2013年のスマッシュヒットとなったアクションホラー映画『武器人間』。個性的で愛すべき、彼ら“武器人間”の姿は、公開されるや上映劇場やコミケでコスプレされるほどの大人気となった。その『武器人間』のブルーレイ&DVDリリースを記念して、ジャンクハンター吉田がリチャード・ラーフォースト監督にインタビュー!
いかにしてあのキャラクターたちは生み出されたのか。
今注目のオランダ人天才監督に話を聞いた。
↑リチャード・ラーフォースト監督
吉田:日本でのタイトル『武器人間』というタイトルについてどう思いますか?ものすごく直球なタイトルになっていますよね。
監督:すごくいいタイトルだと思う。最初はすごく驚いたけどね。まさに「その通り!」というタイトルだよね。でもヨーロッパではこのタイトルではきっとうまくいかないと思うよ(笑)。『Frankenstein’s Army』(原題)というタイトルにしたのは、僕は「フランケンシュタイン」を甦らせたかったんだ。ヨーロッパでは代表的な古典だからね。例えば日本が舞台のスピンオフがあるとしたら、このタイトルがいいよね。イマジネーションが膨らむよ。
吉田:日本のファンに受け入れられたことについてはどう思いますか?
監督:それが本当に嬉しいんだ。僕が小さいころから考えていたことやトラウマをこの作品に反映させている。自分自身の直感を信じて映画製作に取り組んできたんだ。それを遠い日本の人たちが観てくれて、喜んでくれている。こんなに嬉しいことはないよ。
■日本でも話題になった予告編
吉田:なぜ人間と武器を合体させようと思ったんですか?
監督:子供のころからずっとこんなことばかり考えていたからね。人間の体と武器を組み合わせるということに凄く魅力を感じていたんだ。僕はカトリックの学校に通っていたから、先生たちは怖がってたんじゃないかな(笑)。いつだったか「人間の時代はいつも戦争とともにある」という言葉を先生から聞いたんだけど、それで戦争と兵器に対して凄く恐怖を感じるようになった。きっとその恐怖を紛らわせるために武器と人間が合体したような画を描いていたんだと思う。
吉田:ラーフォースト監督は本当に画がお上手ですね。いつから描いてるんですか?
監督:僕自身あまりそう思ってないんだけどね。本当はピアノを習いたかったし(笑)。でも画を描くというのは、昔から僕にとっての大きなコミュニケーション手段の一つだった。まさにペンを持てるようになってからは常に描いているよ。いつも頭の中にビジュアルイメージがあったし、それを大事にしているんだ。
吉田:絵描きではなく、映画監督になりたいと思ったきっかけは?
監督:昔『スキャナーズ』や『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』を観て、多くの人たちがそうであるように僕も映画制作に興味はあったんだ。昔から画を描くことが好きだったから、美術学校に通っていたんだけど、その学校では「アートを作る」ことよりも「アーティストであること」が重要、みたいな変なエゴをいつも感じながら過ごしていたんだ。それがイヤでイヤで仕方なかった。だから学校の考えるアートとは程遠い「ゾンビワン」という自主制作映画を撮ったんだ。それが本当に楽しくてね。映像でストーリーを語るという行為は、画を描くことよりも格段に楽しかった。
吉田:それはどんな作品だったんですか?
監督:ロメロの『ゾンビ』ってさ、あれはいわゆる2作目だと思わないかい?
吉田:なるほど、あの前日譚が気になってしまったというわけですね。
監督:そうなんだよ!でもいくら探しても見つからない。だったら自分で撮ろうと(笑)。
吉田:ということは最初からホラー好きだったんですか?
監督:いや、まずは『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』あたりを観てSFに興味を持っていた。そこからクローネンバーグを経てホラーに興味を持ったんだ。
吉田:クローネンバーグのどこが響いたんですか?
監督:彼の作品はすごくリアルだよね。そしてすごく好奇心をそそられる。まさに我が道を行く作品で、しっかりと地に足がついている感じがするんだ。素晴らしい映画監督だと思うよ。
吉田:同じオランダ人監督の、ポール・ヴァーホーベン監督についてどんな印象を持っていますか?彼も「ロボコップ」というまさに「武器人間」が出てくる映画を撮っています。
監督:『ロボコップ』は、本当にファンタスティックな映画だと思う。友人の紹介で映画『ブラックブック』で彼と一緒に仕事をしたことがあるんだけど、彼の映画製作は余計なディスカッションはせず、一度方向を決めたらどんどん進めていく。僕もそのスタイルにとても敬意を払っているんだ。凄まじいエネルギーの持ち主だよ。
吉田:次回作の構想を少し教えていただけませんか?今回の成功で予算は増えましたか?
監督:あまり多くは言えないんだけど。ありがたいことに、今回の『武器人間』のおかげで予算は増えたよ。次の作品は、今回の『武器人間』の世界観をもっと広げた感じだと言えるかな。武器と人間の融合ということではなく、いろいろな物質が融合して人間の皮膚を形成するんだ。9月のトロント映画祭までには予告編を間に合わせたいと思っているよ。
インタビュー:ジャンクハンター吉田
文: 稲生稔
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