公開直前!映画『宇宙ショーへようこそ』舛成孝二監督インタビュー

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6月26日から全国ロードショーされる『宇宙ショーへようこそ』。公開直前の今回は舛成孝二監督のインタビューをお届けします!







舛成監督インタビュー
(編集)―これまでもいろんな作品を監督、演出されてきましたが、今作の企画の成り立ち、究極的に何を目的として描きたかったのか、そちらをお聞かせ下さい。



(舛成監督)成り立ちから言いますと、前作、僕と落越友則と倉田英之の三人でベサメムーチョという集団を作りまして、そこで「かみちゅ」をやりまして、うっかり国から賞を頂いたんですね(笑)。そうするとですね、調子に乗って「映画とか作らしてくれねえかな?」って言ってたら、落越君の方から、「なんか出来るかもしれませんよ」って言われた所がスタートですね。映画って、やっぱ僕らってなかなか作らしてはもらえないんですね。とくにオリジナル映画なんで、まずほとんど無理だろうって思ってたんですけど、本当、運よくそういう流れになったので、じゃあ作ってみようと。それで今回描こうと思っている所は、これ実は毎回思っていることなんですけど、面白さ、エンターテイメントっていう、見て面白い物を作りたい、ということを考えて作りました。



(編)今回のストーリーラインというか、こういうアイデアでやってみようって固まるまで早かったんですか?それともそこに至るまで結構ディスカッションされたんですか?



(舛成監督)時間はちょっとかかってます。一度この「宇宙ショーへようこそ」の前に企画、構成ところまで入ってた作品が一本あって、かなりところまで作ったものを潰してますね。そのあと、今回の形にもう一度まっさらな状態から作りました。



(編)すべてを作り直したんですか!?



(舛成監督)そうですね、何一つ残ってないです。



(編)改めて仕切り直して、スタートラインに立つまでどれくらいかかったんですか?



(舛成監督)その作品(潰した企画)のやりとりが3カ月くらいあったんですよ。その時点で僕の方でこれはやめようっていう話をして、そこから『宇宙ショーへようこそ』に入って、それからシナリオ完成に1年かかってます。



(編)1年ですか!?ちなみにどれくらい稿を重ねられたんですか?



(舛成監督)表記上では13稿になってますが、たぶん13という数字は当てにならないくらい直しました(笑)



(編)シナリオに1年かかって、今度は当たり前の話ですが、画として認識できる作業になりますけど、次のヤマは何だったんですか?



(舛成監督)絵コンテですね。僕は絵コンテで、ストーリーを画面にするっていう作業なんで、それは単純に僕個人の作業になってくるんですけど、現場はイメージをまず画に起こさなきゃいけないんです。画作りってデザイン作業だから、絵描きさんが徹底的に絵を作っていかないといけない。イメージが何も無い所からのスタートなんで、まずデザイナーさん達は世界観を作っていくという所からの作業ですね。僕を含めプロダクションデザインのメンバーが顔突き合わせて、いろんなアイデアを出して、それを画にしてもらうっていうのをまずやるんですが、それでもまだ足りないんで、若い子達にもイメージボード作りをやってもらって、それをやりつつ、そこから良い画が出たものをベースに、僕がコンテにしていく作業が2年かかりました。



(編)監督の過去作を見ると、「R.O.D」シリーズから物が動くことに関して執拗にやってますよね。滑らかに動くといいますか、昔のウォルト・ディズニー作品だったりとか、大塚康生さんの「ルパン三世 風魔一族の陰謀」とか、例えば自動車が自動車らしくグググっと動くような。それで今回は生き物からメカから全編動き続けているじゃないですか。”物が動く”ということについて、どれくらいディレクションされたんですか?



(舛成監督)物の動きに関してのディレクションはしてないです。ただ意思統一をしているだけで、車とか四角いものが動いてる最中に丸くはなりませんよねとか、人間が100mを5秒では走りませんよねとか。基本リアルに物質の動きっていうものをキチンとやりましょうと。例えば、立ち上がる時に重心はどこにあるのか?とか、そういうことをリアルにアニメーションしましょうっていうのを、僕がわざわざ言う必要が無いくらいスタッフが理解してくれてるんで、そこらへんは全然指示してないです。



BB.jpg(編)今作には実際に存在しない生き物が出てきますが、それらの”動き”はどう演出されたんですか?



(舛成監督)存在しないものは、ハッキリ言って丸投げです。勝手に想像してくれって(笑)



(編)スタッフから提案された物に対して、監督がイエス、ノーを付けていくという感じですか?



