第9回 『トゥルーマンショー』

小宮山雄飛の東京DVDライフ 第9回 『トゥルーマンショー』



文章/小宮山雄飛
画/黒木裕貴
本日のDVDは、ジムキャリー主演の名作


『トゥルーマンショー』


なぜ今さら?
なぜこの時期に?



と思う人もいるかもしれませんが、ずばりTSUTAYAで名作100選という企画でレンタル代100円になってたので久しぶりに借りて観たからです・・・(安易ですいません)



しかし僕の中で、もう一度しっかり観たい映画リストにずっと入ってたんですよね。
公開されたのは1998年、当時「やっぱアメリカ人の考えるエンターテイメントってすげーな・・・」とただただビックリしました。
超巨大なドームに街を丸ごと作って、その中に暮らす主人公の一生を24時間365日放送してしまおうというアイデア。その時点でメディアの面白さを通り越して、恐ろしさすら感じますよね。
実際この映画が製作された頃にはインターネットも普及し始めていて、webカメラを使って私生活を24時間中継するというようなアート活動(あるいは単なるエロサイト)もありました。しかしそれはまあ一種の遊びに過ぎなくて(被写体は撮られていることを認識してる訳ですから)、本気で人の内面や生活そのものをメディアを通してさらけ出してしまおうというのは、この映画と時を同じくして始まって今ではアメリカのテレビで主流となりつつある『リアリティ番組』の流行辺りからでしょうね。



もちろんリアリティ番組っつったって、実際はリアルじゃないと思うんですよ。ほとんどの番組はある程度脚本が決まってるだろうし、無人島で男女がサーバイブなんて番組でも、おそらくカメラの回ってないとこではスタッフとピザ食べてシャワー浴びてビール飲んでWiiとかやってると思うんですよ(勝手な予想ですが)。ただ、本当はリアルじゃないにしろ、リアリティ番組によって視聴者がよりリアルなものを求めるようになったことは事実ですよね。



そういう意味で、11年前のこの映画が、今のアメリカのTVの状況を見事に言い当てていたと思います。



でもね、改めて観てみると、そこまで大げさに考えずに
これって超巨大版『はじめてのおつかい』なんじゃないか?と思ったりするのです。



考えてみれば、あれも同じでしょ。



本人(子供)は撮られてるとは知らずにおつかいに行って、町中のあっちこっちにカメラが仕掛けられてて、お母さんから持たされたお守りにはワイヤレスマイクが入ってたりする。(お守りにワイヤレスマイクなんて入れていいのかそもそも?後でそれ知ったら、その子は二度とお守りや神など信じないことでしょう・・)
そしてその姿を本人が知らないとこで、テレビを通して日本中の人が見る。



トゥルーマンショーのBGMを全部BBクイーンズにしたら、絶対はじめてのおつかいになりますよ。
トゥルーマンが家を出る時は「ド~レミ~ファ~ソラ~シド~~~!」
トゥルーマンが死んだはずのお父さんと再会するとこで「しょげないでよ、ベイベ~~~!」



日本人だったら、絶対これで涙しますよ!
今後吹き替えでテレビで放送する機会があったら、ぜひともBGMも日本版はBBクイーンズに差し替えていただきたい。



話は変わりますが、橋田壽賀子好きなおばちゃん達からしたら、えなりかずきだって完璧にトゥルーマンですよね・・
6歳の頃から『渡る世間~』出てるんだから、そりゃーもうずっと見てるわけでしょ、えなり君の成長を。もういっそのことドラマじゃなく、実際にどっかにラーメン屋作ってえなり君とか働かせて24時間中継しちゃったらどうですかね、人間ドラマを。
橋田壽賀子初のリアリティードラマ!
お店も絶対行列のできる店になるだろうし、一石二鳥じゃない?



そんなえなり君も、実は子役デビューは3歳の時の『志村けんのだいじょうぶだぁ』だったというから、実は橋田ファミリーではなく、だいじょぶだぁファミリーだったんですね、そうなると石野陽子がおばさんで、マーシーがおじさん??



話は戻ってトゥルーマンショー



これ実際には、単なるメディアの未来予測ではなく、色々と考えさせられる内容もあります。
誰しも一度は自分の人生ってどこかで誰かにずっと見られてるんでは?と思った事あるだろうし、決まりきった世間から抜け出して自由に生きたい!なんて願ったことがあるでしょう。あるいは自分の身に降り掛かるさまざまなことを、神の悪戯と考えたりするでしょう。
そういう人間の根本の部分と、新しいメディアの発展をうま~く混ぜて、エンターテイメントという商品にしてしまうのがハリウッドのすごいとこですね。



タランティーノの『レザボアドッグス』に、ヴィンチェンゾ・ナタリの『CUBE』、さらには松本人志の『しんぼる』と、映画界には数多くの密室劇がありますが、この『トゥルーマンショー』を見ると、密室劇って単純に密室に閉じ込められた設定のお話ではなく、実は僕たちの人生すら大きな意味での密室劇なのかもしれないと思ったりもします、はい。




小宮山雄飛(ホフディラン)

ミュージシャン
1973年8月14日生まれ
1996 年「スマイル」でホフディランのVo&Keyとしてデビュー。「遠距離恋愛は続く」「恋はいつも幻のように」「欲望」「極楽はどこだ」など、ヒッ ト曲を多発し、FUJI ROCK FESTIVALへの参加、日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、ライブでも活躍。日本のポップシーンにおいて根強い人気を誇る。デビュー以 来、シングル19枚、アルバム9枚(ベスト盤含む)をリリースしている。
絶賛発売中のニューアルバム『ブランニューピース』(DVD付き初回限定盤)に収録されている『恋人たち』『ニューピース』のPVでは、自ら監督を 務めるなど、多才な一面を持つ。2009年7月3日には、渋谷C.C.Lemonホールにて、デビュー13周年記念ライブを行い大成功!その模様を収録し たライブDVD『13年の金曜日』においても監督を務め、11月4日にライブCDとともに同時リリース、絶賛発売中! 
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZOへの出演も決定!
2010年7月3日(土)
ホフディラン ワンマンライブ
『14年の土曜日』
会場:SHIBUYA-AX
open 18:00 / start 19:00
チケット料金:3980円(ドリンク無し!)
ワタナベイビープロデュースDVD第3弾発売&自ら手売り
ゲスト:ゆってぃ / and more…
問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999
5/9からの一般発売に先駆けて、HP先行予約を受け付けます!
受付期間   4月19日(月) 12:00 ~ 5月5日(水) 18:00      
  ※専用URL http://eplus.jp/hoff-hp2/   
・ホフディラン HP http://hoff.jp/
・軟式ブログ http://blog.excite.co.jp/yuhi-blog/
・こむぞう http://comzo.cocolog-nifty.com/
・シコウヒンTV http://www.andsmile.tv/
・SHOOT UP http://www.shootup.net/

黒木裕貴(クロキユタカ)
東京生まれのイラストレーター。
CDジャケットや書籍・雑誌、アパレル等で幅広く活躍中。
また、影絵やコマ撮り作品をつくる映像作家としての顔も持つ。
official website http://www.kurokiyutaka.com/
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