東京ゲームショウ2026レポート『EXODUS(エクソダス)』体験会&Q&Aレポート――「時間の遅れ」と選択が生み出す、自分だけのSFアドベンチャー

【取材】

畑 史進:https://x.com/hata_fuminobu
伊藤ガブリエル:https://x.com/gabriel8492

 

Archetype Entertainmentが開発するSFアクションRPG『EXODUS(エクソダス)』の体験会が東京ゲームショウ期間中、メディア関係者に向けて開催された。

会場ではまず、開発スタジオであるArchetype Entertainmentの紹介と、本作の世界観やゲームデザインについてのプレゼンテーションを実施。その後、ゲーム開始から数時間が経過した段階を想定したミッションを実際にプレイし、さらに開発陣へのQ&Aが行われた。

『EXODUS』で大きな特徴として掲げられているのが、「ストーリー」「戦闘」「世界」「選択」の4つの要素。そして、そのすべてに深く関係しているのが、相対性理論をベースにした「タイム・ダイレーション(時間の遅れ)」だ。

数日の旅をしているつもりでも、故郷では数年、場合によっては数十年が経過している。さらに、プレイヤーがゲーム中で選択した行動によって、仲間との関係やミッションだけでなく、後に訪れる世界そのものまで変化する。

今回の体験会では、そんな『EXODUS』のゲームデザインを実際のプレイとQ&Aを通じて確認することができた。

『Dragon Age』『Mass Effect』『Star Wars: Knights of the Old Republic』のスタッフが集結

『EXODUS』を開発するArchetype Entertainmentは2019年にWizards of the Coast傘下で設立されたスタジオ。

スタジオには、『Dragon Age』『Mass Effect』『Star Wars: Knights of the Old Republic』などに携わってきたスタッフが集まっているという。

今回のプレゼンテーションでは、世界最高水準のストーリーテリング、プレイヤーの主体性、そしてゲームプレイを融合させることをスタジオの使命としていると説明された。

『EXODUS』は、そんなArchetype Entertainmentにとって最初の独自IPのゲームとなる。

本作を作るうえで影響を受けた作品として挙げられたのが、『DUNE』『スター・ウォーズ』『インターステラー』の3作品だ。

『DUNE』からは、何世代にもわたる壮大な家族のドラマ。

『スター・ウォーズ』からは、魅力的な仲間たちと共に繰り広げるアクションアドベンチャー。

そして『インターステラー』からは、相対性理論によって生じる「時間の遅れ」という要素。

これらを組み合わせながら、『EXODUS』独自のSF世界を構築している。

 

本作を構成する「ストーリー」「戦闘」「世界」「選択」

プレゼンテーションでは、本作を構成する大きな要素として「ストーリー」「戦闘」「世界」「選択」の4つが紹介された。

まずストーリーでは、映画的なSFドラマを描きながら、「時間の遅れ」がもたらす代償がプレイヤーに突きつけられる。

戦闘では、エキゾチックな武器や仲間との連携を使ったスピーディーなアクションRPGを展開。

そして「世界」では、さまざまな惑星を探索し、奇妙な環境や個性的な生命体と出会っていく。

最後が「選択」だ。

プレイヤーはゲーム中でさまざまな選択を迫られるが、それらは単なる会話の分岐にとどまらない。選択によってキャラクターがどう成長するのか、仲間との関係がどう変化するのか、ミッションがどのような結末を迎えるのかなど、ゲームそのものに影響を与えていく。

さらに大きな選択では、何年、何十年という時間が経過した後の世界にも変化が及ぶ。

 

