『スペシャルアクターズ』 主演:大澤数人独占インタビュー

【インタビュー・文:ジャンクハンター吉田&畑史進 】

『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の長編映画第2弾『スペシャルアクターズ』が10月18日に公開される。
今回本作の主演を演じた大澤数人にインタビューを敢行することができたので、聞きたいことがあるんでキリキリまで追い込みますよ!?と脅しを入れてたっぷりとお話を伺った。

【STORY】
「緊張すると気絶する役者」VS「カルト集団」!?
暗い部屋でひとり、超能力ヒーローが活躍する大好きな映画を見ては溜息をつく売れない役者の和人。
ある日、彼は 数年ぶりに再会した弟から俳優事務所の「スペシャルアクターズ」に誘われる。そこでは映画やドラマの仕事のほかに、 日常の中で演じる仕事、つまり演じることを使った何でも屋を引き受けていた。そんな折、スペアクに「カルト集団」から旅館を守って欲しいと依頼が入る。
乗っ取りを図るヤバ目な連中相手にプランを練り、演技練習を重ねるスペアクの役者た ち。しかし、和人には皆に内緒にしている秘密があった。極限まで緊張すると気絶してしまうのだ。
あろうことか、このミッションの中心メンバーにされた和人。果たして、彼の運命やいかに!?

―――僕はこの映画で大澤数人さんのファンになってしまいました。今こういった顔で演技できるキャラクターって日本には絶対数が少ないんです。アップでも引きでもちゃんと顔の演技を重視したのは上田監督の手法でもあるかと思うですが、大澤さんは当初から考えられていたんでしょうか?

大澤:いえ特に考えていなかったです。「はぁはぁ」と息を荒くする度合いは上田監督からもっと上げてとかとそういう注文はありました。

―――凄いのはあまりにも真に迫っていたんで、今年のベストアクターだと思ったんです。10年間で3本しか演技をされていなかったということですが、どんな役柄をされていたんですか?

大澤:嬉しいです。これまでは自分の兄を殺す役と、自分の母親の葬儀の席で笑う役と童貞の役でした。

―――この作品はネオ童貞や童貞マインドが強いと楽しめる作品で、数少ないジャンルなんですよ。マインドは童貞ですよね!?

大澤:はい、そうですね(笑)

―――上田監督から役に関してどのような話をされたか覚えてますか?
大澤:特にしていなかったですね。

―――なるほど、上田監督と交流を深めていくうちに渡された台本を見てみたら自分と同じようなキャラクターがそこにいたという感じですか?

大澤:そうですね。

―――上田監督はその役者の素を見てから本書きに入るということですが、普段でも和人くんのような感じなんですか?

大澤:普段はもうちょっと落ち着いているんですが、こういった改まった場だと緊張してしまいますね。

―――役者を目指したきっかけは自分を変えたいという願望はあったんですか?

大澤:それはあまりなかったですね。映画を観ていてやりたいなと思っていただけですね。以前橋口監督の『恋人たち』のワークショップを受けた時に凄く刺激的だったので「松竹ブロードキャスティング」のオーディションは絶対に受けようと思っていたのです。

―――作品への出演が決まった時には『カメラを止めるな!』の大ヒットの後ですが、自分に何か運が向いてきたなという実感はありましたか?

大澤:それは思わなかったですね。むしろどうしようという思いで一杯でした。

―――役者になる切っ掛けは何だったのでしょうか?

大澤:映画やドラマが好きで、その時に付き合っていた彼女が衣装をやっていまして、その人から「大澤くんにあう訳があるから紹介したい」と言われてその監督さんに紹介してもらったのですがそれが「兄を殺す役」だったんです。セリフもエチュードみたいなもので無いならないでいいよという感じでした。

―――かなりおいしい役だとおもうのですが、それまではどこかの演技をやったことはないんですよね?

大澤:そうですね。それから映画塾に入りました。僕は元々変な役が好きだったので。

―――大澤さんの趣味や好きな映画ってなんですか?

大澤:市川準監督や、大林宣彦監督の『青春デンデケデケデケ』とかが好きです。あとは『がんばっていきまっしょい』みたいな作品が好きですね。

―――今そのときの彼女どうしているんですかね?

大澤:どうしているんでしょうね?

―――逆にその時の彼女さんがどうして殺人鬼役が合うと感じたのか気になりますね。別にサイコキラーの気があるとかそういうことじゃないですもんね。

大澤:それはないです(大笑)。

―――『魔太郎が来る』みたいなうちになにかメラメラ燃えるものを見抜いていたんじゃないんですかね?子供の頃とかいじめにあったりされていました?

大澤:ありましたね。その時は無視とか机がぺしゃんこになっていたりしていましたが隣のクラスに仲の良い友達がいたので乗り越えられましたが、辛かったですね。

―――凄く嫌な経験ですが、いじめていた側というのは大澤さんのパーソナルな部分を見て、何もアクションがないからサンドバッグにしようとかそういう考えだったんですかね?

