褒美に欲しいものは?

マッツ:この作品を終わって、次の作品の撮影も終わった後は8か月間何もしなかったんです。何もしないのは得意なんです。オフの時はスポーツが大好きなのでテニスや自転車、そして家族と過ごすことがご褒美でした

—本作で注目してほしいポイントや、マッツさんが考えるクライマックスはどこですか?

マッツ:注目してほしいのは、表面的にはオボァガードが女性を救うように見えているかもしれないけど、少し深く掘り下げて観てほしい、すると女性の方が彼を救ったのだと読み取ることができます。彼はそこから動けずに何の選択もすることができないままそこに座って死を待つだけのルーティーンを繰り返しているだけだったのが、彼女が登場したことによって行動することになったのです。この映画は、生き残る事と生きる事の違いを描いた作品です。やはり人は一人では生きていけない。誰かがいないと駄目なんです。クライマックスはいくつかあります。もちろん女性の登場というのもその一つだと思う。作品自体にとっても彼女が登場した瞬間からギアが変わったと思います。

Credit: Helen Sloan SMPSP / Bleecker Street

監督・脚本:ジョー・ペナ
共同脚本:ライアン・モリソン
製作:クリストファー・ルモール、ティム・ザジャロフ、ノア・C・ホイスナー
音楽:ジョセフ・トラパニーズ
撮影:トーマス・エーン・トマソン
出演:マッツ・ミケルセン、マリア・テルマ・サルマドッティ

2018年/原題:Arctic /アイスランド/英語/カラー/シネスコ/5.1ch/97分/DCP/G/日本語字幕:チオキ真理

配給:キノフィルムズ/木下グループ 宣伝:ポイント・セット © 2018 Arctic The Movie, LLC.

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