オリジナル長編アニメーション映画『あした世界が終わるとしても』櫻木優平監督インタビュー

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TVアニメ『イングレス』を手がけたクラフタースタジオによるオリジナル長編アニメーション映画『あした世界が終わるとしても』が、1月25日(金)から全国公開される。

本作は全編に渡って、日本独特のアニメーション表現をCGモデルで制作されたオリジナルアニメーション作品。ストーリーは、幼い頃に母親の突然死を目の当たりにした過去を持つ高校3年生、真(シン)が主人公で、仕事で忙しい父親との生活もあって暗い性格の持ち主だ。ある日、真を陰ながら支えてきた幼馴染のガールフレンド、琴莉とデートをしている最中に、自身の父親までも突然死を迎えてしまうという不幸に襲われる。そんな真に更に追い打ちをかけるかのよう、に突然“もう一つの日本”というパラレルワールドから“ジン”という、真と瓜二つの人物と出会い、激しい戦闘に巻き込まれてしまう。

今いる“平和な日本”と“もう一つの日本”には真の両親を襲った“突然死”と深い関係があり、交わるべきではなかった世界が交わる術を得てしまったことで、次第にパラレルワールド同士の大規模な戦争に発展していくというSF作品となっている。作中では暗に「超高齢化社会」と「若者冷遇社会」をテーマに扱っているシーンも含まれており、社会的でかつ、バイオレンスな表現も多く、ポスタービジュアルのイメージからは想像もできない、メッセージ性の強い作品となっている。

今回、映画公開を記念して本作で監督と脚本を務める櫻木優平監督にインタビューを敢行した。

(インタビュー:畑史進)

■本作制作のきっかけと経緯、苦心した点があれば教えてください。

櫻木監督:以前『ソウタイセカイ』という作品の監督を務めさせていただいたのですが、同じ世界観で映画を作れないかというお話をいただき、本作を制作することになりました。シナリオ作りが最も試行錯誤した工程でした。今回スマートCGアニメーションというこれまでのアニメとは違う作り方をすることで、かなり終盤までシナリオを調整しながら進めました。それはそれで大変な部分はありましたが、自分は映画で最も重要なのはシナリオだと思うので、それを最後まで詰めることが出来て良かったと思います。

■TVアニメ『イングレス』の時から平面のデジタル作画と見分けがつかないくらいの程よいテイストのトゥーンシェイドで仕上がっていますが、コツや心がけがあれば教えてください。

櫻木監督:日本は手描きのアニメ文化が他国と比べかなり進化していますので、その文化をベースにした表現を目指しています。とはいえ、あまりにも手描きに寄せると「手描きでいいのではないか」ということになってしまうので、出来るだけ3DCGは得意とする表現を伸ばしつつ、手描きを見慣れている視聴者が違和感を感じないようなバランスを狙っています。

■途中、静止画のカットが織り交ぜてあるのはクラフターさんの作画技術の自信の表れでもあるのでしょうか?

櫻木監督:ライティングなどに立体情報を使っているので、絵が止まっていて作画に見えるカットも背景美術以外は基本的には3DCGで作成しています。元々手描き作画をしていたCGアニメーターも多いので、手描きと同じ感覚で絵作りをしています。

■本作の裏のテーマとして若者への政治への関心の訴えや、声の通りやすい超高齢社会への皮肉が垣間見えましたがその辺は意識としてあったのでしょうか?

櫻木監督:企画当初から、平和が続く現代の日本人を生きる特に若い世代に向けて危機感を訴えかける作品にしようというテーマの元、進めていました。その非日常にリアリティーを持たせるため、普段我々が過ごしているような日常シーンを特に丁寧に描く必要がありました。

■人の動きはいくつかロトスコープ又はモーションキャプチャーを使っているのかと思いますが、これはTVアニメ『イングレス』からの流用ですか?それとも本作のために作られたオリジナルのものでしょうか?

櫻木監督:TVアニメ『イングレス』では、モーションキャプチャーは使用していません。日本には手描き作画好きが多いので、モーションキャプチャーを使用した3DCGの動きに対し、批判もあるとは思いましたが、ただ手描きの真似事をするだけではあえて3DCGで作るメリットも減ってしまうので、今回はもう手描きアニメとは全く別の新しい表現をしたいと思いそういった判断をしました。

■このようなCG作画のアニメ作品はアニメ絵でもありつつも自然な動きに近いせいか声優さんにとっても声を作り、演技する上において従来のアニメ作品と違うものを要求されるかと思いますが、その辺はどのような感じでしたか?また声優の演技に合わせて絵を修正した個所はあったのでしょうか?

櫻木監督:キャラクターの動きがリアルになった分、声と動きのズレが目立つようになったと感じました。特に今回は秒間12枚の絵で動かしているので(通常の手描き秒間8枚が多い)口パクのずれが特に目立ちました。もともとその懸念はあったので、アフレコ後に修正する前提のスケジュールで進めました。後から絵を合わせる前提だったので、声優さんたちには絵のタイミングを気にせず自然な芝居をつけていただくことが出来ました。

■後半のバトルシーンではギミックの多い戦いのせいか、アニメや映画のような映像作品的ではなくテレビゲームにテイストが近かったように見えますが、これは意識されていましたか?

櫻木監督:テレビゲームは特に意識しませんでしたが、とにかく気持ちよく派手にしたかったので、今回のような表現になりました。お祭りや運動会のような高揚感を目指しました。

■最後にこれから鑑賞を検討している方へメッセージをお願いします。

櫻木監督:現代の日本を生きる人たちにとって、少しでも何かを考えるきっかけなる作品になればと思います。どなたが見ても楽しめるエンターテイメント作品になったかと思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけると幸いです。

[監督]櫻木優平
岩井俊二監督『花とアリス殺人事件』、宮崎駿監督『毛虫のボロ』のCGスタッフとして頭角を現し、『新世紀いんぱくつ。』で監督デビュー。TVアニメ『イングレス』ではその高いクオリティで世界を驚かせ、次世代の監督として注目を集めている。クラフタースタジオに所属し、最新鋭のアニメーション技術「スマートCGアニメーション」にこだわり、話題作を発表し続けている。

『あした世界が終わるとしても』
2019年1月25日(金)公開
配給:松竹メディア事業部
(C)あした世界が終わるとしても
公式HP:ashitasekaiga.jp
公式Twitter:@ashitasekaiga

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