月風魔伝新作:『GetsuFumaDen: Undying Moon』インプレッションレポ

 

 

 

 

KONAMIから発売される『GetsuFumaDen: Undying Moon』のSteamでの早期アクセスが5月14日から開始された。本作は1987年にファミリーコンピュータ向け横スクロールアクションRPGゲーム『月風魔伝』の続編で、ジャンルは「ローグヴァニア2Dアクション」。

Nintendo Switchにも展開される予定となっている。

 

今回はこちらのソフトをプレイした『悪魔城ドラキュラ』狂いの編集長の畑と、当時ファミコン版をクリアしたジャンクハンター吉田の両名のインプレッションをお送りする。

 

 

 

 

■畑史進編集長のインプレッション

 

僕は世代もあって『月風魔伝』ってちゃんとクリアしたこと無いんだけど、『悪魔城ドラキュラ Harmony of Despair』の月風魔の追加DLCである程度の情報は把握しているという立場。ただ、初めて遊んだときにはナムコの『源平討魔伝』との違いがよく分からんもんで、20代になるまでごっちゃになることが多かった。まぁ、切磋琢磨してゲームを作っていたあの時代ならではのおおらかさだとは思う。

 

さて、そんな『月風魔伝』だけど、流石にあのゲームを今の時代のゲーマーにそのまま遊ばせるのはやや酷かもしれない。今はWiiUや3DS のバーチャルコンソール、そして本作『GetsuFumaDen: Undying Moon』の早期アクセスの特典として遊べるんで興味のある人は触ってみると良いかもね。

 

デジタルアートブック

オリジナルminiサウンドトラック

FC版「月風魔伝」

 

今作は一応ファミコン版の続き物ということだけど、遊んで見た感じは全然違う、今風のサイドビュー型アクションゲームになっていることに加えて、ゲームシステムも理解できればそこまで複雑じゃないので、かなりとっつきやすく、2Dアクションが好きな人なら間違いなくのめり込めるんじゃないかと感じた。「とっつきやすい」とは言っても、文字に起こすとちょっと回りくどい感じのシステムなんで、読んだだけだと僕の感じている魅力の半分も伝わらないかもしれない。本当は毎週吉田さんとやってるYouTube Liveで実況プレイしながら余すことなく紹介したいんだけど、今回のタイミングでは難しかったので文章で極力お伝えしようと思う(まぁ個人なら配信OKらしいので、気が向いたら僕個人のチャンネルでやるよ)。

 

ざっくりとこのゲームの概要を話すと、「不思議のダンジョン+ソウル系ゲーム」という感じ。ジャンル名に「ローグヴァニア2Dアクション」って書いてあって何じゃこら?と思った人がいたかもしれない。まずはこのジャンルを単語ごとに紐解いていこう。

まず、ローグはローグライクゲームのことを指している。「ローグライクゲームとはなんぞや」を話すと色々と多岐にわたるので、ざっくりとこのゲームに当てはまる話をすると、ランダムで生成されるステージに、死んだらそれまでの過程はどうあれ、入り口に戻されるというシステム。

その「ローグ」に続く「ヴァニア」は何かというと、ヴァニアは吸血鬼、つまりドラキュラを指している。同じKONAMIから出ている『悪魔城ドラキュラ』は海外では『キャッスルヴァニア』と呼ばれているのは有名な話で、そんな『悪魔城ドラキュラ』は後年、探索型のアクションRPG作品に移り変わって、海外ではこのテイストのゲームを「メトロイドヴァニア」と呼んでいる。おそらく「ヴァニア」というのはこれから取り、ゲーム内容もランダム生成されるステージをプレイヤーに隅々まで探索させていることから、こうしたジャンル名に落ち着いてたんじゃないかと推測できる。

 

 

とまぁジャンル名を分解してこのゲームの概要が見えてきたところでゲームの触った感じを話していこう。

 

プレイヤーは月風魔を操作して、ランダム生成されるステージを探索し、ステージの奥にいる巨大ボスを撃破する。プレイヤーは近接と遠距離、それぞれの武器を最大2つまで所持することができる。近接武器は刀や二刀流の両得物、拳、扇子、棍棒など多様なものが存在し、それぞれに特徴があるため、遭遇した敵にあわせて切り替えて戦う事もできる。

敵の攻撃を受けないまま攻撃を与え続けると、月風魔の体の周りにオーラが発光して、月風魔のステータスが上昇する。他にも攻撃をすることで相手の体制を崩し、「殺」という強力な一撃を加えたり、相手の攻撃のタイミングに合わせて攻撃を加えることで「閃」という強力な攻撃を畳み掛けることもできる。

 

 

遠距離攻撃の武器は火縄銃や弓、苦無(クナイ)、火薬玉と、こちらも多くのものがある。装備すると、こちらは近接武器とは違って切り替えという概念はなく、対応したボタンを入力してシームレスに使用することができる。遠距離攻撃は規定回数使用するとクールタイム(使用不可の時間)が発生し、これが経過すると再び使えるようになるため、積極的に使っていくと良い。

 