大澤:いやそうではなくて、元々いじめていた人とは仲が良かったんですが、喧嘩しちゃって仲が悪くなったんです。その人が凄くクラスの中で幅を利かせられる人で、「しゃべるな」って強く言ったらみんなそれに従っていじめになったという感じでした。

―――今回の作中の和人くんは自分を変えたいのに変えられないジレンマを抱えているというキャラクターだったんですが、上田監督は見事にその大澤さんのパーソナルな部分から闇まですべて引き出したんじゃないかなと今のお話を聞いていて思いました。

大澤:闇を、上田監督が・・・そうかもしれない・・・

―――上田監督はオーディションをくぐり抜けた人たちにワークショップで色々な事をされたと聞いているのですが、具体的にどのような事をされたのでしょうか?

大澤:最初はセリフと役の立場が決まっていて最後は何も決まっていないエチュードを上田監督がカットをかけるまで続けるというものでした。

―――上田監督はエチュードでその役のスペックに耐えきれなくなって溢れ出た素を見つけたいと思っていたそうですが、実際大澤さんや他のキャストさんも素が見えるところはありましたか?

大澤:そうですね、役をやっているはずなのに素が出ると「この人はオーバーするといっぱい喋るんだな」とか色んな人の素を見て僕自身面白かったです。

―――『スペシャルアクターズ』は色んな個性的な役者さんが集まっているんですが、他にこの役がやりたいなと言う願望はなかったんですか?

大澤:やりたいなという役はなかったですが、現場で仁後亜由美さんとシーンについてあれこれ話すことはありました。

―――役に入るのに時間はかかる方でしょうか?

大澤:僕はですね、まずチョコレートを食べると安心するんです。ダースのチョコレートを食べると気合も入るんです。

―――和人は作中ではチョコレートの代わりに「ボールを揉む」という仕草で心を落ち着けるんですが、実際役としてやってみていかがでしたか?

大澤:嬉しかったですね。そういう変な要素が入ると好きなところがあって、役にプラスアルファ頂けたなとおもって嬉しかったんです。

―――実際揉むことで役に集中できるみたいな効果はあったんですか?

大澤:全然意識していなかたのですが、上田さんが「ここ揉むところじゃないよ」って無意識で揉んでいることがあったみたいです。

―――『スペシャルアクターズ』の撮影終了後はやりきった感はありましたか?

大澤:やりきった感というよりは、上田監督がクランクアップの時にハグをしてくれた優しさと、仕事が終わったことの感動があって泣いちゃいましたね。

―――上田監督はどやすこととかなかったんですか?

大澤:なかったですね、根気よくシーンに対して説明をしてくださいました。社長役の富士さんには「社長、ボス!緊張せんでもええんや、笑顔で頼むで」って優しく接するんですが、僕の場合は「大丈夫か?」くらいな軽い感じだったので、少し嫉妬しました。
でも最近になって「和人は常に緊張している役だから、富士さんみたいな接し方をするとそれがほぐれてしまっちゃうから、分けてやっていた」と話してくださったんです。

―――ご両親はどう思っているんですか?

大澤:言ったときには母親が泣いて喜んでくれました。父親は手が震えていましたね。兄も「ZIP!」で映画の予告編が紹介された時の録画を見てくれて知りました。「大澤家の誉れじゃ」って言ってくれました。

―――これからどういう役がやりたいってありますか?

大澤:またできれば殺人鬼役がやってみたいと思います。

―――共演したい役者さんっていますか?

大澤:蒼井優さんや満島ひかりさん、染谷将太さんとか、安藤サクラさんみたいな方と共演できたらなと思います。間近でその演技が見てみたいです。

―――今名前を挙げられた方々って演技派と言われる方なんですが、いづれは大澤さんもそちらに向かいたいということでしょうか?

大澤:そうですね・・・できれば頑張りたいです。

―――最後にこの作品を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

大澤:チーム一丸となって頑張りましたので、是非見てください。

『スペシャルアクターズ』
<松竹ブロードキャスティング オリジナル映画プロジェクト第7弾映画>
2019年10月18日(金)より新宿ピカデリー他全国ロードショー!

■監督・脚本・編集・宣伝プロデューサー:上田慎一郎
■スタッフ:企画:深田誠剛
プロデューサー:橋立聖史/小野仁史
撮影:曽根剛
照明:本間光平
録音:宋晋瑞
美術:秋元博
装飾:東克典
衣裳:馬場恭子
ヘアメイク:望月志穂美
助監督:山下和徳
アクション監督:HAYATE
音楽:鈴木伸宏/伊藤翔磨
監督補・宣伝デザイン:ふくだみゆき
■キャスト:大澤数人 河野宏紀 富士たくや 北浦愛 上田耀介 清瀬やえこ 仁後亜由美 淡梨 三月達也 櫻井麻七 川口貴弘 南久松真奈 津上理奈 小川未祐 原野拓巳 広瀬圭祐 宮島三郎 山下一世
■製作:松竹ブロードキャスティング
■制作プロダクション:ランプ
■制作協力:PANPOCOPINA
■配給:松竹
■公式HP:http://special-actors.jp/ 
■公式ツイッター:@special_actors 
(C)松竹ブロードキャスティング
■配給:松竹

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