ジャック・マイヨール人生を語る上で、日本はなくてはならない場所。映画『ドルフィン・マン~ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ』レフトリス・ハリートス監督インタビュー公開

【以下プレスリリース文掲載】

 

映画『グラン・ブルー』で知られる伝説のダイバー、ジャック・マイヨールの生涯を追ったドキュメンタリー、映画『ドルフィン・マン~ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ』が、今週末2019年11月29日(金)より新宿ピカデリー、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開いたします。
この度、 レフトリス・ハリートス監督のインタビューを公開いたします。
監督は、『グラン・ブルー』の重要な舞台のひとつでもあった、ギリシャ出身の映像監督です。
ジャック・マイヨールの人生に深い影響を与えた日本との絆とは。
──本作を撮ることになった経緯を教えて下さい。
当初は、ギリシャの伝統的な海綿漁をしているスポンジダイバーのドキュメンタリーを撮ろうと考えていたのですが、資金的な問題で実現しませんでした。海綿漁を調べていくうちに、ジャック・マイヨールの名前が浮上しました。マイヨールはスポンジダイバーたちと交流を持っていました。そこで、彼に焦点を当てようという話になっていきました。マイヨールは世界的に有名な人物ですが、生前に撮られた映像はたくさんあっても、死後に作られたものはありませんでした。それで、彼のフィルムを作るのにちょうどいいタイミングなのではないかと思ったのです。

──ジャック・マイヨールのどこに魅かれましたか?

マイヨールは、自分がもっとも愛したダイビングで世界を旅しながら、海とイルカの命に自らを捧げ、人生をめいっぱい生きた人物でした。深海にもぐれば、人間の身体について全てを知ることができると、彼は発見したのです。海に囲まれて育ったギリシャ出身の私にとって、 “海”は大きなひらめきになりました。それと、やはり1つの物事に一生を捧げるというマイヨールの生き方から、インスピレーションを得ました。彼はエコロジーを最初に語った人物の一人でもありますし。ただし、同時に、型破りな有名人にありがちですが、彼は強いエゴの持ち主で、女好きで、フリーダイビングを始めるまで放浪生活を送っていたような、私生活で非常に問題のある人でした。つまり、誰しもがそうであるように、さまざまな顔を持つ複雑な人間だったわけです。しかし彼のポジティブな側面は、寓話にしておくよりもよっぽど素晴らしいものですから、この映画で本当の彼を発見しようと思いました。──本作の撮影で訪れた国や地域の中で、特に印象に残っている場所はありますか?
マイヨールの親友だった成田均さんの日本での取材は特に忘れられません。やはりマイヨールの人生を語る上で、日本はなくてはならない場所だったのです。彼は日本を訪れてからというもの、ポジティブな側面が多く見られるようになりました。日本という国が彼をそうさせたのかもしれません。私も日本を訪れて多くの人たちと接する中で、他の国ではあまり感じなかった、他者への敬意というものを強く感じました。成田さんと高砂さんのお二人に会えたおかげで、この映画はずいぶん違うものになりました。ジャックは自ら命を絶ちましたが、日本と西洋とでは、自死の捉え方が違います。西洋では恥ずかしいことと捉えられがちですが、日本では個人の尊厳という考え方もあります。日本にいたマイヨールは、そう感じるところもあったのかもしれません。日本での取材を通して、欠けていたものが埋まり、マイヨールについての理解がより深まったと思います。──この映画に込めたメッセージを教えてください。

