第1回目『太田和彦の日本百名居酒屋』

小宮山雄飛の東京DVDライフ 第1回目『太田和彦の日本百名居酒屋』



文章/小宮山雄飛
画/黒木裕貴
どもども!
ホフディランの小宮山雄飛です。
今回から始まりました『東京DVDライフ』、僕が映画・音楽・カルチャーその他あらゆるジャンルのDVDを観て、毎回なんとなくそれらしい感想なんかを言いまして、それなりに「なるほどなるほど、今度これ観てみよう」なんて共感を頂いたりして、好評で連載が続いた日には運良く単行本化なんかしちゃったりして、1粒で2度3度美味しい思いをしようという、そういうコラムであります。どうぞ末永くお付き合い下さい。
 
栄えある第1回目に紹介するDVDは

『太田和彦の日本百名居酒屋』


ほんとうは第1回ですから自己紹介的に好きな映画でも紹介するのが良さそうなもんですが、そこはそれフリースタイルということで、ちとマニアックなところから責めて行きましょう。
太田和彦さんは居酒屋探訪家として有名で(本業はグラフィックデザイナー)、僕も『精選東京の居酒屋』『太田和彦の全国居酒屋巡礼』などなど太田さんの著作を読んで「大人の飲み方って渋いなー!」などと勉強させてもらってきた訳で、日本の居酒屋を語る上で外す事のできない第一人者なのであります!
とはいえ、それは書籍の世界の話。
はたして、DVDになって、単なるおじさん(失礼!)が一人で居酒屋を巡る映像がどこまで面白いのか!?
そもそも、これはどういうシチュエーションで観るのがいいのか?
一人で晩酌しながら観るのか、みんなでワイワイやりながら観るのか、研究資料のごとくノート片手に一人しらふでジーっと観るのか。
いまいち最適なシチュエーションすら分からないまま、とりあえず酒を用意してDVDをスタート!
おお!これが動く太田和彦さんか!!
とまず太田ファンはこの時点で歓喜(笑)、なにしろ文章は幾度となく読ませてもらってますが、動く姿を拝見するのはこれが初めて、こういう方だったんですね。
喋り方が渋い!声がいい!
太田さんの文章そのままの、実に良い感じの静かな物言いなのです。
これぞ粋な酒飲みの語り口ですね、決してうるさくない、的確なコメントをさらっと独り言のように発して、それ以上は語らない。
ということで、この時点で分かるとおり、このDVDはけっしていわゆるグルメ番組のような、お店紹介モノではないのです。
太田和彦さんが一人で飲みに行ってる姿を粛々と楽しみ、そして一緒に一杯飲る、そういうDVDなのですね。
なので太田さん、酒の肴を食べても、ホンジャマカ・石ちゃんのように「まいうーー!!」などと決め台詞で盛り上げる訳でもなく、彦摩呂のように「まるで宝石箱や~~~!」なんてオモロい例えも一切しません。
柔らかい口調で、ボソっと一言つぶやくだけ。
1軒目として紹介してる東京・根岸『鍵屋』においてはこんな感じ。
一品目・味噌豆
「うーん、この味・・・・。」
(ってどんな味??もっと説明して・・・)
二品目・うなぎくりから焼き
「あー、うまい・・・・。」
(だけかー!どんな味か言ってくれー!)
三品目・たたみいわし
「・・・・(無言)。」
(ついに何も言わないんすかーーー!!)
終始こんな感じで淡々と進んで行く太田さんの独り酒DVD。
しかし、この空気感がいいんですね、これぞ大人の飲み助には最高の酒の肴DVD。
ここぞ!という間で始まるBGMのジャズがまたいい。
そして、決して押し売りじゃない蘊蓄(うんちく)がサラっと出て来る。
・酒は冬でも夏でも燗が基本
・酒の肴の小肌は、寿司屋よりも酢を利かせて
・お客さんは、肴と一緒に時間も食べに来るんです
なるほどなるほど、そうですよねえ先生!なんて思いながら、こちらもチビチビと酒を飲りながら観てる。
昔から、居酒屋で一人静かに飲めるようになったら立派な酒飲みと言われますが、いきなり実践に行く前にとりあえずこのDVDで、イメトレしてみるというのもいいかもしれません。
実際僕はこのDVD観て以来、すっかり<一人居酒屋で燗酒>にハマってしまいました。
一人で雰囲気良く古びれた居酒屋に入って、「ぬた」をツマミにぬる燗を一杯、なんて飲れるようになったら、もう立派な飲み助です。


小宮山雄飛(ホフディラン)

ミュージシャン
1973年8月14日生まれ
1996 年「スマイル」でホフディランのVo&Keyとしてデビュー。「遠距離恋愛は続く」「恋はいつも幻のように」「欲望」「極楽はどこだ」など、ヒッ ト曲を多発し、FUJI ROCK FESTIVALへの参加、日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、ライブでも活躍。日本のポップシーンにおいて根強い人気を誇る。デビュー以 来、シングル19枚、アルバム9枚(ベスト盤含む)をリリースしている。
絶賛発売中のニューアルバム『ブランニューピース』(DVD付き初回限定盤)に収録されている『恋人たち』『ニューピース』のPVでは、自ら監督を 務めるなど、多才な一面を持つ。2009年7月3日には、渋谷C.C.Lemonホールにて、デビュー13周年記念ライブを行い大成功!その模様を収録し たライブDVD『13年の金曜日』においても監督を務め、11月4日にライブCDとともに同時リリース、絶賛発売中! 
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZOへの出演も決定!
2010年7月3日(土)
ホフディラン ワンマンライブ
『14年の土曜日』
会場:SHIBUYA-AX
open 18:00 / start 19:00
チケット料金:3980円(ドリンク無し!)
ワタナベイビープロデュースDVD第3弾発売&自ら手売り
ゲスト:ゆってぃ / and more…
問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999
5/9からの一般発売に先駆けて、HP先行予約を受け付けます!
受付期間   4月19日(月) 12:00 ~ 5月5日(水) 18:00      
  ※専用URL http://eplus.jp/hoff-hp2/   
・ホフディラン HP http://hoff.jp/
・軟式ブログ http://blog.excite.co.jp/yuhi-blog/
・こむぞう http://comzo.cocolog-nifty.com/
・シコウヒンTV http://www.andsmile.tv/
・SHOOT UP http://www.shootup.net/

黒木裕貴(クロキユタカ)
東京生まれのイラストレーター。
CDジャケットや書籍・雑誌、アパレル等で幅広く活躍中。
また、影絵やコマ撮り作品をつくる映像作家としての顔も持つ。
official website http://www.kurokiyutaka.com/
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