町山智浩が『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』を斬る!


ぴあ満足度ランキングで「踊る大捜査線3」を抑え第一位に輝いた、話題沸騰の映画『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』。
大ヒットを記念して行われたトークイベントで映画評論家の町山智浩さんが語りました!

 『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』
公開記念 町山智浩トークショー
7/11(日)トークショー@シネセゾン渋谷

Q:アメリカでの大ヒットの要因は?

町山さん:アメリカ公開2日めでバークレーで大行列ができてましたよ。99.9%が男性
でしたが(笑)
アメリカでは沢山の大学で一般試写をおこないました。
面白い映画なので、ネットで口コミが一気に広がったんですね。

Q:町山さんは、全米公開の際、キャストにお会いしたそうですが。

町山さん:そうですね。僕が会ったのは、パトカーを盗まれた警官役の人、ステュのい
やな婚約者、花ムコ役のジャスティン・バーサ、それからヘザー・グラハムに
会いましたね。

Q:出演者は日本で無名な人たちが多いですが?

町山さん:このポスター(主要キャスト3人が出ている日本版ポスターを指し)の中で、
アメリカ人でも知ってるのは真ん中のブラドリー・クーパーくらい。
他の二人は誰?というくらいの人たちだったので、アメリカでNo.1獲ったから
驚きましたね。
他にもいろいろ出てるんですが、中でも面白いのが中国人マフィアMr.チャウ
役を演じたケン・ジョンという人。この人はものすごく頭がいい人で、元は優
秀なお医者さんなんです。
16歳でアメリカを卒業して医者になって、35歳で「僕には夢がある」と言って
コメディアンに転身したんです。で、この映画で全裸になったんですね。
頭よすぎるので、一周、回ってそこにいったんですね(笑)ただの馬鹿な人じ
ゃないんです。

Q:ブラッドリー・クーパーはこの作品をきっかけにスター街道を進んでますね。

町山さん:ブラッドリー・クーパーはマシュー・マコノヒーの後を継ぐラブコメの王者
になりつつありますね。いつもボタンを3つくらいはずしてる。『そんな彼なら
捨てちゃえば』ではスカーレット・ヨハンセンと濃厚なラブシーンを演じてる。
『特攻野郎Aチーム』でもフェイスというイケメンの役で出演しています。

Q:アラン役のザック・ガリフィアナキスはどんな人ですか?

町山さん:この人はコメディアンですね。アメリカでも、全然有名じゃなかった。こ
の人がやってる面白いインタビューシリーズがあって、コメディアンではなく
、普通の人としてセレブにインタビューする。
だけど、そのやり方が独特で、相手のことを全然知らないていで質問するんで
す。例えば、トム・クルーズに「あなたは何か有名な映画に出てるんですか?
」みたいなことを言う。たいていの人は怒っちゃうんですね。この実は、ブラ
ッドリー・クーパーともこの番組で会ってる。そのときはブラッドリーは怒っ
ちゃったんですけど、その後仲良くなった。シャーリーズ・セロンにインタビ
ューしたときは、途中でこの演出に気づいたセロンが、彼に「あなた面白いわ
ね。今度食事でもどう?」と言った。それ聞いたザックは素に戻ってうろたえ
た。セロンは笑って「冗談よ」と返した。彼女のほうが一枚上手だったんです
ね。

Q:マイク・タイソンも出ていますよね

町山さん:タイソンは、実はすごい動物好きなんですよ。特に、伝書バトを育てるの
が趣味で、アメリカでは伝書バトレースの番組をやってるくらい。実はそうい
う一面もあるんですよ。
なので、トラを飼ってるのもあながち嘘じゃないかも(笑)

Q:監督にもインタビューされたそうですが

町山さん:元々はドキュメンタリー映画の人で、最初の作品は『全身ハードコア GG
アリン』という実在のパンクロッカーを題材にしたドキュメンタリー。観客の
前で排泄して、排泄物を客に投げつけるむちゃくちゃな人。観客に殴りかかっ
て逆にボコボコにされりする。歌詞の内容は「お前を犯す!お前を殺す!」み
たいなものばかり。そんな映画を撮ってた。
それ以降は、『アダルト・スクール』や『ロード・トリップ』、『スタスキー
&ハッチ』といった全米ヒットコメディ映画を撮ってます。どの映画も、男が
つるんで馬鹿騒ぎする映画なんです。
ちなみにフィリップス監督、この映画の監督はノーギャラでやってるんですよ
。そのかわり、興行収入の何%かが自分に入ってくるような契約にした。
そして、この大ヒットでしょう。一気に大金持ちですね。この契約は、『スタ
ーウォーズ』でジョージ・ルーカスがFOXと交わした契約と一緒。ルーカスは
『スター・ウォーズ』のマーチャンダイジング権を持てる契約を交わした。
FOXは当時、よくわからずOKしたけど、この利益がとんでもないことになった
んですね。フィリップス監督は「この映画は僕にとってのスター・ウォーズだ
!」と言ってました。こんな映画なのにね(笑)
あと、舞台になったラスベガスのシーザース・パレスでの祝賀会で監督みかけ
ましたが、ギャンブルやってましたね。金持ちになったのにチマチマ賭けて勝
ってましたよ(笑)

Q:フィリップス監督の作品のような男同士で盛り上がるジャンルを、アメリ
カでは“ブロマンス”というそうですが。

町山さん:ブロマンスというのは、「ブラザー・ロマンス」の略。男同士が主人公の
ラブコメなんかが多いですね。男同士で居酒屋に行くようにワイワイ映画館に
行く。こんな映画がアメリカでは100億円とかいっちゃうんですから、すごい
ですよね。

Q:フィリップス監督作のような、日本では未公開の面白いコメディ映画はど
うやって楽しむ?おすすめ作はありますか?

町山さん:DVD
は沢山出てますが、邦題だけだとどうしても選びづらいですが、お勧
めだと、『40歳の童貞男』『寝とられ男のラブ・ロマンス』『無ケーカクの
命中男/ノックドアップ』などでしょうか?男同士でワイワイ見てほしい。

作品紹介
人生最高の夜を楽しんだはずの男たちを待っていたのは、史上最悪の二日酔い
(ハングオーバー)だった!
全米を、そして世界を驚愕させた、2009年最大のメガヒットムービー、遂に日本上陸!

結婚式を2日後に控えた新郎ダグは、悪友3人と一路ラスヴェガスへと向かった。
目的は、独身最後の夜を謳歌する男だけのバチェラーパーティ。
高級ホテルのスイートでしこたま酒を浴び、バカ騒ぎする男達。だが朝目覚めると、
新郎ダグの姿は消え、代わりにいたのは一頭のベンガル虎と謎の赤ん坊…。
昨日の記憶が全くない!一体、昨晩彼らに何が起きたのか?結婚式は明日。
24時間以内に、消えた花婿を探しだせるのか?
とんでもない証拠品だけを頼りに、記憶をなくした二日酔い男達の最低最悪な1日が
幕を開ける―

配給:ワーナー・ブラザース映画 宣伝:ギャガ 
監督:トッド・フィリップス 
出演:ブラッドリー・クーパー/エド・ヘルムズ/ザック・ガリフィアナキス/
ヘザー・グラハム/ジャスティン・バーサ

2009年 / 原題:THE HANGOVER /  100分 / アメリカ映画 / カラー / スコープサイズ
 / ドルビーSRD+STS+SDDS / 字幕:アンゼたかし /R-15

公式HP

(C) 2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.


【町山智浩のアメリカ映画特電】

第96回 「ブレードランナー」と「ターミネーター」の根っこにいた男ロバート・カルプ
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