本作には、私個人のメッセージは入れないよう心がけました。そのため、映画をまとめるのに非常に苦労したのですが、観た人が何を考えるかは、受け取り方によって違っていいと思うのです。いろんな要素が入った映画なので、娯楽作品としておもしろかったという人もいるでしょうし、人と自然との関わりについて考える人もいるでしょう。一般の人とフリーダイバーとでは、受け取り方が大きく違うかもしれませんし、国によっても異なると思います。実際に、これまでに多くの国で上映してきましたが、反応はさまざまでした。私自身の本作の捉え方は、“海”と“死”です。 “死”と言うと、皆さんに観ていただけないかもしれないので、表向きには海にフォーカスしています。“死” にはネガティブな意味だけではなく、ポジティブな意味もあると思うのです。ただし、私の個人的なメッセージは前面に出さず、ジャック・マイヨールという人の物語を客観的に伝える中で、観る人が何を感じるかが大事だと思っています
【プロフィール】

レフトリス・ハリートス  LEFTERIS CHARITOS

1969年10月18日、ギリシャ生まれ。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで映画を学ぶ。これまでに制作したギリシャのテレビ番組の中には、高い評価を受けた歴史ドキュメンタリー『1821』や『The Journey of Food』がある。またフィリッポス・ツィトスとの共同でフィクションのクライム・シリーズ『Zone Defense』を監督した。本作は初の長編ドキュメンタリー作品である。監督業の傍ら、アテネのSAEクリエイティブ・メディア・カレッジでデジタル映画製作コーディネーターを務めている。
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『ドルフィン・マン~ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ』
果てしなく深い青一色の世界に、彼が求めたものとは――
ジャック・マイヨールの人生に深い影響を与えた日本との絆を解き明かす。
1988年に公開されたリュック・ベッソン監督の映画『グラン・ブルー』は、“素潜り”の世界記録に命懸けで挑む青年が主人公の海洋アドベンチャー。この主人公のモデルこそフランス人フリーダイバーのジャック・マイヨールだった。彼は、上海在住の幼少期に、何度か佐賀・唐津を訪問。そこで海女の素潜りを見たことが将来へとつながる。成長した彼は世界を放浪、フロリダでイルカに出会い運命が決定付けられる。素潜りを極めるべく、インドでヨガに出会い、日本の禅寺で精神を鍛え、ついに1976年、49歳の時に人類史上初めて水深100mに達する偉業を達成。それは“人間を超越した感覚”を経験した瞬間だった。その後『グラン・ブルー』の公開で脚光を浴びる。2001年、74歳で自ら生涯を閉じた。

関係者のインタビューから紐解く栄光と孤独、波瀾万丈の生涯。

ナレーションは『グラン・ブルー』で主人公を演じたジャン=マルク・バール。

劇中ではマイヨール本人の映像が随所に登場。家族や、写真家ら彼と交流のあった人たち、彼に影響を受けた現役のトップ・ダイバーらが証言する。そこから見えてくる知られざる素顔や、人生に落とした影、日本との強い絆を通して、彼が生涯をもって人々に伝えたかったことを“深く”探っていく。
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監督:レフトリス・ハリートス

出演:ジャック・マイヨール、ジャン=マルク・バール、ドッティ・マイヨール、ジャン=ジャック・マイヨール、成田均、高砂淳二、ウィリアム・トゥルブリッジほか
ナレーション:ジャン=マルク・バール
(2017年/ギリシャ、フランス、日本、カナダ/78分/カラー、モノクロ)

©2017 ANEMON PRODUCTIONS/LES FILMS DU BALIBARI/GREEK FILM CENTRE/IMPLEO INC./STORYLINE ENTERTAINMENT/WOWOW

製作・提供:WOWOW 配給・宣伝:アップリンク

写真:Mayol family archive/Daniele Padovan/Daan Verhoeven/Junji Takasago/Mehgan Heaney-Grier/Bruno Rizzato

【公開表記】
2019年11月29日(金)新宿ピカデリー、アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

【コピーライト】

©2017 ANEMON PRODUCTIONS/LES FILMS DU BALIBARI/GREEK FILM CENTRE/IMPLEO INC./STORYLINE ENTERTAINMENT/WOWOW

©Mayol family archive/Daniele Padovan/Daan Verhoeven/Junji Takasago/Mehgan Heaney-Grier/Bruno Rizzato

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