町山智浩が映画『キングスマン』を解説!映画公開記念トークショー開催!

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『キック・アス』で世界中の映画ファンを虜にしたマシュー・ヴォ―ン監督の最新作、ノンストップ・スパイアクションムービー『キングスマン』が9月11日(金)より公開となった。今回、映画公開を記念して、映画評論家・町山智浩さんによるトークショーがTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて開催された。

映画を観た感想を聞かれると「スウェーデン王室は怒らないんですかねぇ?これ日本でやったら大変なことになりますよ(笑)」と一言。会場からは笑い声が上がったが、この意味は映画を見た人ならば分かるので未見の人はぜひ劇場で確認してほしい。

スパイ映画としてのポイントを聞かれると「これは007に対する嫌がらせのような内容です。劇中の会話で『最近のスパイ映画はどれも糞マジメで面白くないな』と言ってましたが、あれはダニエル・クレイグが演じる007シリーズへの嫌見ですね。『昔の007は悪役がバカげた世界征服のアイデアを出していたのに』とも言ってましたが、この映画では実際にやります」。 そして「主人公がバーで007お馴染みのカクテル“マティーニ”を注文するシーンで、『ジンベースにしてくれ』『分かってるね』というやり取りがありますが、あれはジェームス・ボンドがウォッカベースで飲む事が邪道だと言ってるんです」と解説した。

なぜマシュー・ヴォ―ンそこまで007に固執するのか聞かれると「これは、彼が『007/カジノ・ロワイヤル』の監督をするはずだったからです。逆恨みですね(笑)労働者階級の男が、どうやってイギリス女王陛下のスパイにまで登っていくのか、というような話を企画で出したんですけど、コンペで落ちたんです。」と説明。「いつか向こうから『007』の監督をして下さい、と言われるのを待っているんでしょうね。前に彼が撮った『X-MEN: ファースト・ジェネレーション 』も完全に『007』のパロディーになってましたしね。もう好きで好きでしょうがないから、悔しくてこれ撮ったんでしょうね」と監督の“こじらせた007愛”を解説した。

本作はスパイ映画でありながら青年の成長を描いている。それについて聞かれると「イギリスは元々階級社会です。労働者階級の人々は本当に貧乏で教育も受けられない状態が60年代くらいまで続いてました。身分の差がすごくあったんですが、そいったものに対する怒りみたいな感情がこの映画にはあります。主人公は貧しい人が住む低所得者の集合住宅で暮らしていますが、そこから見出され『人間は生まれじゃない、学んで紳士になるんだ』と教えられます。それがこの映画の思想みたいなところで、ハッキリとしたメッセージとして出ています。」

「原作者マーク・ミラーは、スコットランドの貧乏な家庭育ちで、これまでの『キックアス』や『ウォンテッド』も恵まれない貧乏な人が、自分の夢として諦めていたものになるという話でした。世間から負け犬扱いされている人が大逆転するという話をしつこくやり続けている人なんですね(笑)」と本作の核となるテーマを解説し、観客たちもじっくりと聞き入っていた。

その他にも本作に登場するガジェット解説、劇中で使用される音楽、キングスマンという言葉の意味など、じっくりと本作を掘り下げていた。

【ストーリー】
ロンドンのサヴィル・ロウにある高級スーツ店「キングスマン」。
しかしその実体は、どこの国にも属さない世界最強のスパイ機関だった!
ブリティッシュ・スーツをスタイリッシュに着こなすハリー(コリン・ファース)は、「キングスマン」のエリートスパイ。組織の指揮者アーサー(マイケル・ケイン)の元で日々秘密裏の活動を行っている。ある日チームの一員が何者かに惨殺され、新人をスカウトすることに。ハリーは街の若者、エグジー(タロン・エガートン)に可能性を見出し、「キングスマン」の候補生に抜擢する。エグジーの父親もまた機密活動中に命を落とした「キングスマン」のスパイだったのだ。一方で、頻発する科学者の失踪事件の首謀者ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)が、前代未聞の人類抹殺計画を進めていたー

『キングスマン』 R+15
9月11日(金) 全国ロードショー
配給:KADOKAWA
(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation 
公式サイト:kingsman-movie.jp

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