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【連載コラム】畑史進の「わしは人生最後に何をみる?」 第5回 JeSUの問題を見ていて思ったこと

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JeSU公式ホームページより





お久しぶりです。エンタジャムにはレポート記事やら感想コメントを入れていて何がコラムで、何が記事だか自分の中でも線引き出来ておりませんが、今日は最近火に油ならぬ、TNT火薬ばかりを振りかけていると思しきeスポーツ団体、「日本eスポーツ連合」通称JeSU(読み方:ジェスだって)について数年ぶりに本腰入れて触れようかなぁと思います。

その前に今から1年前に書いたこちらのコラムを「あぁ素晴らしきかなTVゲーム第1040回 このままでいいのかeスポーツ? 疑問だらけのJeSUという組織とその構成)」

今以上に尖っていた時期で、酷く書き殴ったような文章力で大変お見苦しいものを見せてしまった・・・(成長したかどうかは分かりません!)

簡単にTVゲームにおける賞金問題の経緯を話すと、スクウェア・エニックスの『ガンスリンガーストラトス3』での大会で日本には「ゲーム大会の賞金は10万円以下」という定説が出来上がってしまった。
どうもこのときの問題は、上達するために都度課金、ゲームソフトを購入させるようなゲームで賞金制の大会を開くと、参加者を限定するうえ、参加資格を得るための商品購買に誘導させているように見えるため「景品表示法」でアウトになるということだったらしい。
つまり日本国内でゲームメーカー主導のゲーム大会を開くには「基本無料」のゲームでないと駄目というわけだ。
おかしな話だとは思うよ。だってゲームを知り尽くすためにはゲームを用意しなきゃいけない。でもゲームメーカーも商売だからゲームを作ったら売ってお金に変えなきゃいけない。人気のゲームで大会開こうと思ったら賞金制限がかかっていまいち盛り上がらない。

そこで『モンスターストライク』は、システムを引き継いだ『モンスターストライク スタジアム』っていう別の基本無料のゲームを提供して、大会もこれを使うことでクリアしたわけですよ。同様に『パズル&ドラゴンズ』も『パズドラチャレンジ』っていう別のアプリを提供してeスポーツの大会にしているとのこと。

『パズドラ』と『モンスト』は凄い知恵の働かせ方をしたわけだけど、これってアプリゲームだからできる荒業でさ、実際に他の『鉄拳』や『ストリートファイター』がこれをやろうとすると絶対にできない。高額賞金出すために「基本無料版」作ると誰も商品を買わなくなるし、対策に使用キャラクターを限定したら本来の大会じゃなくなるからね。

詰んだ!完全に詰んでしまった!!って思うじゃない?
あくまでここまでの話は「ゲームメーカーが主導で大会を行うと、こういうことになる恐れがある」という話であって、実際解決の糸口はある。

将棋や囲碁、ゴルフの大会を見たことがある人なら分かると思うけど、あれは運営並びに賞金の捻出にスポンサーを募っている。なぜかというと「景品表示法」ではスポンサー費から配分する分には問題ないからだ。

話はズレるけど、仮に大会参加者から参加料を募って賞金に当てたとする。この場合は「賭博」にあたる。これはわかりやすい。ややこしい話だけど、大会参加者からお金を取っても「大会の運営費」に当てることは問題ない。
一方で大会参加者は一銭も払わずに、「大会を見るお客さん」から入場料を取って、これを賞金に当てるとどうなるかというと、これは「大会参加者が金銭的な損をしていないから」高額賞金の問題をクリアしている。他にも色々面倒な問題はあるけど、ややこしくなるのでとりあえず次に行こう。

結論を言うと、「大会を見る観衆」やゲームメーカーとは違う「大口スポンサー」を見つけて来たら「10万円」という額に縛られずに高額賞金の大会を運営できるわけだ。つまり「よーし、オイラも明日からeスポーツの団体を立ち上げて、一旗揚げるべ!」と誰でもできるわけだ(できるとは言うが、成功するとは言っていない)。

ところが、2017年の末頃に設立されたJeSUという団体は、ゲームの上手い人達に「プロライセンス」というものを発行して、これを所持している人たちに「労務報酬」という形で賞金を付与する形式をとった。これに対して国際カジノ研究所所長の木曽崇氏が早々に異を唱えて、設立したばかりのJeSUに対して逆風が吹き荒れた。
そんな状況にも関わらず、僕が2018年の1月末から2月頭に一人のゲーマーとして一連の疑問をぶつけるために取材申請のフォームから取材申請を試みたが音沙汰はなく、そのうえ「問い合わせフォームが壊れていた」というアナウンスをしたので、再度取材申請をしてもバックレるというお粗末ぶりだったので(回答までに1ヶ月の期限を設けた)、これを先に書いたサンスポのコラムで展開したら遂にJeSUは大炎上。