光速に近づくほど、主人公と故郷の時間が離れていく

『EXODUS』を語るうえで欠かせないのが「タイム・ダイレーション」だ。

これはアインシュタインの相対性理論をベースとした設定で、本作では光速より速く移動することはできず、宇宙船による移動や通信もその制約から逃れられない。

高速で移動すると、移動している本人と、故郷などに残っている人々との間で時間の進み方に差が生まれる。

例えば主人公にとっては数日しか経っていない旅でも、故郷にいる人々にとっては数年、あるいは数十年が経過していることがある。

つまり主人公が宇宙を旅している間、故郷では世界そのものが先へ進んでしまう。

この時間差こそが、本作の物語を構成する重要な要素となっている。

開発陣は、現実の科学に基づくSFを考えた際、既存のSF作品では「時間」という要素がまだ十分に掘り下げられていないと感じたことから、この仕組みを『EXODUS』に取り入れたと説明している。

また、ゲーム内ではすべてのミッションで同じように時間の遅れが発生するわけではない。

今回の体験会でプレイしたミッションは、主人公たちのいる星系内で行われる近場のミッションだったため、タイム・ダイレーションの影響は比較的小さい。

一方、より遠くへ旅するミッションでは時間の遅れが大きくなっていく。

そのため、まず近場でミッションをこなし、チームや主人公の能力を高めていき、そのうえで遠方へ向かうというゲームの進め方も紹介された。

舞台となるライドンと、セレスティアルの存在

物語の舞台となるのは「ライドン」と呼ばれる人類のコロニーだ。

ライドンは地球からやってきた「箱舟」と呼ばれる宇宙船によって開拓された場所で、現在の人類社会は、かつて存在したセレスティアル文明の遺跡の上に築かれている。

セレスティアルとは、何万年も前にこの場所へ到着した人類の子孫。

彼らは遺伝子工学や生体改造によって、人類をはるかに超える存在へと進化した。

その結果、現在の世界においてセレスティアルは人類にとって大きな脅威のひとつとなっている。

さらに、この世界ではセレスティアルのテクノウイルス「ロット」が広がっており、人類の世界そのものが滅びつつある。

主人公ジュン・アスランは、セレスティアルと人類をつなぐ存在

プレイヤーが操作する主人公はジュン・アスラン。

ジュンは伝説的なトラベラーであるオリオン・アスランの子供であり、人類とセレスティアルをつなぐ存在として位置づけられている。

その最大の特徴が、セレスティアルのテクノロジーと直接接続できる特殊な遺伝的能力だ。

物語開始時のジュンは、物資などを回収して生きるサルベージャーとして活動している。

しかし、世界はロットによって滅びつつある。

そこでジュンは、世界を救うため、父親のオリオンが築いたダイナスティを取り戻し、トラベラーズを再建する旅へと出ることになる。

人間、セレスティアル、そして「知性を与えられた動物」

ジュンの旅は一人で行われるものではない。

プレゼンテーションでは、複数の仲間が紹介された。

人間の仲間としてトムやエギーズが登場するほか、本来なら敵となるセレスティアル側にも、ジュンたちの味方となる「M」というキャラクターが存在する。

そして、『EXODUS』の世界で特に目を引く存在が「アウェイクン・アニマル」だ。

アウェイクン・アニマルは、人間によって知性を与えられた動物たち。

体験会では、狼のヒューストン、タコのソルトが紹介された。

さらに実際のミッションでは、宇宙ステーションを運営する知性を持ったカエル「K」も登場する。

つまり本作では、人間だけでなく、人間によって知性を与えられたさまざまな動物たちも世界の住人として存在している。

この点についてはQ&Aでも質問が行われた。

開発陣によれば、アウェイクン・アニマルは今回紹介された狼、タコ、カエルだけではない。話せる範囲として、象やライオンなどの存在も明かされた。

ソルトに焦点を当てた映像を上映

体験会では、アウェイクン・アニマルの中からタコのソルトに焦点を当てた映像も上映された。

