『時をかける少女』公開記念 石丸幹二さんインタビュー

 3月13日(土)より公開される映画『時をかける少女』の公開を記念して、映画初出演の石丸幹二さんインタビューしました。


石丸幹二(いしまる・かんじ)
1965年8月15日、愛媛県生まれ。幼少より様々な楽器に触れ、東京音楽大学(サックス専攻)を経て、東京芸術大学音楽学部声楽科に入学。芸大学在学中にオーディションに合格し、90年、劇団四季にて「オペラ座の怪人」のラウル・シャニュイ子爵役でデビューを飾る。その後、「壁抜け男-恋するモンマルトル」「アスペクツ オブ ラブ」「ウエストサイド物語」「アンデルセン」「思い出を売る男」「ハムレット」などの主演を務め、07年末に退団。09年、言葉と音楽のシリーズ「イノック・アーデン」(一人舞台・白井晃演出)で活動を再開し、「ニュー・ブレイン」(ダニエル・ゴールドスタイン演出)、「サンデー・イン・ザ・パーク・ウィズ・ジョージ」(宮本亜門演出)と、ミュージカルに続けて主演する。ストレートプレイでは「コースト・オブ・ユートピア」(蜷川幸雄演出)に出演。また、映像ではNHKドラマスペシャル「白洲次郎」に出演するほか、本格的に音楽活動もスタートさせた。
(編集部)今回は2010年版『時をかける少女』で深町一夫役を演じられたわけですが、今までのキャリアは舞台がメインで、映画の出演は初めてなんですよね?
(石丸さん)はい。初めてですね。
(編)初めて映画で役を演じられていかがでしたか?舞台で演じるのとは違った感じがしましたか?
(石丸さん)そうですね…。映画の演技というのはいわゆるフレームの中での動きになり、「内面勝負なんだな」と思いました。
(編)今回の役柄は未来人ということで、背景にある物も撮影現場には実際には無く大変ではなかったですか?
(石丸さん)監督から事前に「あなたはこういうセットにいることになっています」と説明を受け、自分の中でイメージしつつ演じたんです。試写を見ましたら、監督の説明通りの風景が出来あがっていて、「映像ってすごい」と思いました。それと些細なことなのですが、建物の中にこもって演技をする舞台芸術と違って、映像は屋外での撮影があった。しかも、とても良い天気の日だったんですね。なんだか嬉しくなりました。
(編)大林監督版の『時をかける少女』は公開当時にご覧になっていたんですか?
(石丸さん)いえ、今回、初めて拝見しました。
(編)感想はいかがでしたか?
(石丸さん) 大林監督の独特の世界に共感しました。また、尾道で撮られていたこともあり、愛媛出身の僕は、『時をかける少女』の世界と自分の子供時代とが重なって、ノスタルジーというか、なんとも言えない不思議な感覚がありました。
(編)今回の2010年版『時をかける少女』を観た時はどう思いましたか?
 (石丸さん)おそらく、「あえて」なんでしょうが、今回の谷口監督が目指された世界観は、大林監督の世界観に通じるものが非常にあると思うんです。だから今回の試写を観て、もう一度、大林監督の『時をかける少女』を観たいと思いました。
(編)今回演じた深町一夫というキャラクターは芳山和子に対して、どんな想いでずっと過ごしてきたと思いますか?
(石丸さん)深町の和子への想い以上に、きっと、和子の深町への想いが強かったんじゃないかと思います。彼女の想いに改めて触れることによって、深町はそれに応えようとした……。私はそんな深町の真摯な優しさが好きですね。
(編)今回、大林監督版を知らない、深町のキャラクターをよく知らない人もこの映画を観るということを考えた時、どう演じようと思いましたか?
(石丸さん) 実は、(大林監督版の)映画を観る前に「深町一夫」に対して抱いていたイメージと、映画を観たときの彼のイメージに、少しズレがあったんです。映画の深町は10代で、実際にその時代に生きている青年らしく見えていました。だから今回も、時代に合致した演技が必要なのかな? とも思ったのですが、やはり未来からやってきた男だし、登場人物たちとは、ある意味、すごく違和感がある存在として描かれている。だから、”リアル感”を消すほうがいいのだろう、超然とすべきだ、と。だから「なんだろう、この人」と思わせる要素をキープするように、謎に包まれた男という軸からブレないようにと思いました。
(編)演技をする際に、監督からいろいろと指示はありましたか?
(石丸さん) 私の持っている雰囲気を重視してくださったのか、監督からのリクエストはほとんどありませんでした。あえて自然体でいるこ とを求められたというのもあるでしょうね。そこは監督を信じて演じていました。
(編)映画の中では、部屋にお風呂が無くてちょっと不潔そうで、でも人間くさい。そんな70年代の大学生の生活が描かれていますが、石丸さんの大学生時代はどうでしたか?
(石丸さん)私の学生時代は劇中よりも少々後ですが、大学に入って18歳で親元を離れ、一人暮らしを始めた頃を思い返すと、やはりよく似た生活をしていましたね。好きなものに突進して、夜通しお酒を飲んで騒いでは激論し、と。「ああ、自分もそうだったな」と思いました。
(編)大学生の頃は音楽をやってらしたんですよね?
(石丸さん)ええ。僕は芸大の学生寮に入っていたんです。音楽と美術を専攻する学生たちが一緒になって生活していたのですが、まさにこの映画の登場人物たちのような人間たちの集団で(笑) 。
(編)今後は映画にもっと積極的に出演される予定ですか?
(石丸さん)チャンスがあれば、どんどん挑んでいきたいと思っています。
 (編)俳優さんの中でいいなと思う人はいますか?
(石丸さん)そうですね、例えばジョニー・デップのような、いつも周りの予想を裏切るような演技ができる俳優には感銘を覚えますね。
(編)では最後に、これから『時をかける少女』をご覧になる方にひとことお願いします。
(石丸さん)この作品を観ると、とても優しい気持になると思います。人を想い、人を大事にしたくなる映画だと思います。昔、想っていた人をふと思い出したりとか……、この映画がそんな瞬間を味わえるきっかけになれば。是非、映画館で楽しんください。
『時をかける少女』
3月13日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
■キャスト
出演:仲 里依紗、中尾明慶、安田成美、青木崇高、石橋杏奈、千代將太
柄本時生、キタキマユ、松下優也 / 勝村政信、石丸幹二
■スタッフ
監督:谷口正晃
脚本:菅野友恵
原作:筒井康隆(「時をかける少女」(角川文庫、角川つばさ文庫)
歌:いきものがかり(挿入歌「時をかける少女」、主題歌「ノスタルジア」)
撮影:上野彰吾
照明:赤津淳一
美術:舩木愛子
編集:宮島竜治
録音:小川武
VFXスーパーバイザー:小坂一順
衣装:宮本茉莉
ヘアメイク:横瀬由美
製作:アニプレックス/エピックレコードジャパン/ボイス&ハート
スタイルジャム/クオラス/ハンゲーム/カルチュア・コンビニエンス・クラブ
配給:スタイルジャム
2010/日本/カラー/35mm/122mi/ビスタサイズ/ドルビーSR
(C)映画「時をかける少女」製作委員会2010
[公式サイト]

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