映画『ミドリムシの夢』ジャンクハンター吉田紹介レビュー

【STORY】
2人組で駐車違反を取り締まっている駐車監視員(ミドリムシ)のマコトとシゲ。2人は毎日のように、ミドリムシ!税金泥棒!と罵られている。真面目なマコトは女子供構わずに厳しく取り締まるが、一方のシゲは女に弱くいい加減。
そんな凸凹コンビの2人に、深夜勤務の話が舞い込む。とある夜、駐車違反を見つけ通常通り違反切符を切った2人は予期せぬ事件に巻き込まれていくのであった…。

【ジャンクハンター吉田:レビュー】

駐車監視員の日常を描いただけの淡々と展開する物語かと思いきや、登場人物全員がそれぞれ悩みを抱えており、後半へ進むにつれてクロスオーバーしていく、ある意味で想像を大きく良い方向へ裏切ってくれたヒューマン・コメディ。個人的に一番ツボに入ったシーンは駐車違反を取り締まる場面……ではなく、公園でほりかわひろき氏と富士たくや氏の主役二人が何気ない会話をするシーン。中年になっても未婚で母親にお弁当を作ってもらってランチをする富士氏へほりかわ氏が優しく接するところがとても印象深い。前半部分にこのカットを入れただけで二人の役柄、というか真面目一筋なキャラクターとやさぐれたキャラクターに水と油な駐車監視員のパートナー同士でも互いを信用し支えているんだなと、本作のポテンシャルが眠っている感じがした。特に富士氏は少年時代にイジメられている設定で、仕事がみなし公務員な駐車監視員として、放置車両をビシバシ駐禁ステッカーを貼りまくっていく最中、過去にイジメっ子だった同級生の車両にも貼る行為は痛快極まりない。現在上映中の上田慎一郎監督作『スペシャルアクターズ』にて、コメディリリーフ役を担っている富士氏は、本作『ミドリムシの夢』でも同じように頼りなさそうな演技が冴えわたり、役者的にも一点モノな替えの効かない存在感を醸し出している。

「ミドリムシの夢」
監督:真田幹也 脚本:太田善也
出演:富士たくや/ほりかわひろき/今村美乃/吉本菜穂子/佐野和真/歌川椎子/長谷川朝晴/戸田昌宏

〇公式HP
https://www.midorimushinoyume.com
〇製作年 / 上映尺 / 上映フォーマット
2019年 / 86分/ DCP / カラー / ステレオ/©︎「ミドリムシの夢」製作委員会

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