ソルトは人間によって知性を与えられた存在として紹介され、映像では「時間」をテーマにした演出とともに、そのキャラクターが描かれていた。

その後の実機プレイでは、ゲーム開始から数時間が経過した段階を想定したミッションへ。

プレイヤーは別の強力なトラベラー・ダイナスティを率いる人物に助けを求めることになり、その人物から宇宙船に必要な部品を提供してもらうため、依頼された仕事をこなす。

ミッションの目的地は、軌道上に存在する宇宙ステーション。

そして、そのステーションを運営しているのが、先ほど紹介された知性を持つカエルのKだ。

体験会では、このミッションを通して実際の探索や戦闘、仲間との連携、選択による展開などを確認することになった。

仲間は重要だが、プレイヤーが戦闘から離れることはできない

Q&Aでは、仲間との戦闘について具体的な質問が行われた。

体験者からは、プレイヤーが隠れている間に仲間が戦ってくれる場面を踏まえ、「プレイヤーがずっと隠れて、仲間だけに敵を倒してもらうことはできないのか」という質問が出た。

開発陣の回答は、プレイヤーが能動的にゲームに参加していく姿勢が必要ということ。

仲間にすべてを任せ、自分は何もしないというプレイはできない。

一方で、仲間をどのように使うかによって戦い方は変わる。

例えば、自分自身がステルス状態になって仲間に攻撃させ、その隙に後方から攻撃するような戦術も取れる。

また、仲間によってできることが異なるため、誰を連れていくかによって戦略も変化する。

つまり仲間は単なる火力要員ではなく、プレイヤー自身の戦い方を組み立てるうえで重要な要素になっている。

体験会のデモは操作を体験しやすいよう調整されている部分もあり、本編ではより難易度が高くなることも説明された。

ジュンは男性・女性を選択可能。物語を変えるのはゲーム中の選択

主人公ジュンについては、プレイヤーが男性・女性を選択できることがQ&Aで説明された。

また、開始時のスキルセットにも違いが生じる。

ただし、性別や開始時のスキル選択によって、物語そのものが大きく変わるわけではない。

物語の分岐を生み出すのは、ゲームを進めていく途中でプレイヤーが行う選択だ。

この点については、『Star Wars: Knights of the Old Republic』など、過去のRPGとの比較を交えながら質問が行われた。この作品では主人公の立ち位置によってストーリーの開始地点が大きく異なり、その立場で展開されるスター・ウォーズの歴史に向き合うストーリーとなっていたからだ。

『EXODUS』では最初に選んだ主人公の立場によって別々のストーリーが始まるというより、プレイ中に何度も登場する選択肢によって、その後の展開が変化していくという設計になっている。

「選択」は小さな会話の変化から世界そのものの変化まで

では、実際に選択すると何が変わるのか。

開発陣は、選択にはいくつかの異なるレベルが存在すると説明した。

最も小さなものでは、直後の会話内容が変わる。

そこから一段大きくなると、仲間との関係性に変化が生じたり、ミッションの終わり方が変わったりする。

さらに、ある選択によって後のミッションがアンロックされる一方、別のミッションが閉じられる場合もある。

そして最も大きな選択は、タイム・ダイレーションと結びつく。

遠くへ旅して戻ってきたときには、故郷で何年もの時間が経過していることがある。その間に世界が変化し、その変化の内容がプレイヤーの過去の選択によって異なるという。

つまり「選択した瞬間に結果が出る」だけではない。

選択した後に旅を続け、時間を経て帰還したとき、初めてその選択の影響が見えてくるケースも存在する。

プレイヤーによって「体験していないステージ」が生まれる

Q&Aでは、さらに踏み込んだ質問も行われた。

例えば、ある選択肢を選んだプレイヤーは特定の船やルートへ進む一方、別の選択肢を選んだプレイヤーはそこを通らない、といったゲームプレイ上の違いが存在するのか、というものだ。