さて、月風魔はゲーム開始時に2つしか回復アイテムを所持していない上、これが最大所持上限ときた。そのため回復アイテムのこれ以上の取得はおろか、回復手段がこれ以外にないため、少しでも敵の攻撃を受けると、体力回復手段の乏しさからジリ貧になってしまう。その為、回避アクションと遠距離攻撃を駆使し、ステージ最奥にいる強力な敵も動きを把握して、なんとか攻撃を受けないように立ち回らなければならない。

 

最奥のボスを撃破したらクリアというわけもなく、休む間もなくすぐ次のステージの攻略に向かうことになる。回復手段の限られたこのゲームでは、プレイ中、常に神経を尖らせることになる。

 

道中のザコ敵を撃破すると、一定の確率で素材アイテムを落とし、これを使って武器の鋳造や、その武器の技能を開放することができる。他にも月風魔の基本ステータスを向上させる「鍛錬」や、「魂」にふれることでステージ中の月風魔のステータスを上昇させる「吸魂」や、ステージ中に佇んでいる「魂の記憶」に触れて武器の能力を一時的に発現させる「活性化」、など、様々なシステムがある。これらのシステムは理解し、慣れるまで相当の時間がかかるかもしれないが、とりあえずは横スクロールの「ソウル系ゲーム」としてダメージを受けないように立ち回るとそれなりにゲームを進行させることができる。

 

ステージ中には白い鳥居が設置されている。これを利用すると、「瞬間転移」いわゆるワープができる様になり、ステージ中、鳥居を2箇所以上通過すると、使用できるようになる。他にも鳥居には金の円を形作っているものもあって、入ると先には店があり、ステージ中に取得した銭を使って武器を購入することもできる。

 

ざっと遊んだ感触としては、最初からここまでに紹介したシステムが開放されているため、早急に噛み砕いて理解するのに少し苦労したが、システムを頭から取り払ってシビアな2Dアクションとして臨んだら刺激があって面白いと感じた。

グラフィックも日本古来の屏風絵のようなタッチが世界観にマッチして次のステージを目指したくなるような心地にさせてくれる。

 

サウンドもお経を軸にしたBGMが雰囲気を一層盛り上げているため、日本のゲーム業界で久しく作られなかった和を全面に押し出したアクションゲームを心ゆくまで楽しめると思う。

 

気になった箇所を上げると、このゲームは敵の色合いと背景が溶け込むことがあって、神経を尖らせていても不意の遭遇に対処しきれずにダメージを受けることがある。もう少しわかりやすく敵の輪郭を描いてくれると遊びやすくなるし、一撃死がゲームの進行を左右するゲームにおいて、プレイヤーとゲームのフェアが取れていないと思う。

 

全体的には良くできているので、Steam版の『月風魔伝』目当てに早期アクセスをプレイするのも良いだろう。

 

 

 

■ジャンクハンター吉田 インプレッション

 

ファミコンで発売されていたオリジナル版をプレイしたのは遥か昔の30年以上前。にもかかわらず「なぜ今になってリメイク? リブート?」と疑問しか残らなかった『月風魔伝』だったが、今風の横スクロール2Dアクション(但し難易度高いのでプレイヤーを苦しめるところが逆に心燃えてくるのだが)ではあるものの、ローグライク形式で自身を強化したり装備を充実させても倒されてしまったら全てがゼロ。つまりリセットされてステージの最初からやり直させられるので、ここ数年、難易度の高いアクションゲームが国内外各メーカーからリリースされるようになった潮流を逃さないKONAMIが満を持してのリメイクにはファミコンリアルタイム世代のオッサンは大歓迎。

 

月風魔

 

月蓮華

 

相変わらず日本の和を基調にした世界観で、もちろんそのポテンシャルは一切壊さずに独特の日本画風味のプロダクションデザインのセンスをこれでもかと押し出してくる展開はお見事。ファミコンのオリジナル版要素はどこへ行った? と言わんばかりな途中までのセーブデータのような甘えは許さんとばかりに激しい難易度で最初面食らっていたが、死にゲーから覚えゲーのエッセンスはこのようなアクションゲームには当然のことながら、ストレスが溜まるだろうと予想を覆すほどの小気味良いレスポンスと操作性で繰り返しプレイしたくなる中毒っぷり。

 

だが、そんな一方で軽く遊んでやろうとかのカジュアルにプレイしようとするのは絶対NG。本腰を入れてのプレイに適している。その理由は防具系を装備していく要素が皆無なため、可能な限り敵の攻撃を受けない戦法が重要になっていく。極めつけはプレイヤーの体力がステージクリア時に回復されるだろうと勝手に思い込んでいたら(普通のアクションゲームでは当たり前だよね)そんな微温湯に浸かっているようなプレイは一切許されない。

 

回復薬を使うか魂を2個溜めて吸魂で回復する以外に体力回復ができない。最初何かの間違いだろうと誰もが思うだろうが、まさしくKONAMIから筋金入りのハードコアゲーマーへ向けた挑戦と筆者は捉えた。というわけで当初はオリジナル版と比較でもしようかと思ったが、実際プレイしてみるとリメイクというよりか完全新作なアクションゲームに進化を遂げていたため、そんな野暮なことしても意味がないと判断。『月風魔伝』がヒットした暁には『迷宮寺院ダババ』や『魔城伝説』シリーズの新作を遊びたいので是非とも復活させて欲しい。

 

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