歩く火だるまと化したJeSUさんだけど、ここままでは僕がただのネット放火魔になってしまうので、ちゃんとJeSUさんの答えと誠意を確かめるべく現地突撃するとなんと受付もあってないような状態のレンタルオフィスだったことが判明(現在はちゃんとした事務所を構えているみたい)。「ゲームユーザーからの信頼を見事失墜させてしまった」というさらなるオチを用意していたというわけだ。


さて、そんなボロッボロのJeSUさんですが、その後も話題に事欠かない。
『ストリートファイター』のトッププレイヤーのももち選手が2018年12月の「カプコンカップ」で7位(賞金50万円)に入賞し、今月のTGS期間中に行われた「カプコンプロツアー 2019 アジアプレミア」で優勝したにも関わらず(賞金500万)、両大会ともに賞金が総額10万円(TGSの大会では副賞で4万相当のモニター+残りの賞金)しか得られなかった。
加えてJeSUのジュニアライセンスを所持している中学生のゆわ選手も『パズドラ』の大会で優勝したにも関わらず、賞金500万円がまるまる得られなかったという事態が発生。
この3つの事件が引き金になってJeSUの風当たりは更に強くなり、今現在SNS等で多くのゲームユーザーから批判の声が上がっている。


「何たることだ!けしからん!JeSUよ消え去るべし!」と怒る気持ちもわからないでもないが、一応JeSUにはJeSUの正義と主張があって、彼らの立場もわからんでもないなと思うところがある。

まず、ももち選手の関わった件について「ライセンス制度」と「労務報酬」を一度忘れて次の3点を確認したい。

・今回の大会は「カプコン」と冠しているようにカプコンが主催
・ゲームメーカーの関わりがあると『ガンスリンガーストラトス3』の様に「景品表示法」に抵触する恐れがある。
・景品表示法に抵触する恐れがあるとなると、『ストリートファイターV』の大会は「ゲームを購入すること」が参加に必要な資格であるため、そこを突っ込まれる可能性が多いにある。

この3点を順に踏まえると、JeSUの提唱する「労務報酬(働いて得たお金)」というのは「景品表示法」に寄る取り締まりを回避する一つの方法であることは納得できる。
JeSUも鬼ではなく、一応賞金授与の対象者はすぐに「プロライセンス」を発行するように制度を敷いていて、ももち選手もこの日にプロライセンスを貰っていたら満額貰えていた。
加えてカプコンの規約には「8.入賞者に対する賞金の付与に関しては、以下に定める通りとします。(1)入賞者がJeSUが発行する「ジャパン・eスポーツ・プロライセンス」(以下「プロライセンス」といいます)を保有している場合、規定の金額が支払われます。(2)入賞者がプロライセンスを保有していない場合、規定の金額にかかわらず賞金の最高額は10万円とします。※海外からの参加選手においては、プロライセンスの適用外として、プロライセンスを保有しない場合であっても、賞金授受を妨げることはありません。(参照:https://sf.esports.capcom.com/asia-premier/jp/)」と書いてあった。
でも、ももち選手は自分の考えに准じてベスト8入りが確定したときのライセンスの手続きを拒否して、この結果を受け入れたというわけ。

CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア 公式サイトより



さらに今年のTGS2019の前に、JeSU側から消費者庁にこの賞金周りの「労務報酬」について質問状を送ったら「ライセンスの非保持者でも、大会を興行的に盛り上げることに貢献したなら『仕事の報酬』として高額のお金を渡してもいいよ。ただしそれが『景品類の制限』を無視するためという考えでは無いことが条件だよ」。という回答が9月3日に返され、これを公表した。
これでメーカーも晴れて「ライセンスの非保持者、並びに拒否者」に対しても「労務報酬」という形でお金を渡すことができるようになった。ここまで流れを一度おさらいしたい。

JeSU公式ホームページより
「消費者庁へのノーアクションレターの提出につきまして」
回答文書より



・JeSUから消費者庁へ質問を送ると「労務報酬という形でライセンスの非保持者にもお金を渡していいよ」と回答が得られた(条件あり)。
・カプコン主催の大会では「ライセンス非保持者は10万円」という規約を書いていた。
・ももち選手はライセンスの受け取りを拒否。