これに対して開発陣は、ゲーム内には影響度の異なるさまざまな選択が存在すると説明。

そして、実際にプレイヤーによって異なるコンテンツを体験することになると回答した。

あるプレイヤーには発生するミッションが、別のプレイヤーには発生しない。

あるプレイヤーが遭遇したキャラクターが、別のプレイヤーでは異なる状態になっている可能性もある。

そのため、同じゲームを遊んだプレイヤー同士で話していて、

「このステージをやった」

「そのステージはやっていない」

ということが起こり得る。

これは単なるエンディング分岐ではなく、プレイの途中で実際に経験するコンテンツそのものを変化させる仕組みだ。

開発陣は、同じゲームでもプレイヤーの選択によって異なるストーリーを体験でき、さらに同じプレイヤーがもう一度プレイして別の選択をすれば、違う内容を体験できる点を本作の特徴として説明している。

遠くへ行くほど「時間」がゲームプレイに入り込んでくる

今回プレイしたミッションは近場で行われるため、タイム・ダイレーションの影響は限定的だった。

しかし、本作では旅の距離が伸びるほど、この時間差が重要になってくる。

開発陣は、近場でミッションを進めながらチームや能力を強化し、準備を整えてから遠方へ向かうという流れを説明している。

遠方へ行けば行くほど、戻ってきたときには故郷の時間が進んでいる。

そのためプレイヤーにとっては「どこへ行くか」だけでなく、「どれだけ時間をかけてそこへ行くのか」「戻ってきたときに何が起きているのか」という点も重要になる。

SF設定として時間の遅れを扱うだけではなく、それをゲームの進行と物語の分岐へ接続しているわけだ。

3万種類以上のボイスラインを収録

Q&Aではボイス収録についても質問された。

選択によって会話やストーリーが細かく変化するだけに、収録量についても大きな規模となっており、開発陣からは3万種類以上のボイスラインがあることが明かされた。

選択肢によって会話が変わり、さらに仲間との関係やミッションの結果、後のコンテンツまで変化する本作では、その分だけ多くの会話パターンが必要になる。

今回の数字は、そうした分岐型の物語を支える規模の一端として紹介されたものだ。

『Mass Effect』との比較について開発陣が回答

『Mass Effect』シリーズに携わったスタッフが多数在籍することから、同シリーズのファンから本作に寄せられる期待についても質問が行われた。

開発陣は、実際に『Mass Effect』に携わったスタッフが多く、その経験が本作の開発にもつながっていると説明。

一方で、『EXODUS』には独自の要素を入れているとして、特に「アウェイクン・アニマル」と「タイム・ダイレーション」を挙げた。

SFロールプレイングゲームという共通点があるため、『Mass Effect』と比較されることについては、同作が非常に優れたゲームであることを踏まえ、そうした作品と比較されること自体を光栄に感じているという趣旨の回答をしている。

体験会を通して見えてきた『EXODUS』の狙い

今回の体験会で繰り返し示されたのは、『EXODUS』における「時間」と「選択」の結びつきだ。

『EXODUS』では、プレイヤーが選択する。

その選択によって会話が変わる。

さらに仲間との関係が変わる。

ミッションの結末が変わる。

後から遊べるミッションが変わる。

場合によっては、遭遇するステージや敵そのものが変わる。

そして、遠くへ旅をすればするほどタイム・ダイレーションによって時間が進み、帰還したときには世界そのものが変化している可能性がある。

つまり、本作における「選択」は単純なマルチエンディングのための仕組みではない。

プレイヤーが選んだ行動によって、その後に何を見て、誰と出会い、どのミッションを経験し、どんな状態の世界へ戻ってくるのかまで変化させることを目指している。

そこに、アウェイクン・アニマルのような独自の生命体、セレスティアルをめぐる世界設定、そして仲間と連携するアクションRPGの戦闘を組み合わせている。

今回の体験会は開発途中のビルドだったため、翻訳やローカライズを含め完成前の部分も残されていたが、Q&Aでは本作がどのようなゲームを目指しているのか、その設計思想の一端が明らかになった。

特に、プレイヤーごとに異なるミッションやステージを体験する可能性があるという説明は、『EXODUS』の「選択」が物語上だけでなく、実際のゲームプレイそのものを変えることを示すものとなっていた。

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