(舛成監督)そうですね。でもほぼイエスです。訳の分からない物をそこで動かせているわけだから、どう動いてもつじつまが合っていればオーケーですよ(笑) こうあるべきという固定観念を持っていくと、宇宙人とか動かしてもバリエーションは出てこないと思うんですね。誰の固定観念も無いところからそれが出来るから面白いものが出来るんじゃないかと。だから同じ人が全部アクションを付けているわけじゃなくて、いろんな人がそれぞれのアクションにアプローチをしているから1つ1つ違う動きをするんです。



(編)本当に理詰め好きなんですね!



(舛成監督)僕は中学の頃から理屈っぽいと、お兄ちゃんに言われてましたね(笑)



(編)子供の頃は、どういったものが好きだったんですか?



(舛成監督)実は子供の頃の記憶があまり無くて(笑)そうですね、アニメはやっぱり好きでしたね。僕が小学校時代に一番鮮明に覚えている記憶が、4年生の時に16時くらいから再放送でやってた「アタック№.1」が見たくて、掃除が終わってすぐ走って帰らないと間に合わないっていう、その走ってる瞬間を鮮明に覚えてるんですよ。だからそれくらいアニメは好きだったと思うんです。それ以外だと、中学に入ってからは少女漫画が好きでしたね。小学校時代はほとんど漫画を読んでないんですよ。



(編)そうだったんですか。飛行機とか車とか鉄道が好きな”男の子”という感じではなかったんですね。



(舛成監督)そうですね、小学校の時だったかな、スーパーカーが近所に来たことがあったんですよ。でも全く興味が無かったんで見に行かなかった(笑)



(編)けっこう作品にメカとか出てくるんで好きなのかと思っていました。



(舛成監督)好きですよ。好きなんですけど、例えばスーパーカーだと、形とかではなくて、この取っ手はどういう素材なんだろうとか(笑)。職人とか匠とかそういうのが大好きで、ちょっと鉄の塊フェチみたいなところがあったりして(笑)そういう四角い物が大好きだったり。



(編)そういうメカ好きだったんですね。見た目のカッコ良さというより、その内部で、何がどう動いているとか、そっちに興味があるんですね。



cc.jpg(舛成監督)そうですね、そういう物には凄い興味はありました。



(編)先程のお話しの中でもありましたが、かなり理詰めで演出されていますよね。そうなるとキャラクターを作る上でも理詰めなんですか?



(舛成監督)僕の作品は動きを重視するんで、動かしやすいキャラクターを作っていく。パッと見キャラ表で見ると、あんまりかわいさっていうのが表に出てこないんですが、フィルムになるとべらぼうにかわいくなるっていうのは、動くことを前提に作っているデザインなんでそうなってしまうんですね。だから一番ナチュラルな顔が設定で描かれていて、そこから表情でかわいさを作っていく。見た眼の表情が何もない状態でかわいいものではないという書き方をしちゃうんですよね。



(編)それは、普段接していると、すごく可愛い女の子が、写真で見るとそうでもない・・・みたいな(笑)?アニメのキャラクターに、実際の人間を再現しようとしているような。本当に理詰めなんですね!



(舛成監督)油断すると残念な人っているじゃないですか(笑)そういう感覚で作っていると思って頂ければ。



(編)わかりました(笑)だからキャラクターの見た目のカワイさと、実際に作品を見たときのギャップというか、”気持ちのいい裏切り感”っていうのはそこからだったんですね。登場人物を作る上で、主人公とその周りにいる、おせっかいじゃない程度に干渉してくる仲間たちとの関係性みたいな設定はお好きなんですか?



(舛成監督)好きです。「R.O.D」のときは家族をテーマにしてやったんですが、コミュニケーションの分かりやすい手法として使ったのが、アンチ・コミュニケーションっと言って、目を見て喋らない。家族であまり目を見て喋らないよねっていう感じの。アニメーションとか映像を作ってると、必ず相手を見て喋るっていうことをついやってしまうんですよ。でも本来、その関係性が近ければ近いほど、そういう風なことはしないだろうとっていうことで、家族を描く上でそういうことを注意してやったんですね。そこから今回の「宇宙ショーへようこそ」の子供たちは、自分の家族を持ちつつ、小学校の中では他人とコミュニティを作っていて、その中にはちゃんと兄弟みたいな絆がある。でも家族ではないんで、距離感を持ちつつ踏み込まない部分がありながらも気にするっていう、優しい気持ちを持ってる世界観を作りたいなと思ってやりました。



(編)監督はキャラクターを演出する時は、父親的な目線で見ているんですか?