はて、この一連の流れで「誰が悪くて、誰が被害者か」という問いを出してはっきりと答えられる人がいるのだろうか?カプコンの独断による暴走でもない。
少なくともこの件に関しては“全員が同意の上で行った事象”にしか見えないと思う。
ただ唯一確実なことを言えば、日本国内の法律が「メーカーに寄る高額賞金大会」を違法としてしまう現状からこの様な事態になったということだろう。誰が悪いわけでもない。
ただ、役員にカプコンの社長の辻元氏がいるから融通がきかなかったという見方もできるけど、それは流石にひねくれ過ぎでしょう(そうと思いたい)。

ただその一方で『パズドラ』の大会は考えものだ。
この大会では中学生のプロプレイヤーが認定される「ジュニアライセンス」の制度が問題となっている。
端的に説明するとJeSUの「ジュニアライセンス」は、義務教育を終えていない人に対して「労務報酬」としての高額賞金は与えられません。というもので、僕も以前から「それってどうなの?」と疑問に思っていた。
それが今回、ゆわ選手の優勝によって現実化したもので、彼が優勝したにもかかわらずJeSUの掲げた根拠のない規約によって500万円は何処かに消えてしまった。この賞金の行方を明確にすれば良いのだが、それをしないから余計日に油(というよりTNT火薬)を注いでいる形になっている。この問題は遅かれ早かれ出てくる話だったにもかかわらず、対策に取り組まなかったとすると、「未成年者を大人が馬鹿にしている」としか見えないのだがどうだろうか?

パズドラチャンピオン 公式ホームページより



将棋の藤井聡太氏でも中学生にして賞金を受け取っているのになぜeスポーツ、ビデオゲームでの優勝賞金が渡されないのか?
ある人は「テレビゲームの大会で高額賞金を子供が受け取ることのイメージが悪い」との考えを話したが、それはどの世界でも起こりうることでしょう。本当にそうだとしたら、考えが古すぎるし固定概念も良いところで理由付けにならない。それをちゃんと守ってあげるのが我々大人の役目だ。

この大会の主催は『パズル&ドラゴンズ』を提供している「ガンホー」。
先も書いたように景品表示法をクリアするために専用アプリをリリースし、スポンサーまで募っている(スポンサーはリアルゴールド、明治、オーディオテクニカ、ヨネックス)。
国内の法律をきちんとクリアしているのに、「ジュニアライセンス」というものが足かせになって賞金が受けとれないとなると、流石にJeSUへの批判は免れられない。せめて、ゆわ選手が義務教育を終えたら賞金授与という事をしてあげるのが大人としての役目だろう。(コラム作成時点ではまだ知らないだけで、もしその後がわかったら教えて下さい)

実はこの「パズドラ事件」は「カプコンプロツアー 2019 アジアプレミア」の決勝戦の前日に起き、その翌日に、ももち選手の優勝が決まるという最悪なタイミングで起きたため、ももち選手へは熱烈な同情が寄せられ、片やJeSUには過度な批判が向けられているというのが現状だ。

もう日本のeスポーツは終わりかもしれないと思うかもしれない。
ただ、考え方を変えたら今はプロレス団体のように自分たちの規約を作って「ライセンス制度のない」eスポーツ団体を立ち上げ、法に触れない範囲内で賞金制の大会を行えるチャンスがある。
ただ一点難しいことを言えば、現在JeSU役員にはセガ、KADOKAWA、カプコン、KONAMI、ガンホーのトップが就任しているため、仮に全く関係ない人がeスポーツ団体を立ち上げたらそれはJeSUにとって完全な敵になる。そうなると、はたしてこれらのメーカーが敵団体に対してゲームの使用を許可してくれるのかと言ったら微妙なところだ。正会員には更に多くのメーカーが入っており、下手をすると圧力をかけられて、使用許諾が降りない恐れもある。
仮にゲームが使用できたとしても加えてプロライセンスを持っている人に圧力をかけて別の大会に参加しない恐れが大いにあるため「本当にその人がトップなの?」と突っ込まれる可能性もある。大人の世界って本当に汚いからね!

と色々問題は山積みだが、eスポーツ団体はJeSUだけではなく今はむしろチャンスが転がっていることをプッシュして、今日はこの辺でしまいにしましょう!

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