(舛成監督)そうなっちゃいますね(笑)。とにかくキャラクターを好きになって理解しないと芝居を付けられないんで、そのためにバックボーンを作っていく。そういうことを繰り返していくと、僕の考えでは、本人になるというより、父親の感覚に近づいていくと思いますね。いろんなことを俯瞰で見るんだけど、できるだけキャラクターに芝居を付けるときには、その場その場でその子の考えが自分に入ってくるようにはします。



(編)今回の『宇宙ショーへようこそ』に限らず、アニメ作品全般に言えることだと思うんですが、ありえないことが起こる瞬間から物語が動き出すという演出がありますよね。ここまでのお話で想像以上に理詰めで作っていることが分かったんですが、作品を演出する際、いきなり非日常に話しを持っていくために気を付けていることはなんですか?



(舛成監督)非日常って、パッと見で非日常って思われたらダメだと思うんですね。この非日常の事件がもしかしたら本当に起こるんじゃないか?って思わせないといけなくて、そのために、僕はリアルっていう言葉はあまり好きではないので、リアルっぽいってよく言うんですけど、いかに、そこにキャラクターとか世界観が実在していると思わせるかが重要で、そう思わせてそこに非日常を入れると、あまり嘘ではないように見えるんじゃないかと思うんですね。



(編)監督は物を食べるシーンって表現するのお好きですか?



(舛成監督)好きですね。そんな意識してしてたわけじゃないんですが、食べるシーンってキャラクターの個性がいろいろ出てくるのが好きでやっていたんですけど、つい最近、内藤泰弘さんとお酒を飲んで、そのときに「フード理論」というものを聞いたんですよ(笑)



(編)それはどういうものなんですか?



(舛成監督)食事を一緒にすると仲間意識が凄く芽生えるっていうので、それも一理あるなと。そういえば僕もしょっちゅう飯食わしてるなーって(笑)」



(編)では最後に、これから作品をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。



(舛成監督)理屈抜きに楽しめる映画になっています。僕は理屈っぽいですが(笑)見た人はそれぞれいろんな感情、感動を持つと思います。とにかく楽しんで観て頂けたら良いと思いますので、ぜひ見て下さい。



(編)ありがとうございました!



映画『宇宙ショーへようこそ』ストーリー
美しい自然に囲まれた小さな村、村川村。小学校の全校生徒はわずか五人。夏休み、恒例の子どもだけの合宿で学校に集まった子供たちは、裏山で謎の巨大なミステリーサークルと、その脇でケガをして横たわっていた一匹の犬を見つける。何と彼は犬ではなく、惑星プラネット・ワンからやって来た宇宙人だったのだ。はるか2100万年光年の彼方から地球を訪れた彼、ポチの目的とは?小さな村の子どもたち五人と一匹の宇宙人が繰り広げる宇宙最大の冒険がいま幕を開ける―。



スタッフ
監督:舛成孝二
脚本:倉田英之
キャラクターデザイン
作画監督:石浜真史
場面設計:竹内志保
メカニック作画監督:渡辺浩二
プロダクションデザイン:okama、神宮司訓之、竹内志保、渡辺浩二
サブキャラクターデザイン:薮野浩二、森崎 貞
演出:畑 博之
色彩設計:歌川律子
美術監督:小倉一男
CG監督:那須信司
撮影監督:尾崎隆晴
編集:後藤正浩
音楽:池 頼広
主題歌:スーザン・ボイル「フー・アイ・ワズ・ボーン・トゥー・ビー」(Who I Was Born To Be)(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル)
音響監督:菊田浩巳
録音調整:名倉 靖
音響効果:倉橋裕宗
原作:ベサメムーチョ
制作:A-1 Pictures 製作:「宇宙ショーへようこそ」製作委員会
配給:アニプレックス



キャスト(※敬称略)
小山夏紀:黒沢ともよ
鈴木 周:生月歩花
原田康二:吉永拓斗
西村倫子:松元環季
佐藤 清:鵜澤正太郎
ポチ・リックマン:藤原啓治
ネッポ:中尾隆聖
マリー:五十嵐麗
ボグナー:小野坂昌也
ヘストン:竹田雅則
ロビー:宮本充
インク:飯野茉優
ルビーン:江川央生
ヤブー:斎藤千和
タロー:伊藤和晃
ハナコ:日髙のり子
ゴーバ:銀河万丈
トニー:飛田展男



6月26日(土) 新宿バルト9、シネ・リーブル池袋、渋谷シネクイント、立川シネマシティほか 全国ロードショー



[公式サイト]



(C)A-1 Pictures/「宇宙ショーへようこそ」製作委員会


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