第13回 『プリンス/パープル・レイン』

小宮山雄飛の東京DVDライフ 第13回 『プリンス/パープル・レイン』



文章/小宮山雄飛
画/黒木裕貴
僕が正規版・海賊版含めておそらく最も多くCDを持ってるアーティストはプリンスでしょう。学生時代は本当に毎週のように渋谷や下北沢のレコードショップに通って、何かまだ見つけてないプリンスの海賊版はないか、と探しまわったものです。
って、堂々と海賊版買ってたとか言っちゃいけないのか?
でもね、最近問題になってる『違法コピー』や『違法ダウンロード』と、『海賊版』は全く意味が違うので、そこら辺ははっきりさせましょう!
単にお金を安くすませようとしてコピー/ダウンロードするのが違法コピー/違法ダウンロードで、本気のファンが正規音源だけじゃ飽き足らず、なんとか色々なライブやレコーディング中の音源なんかを求めて、高いお金を出してでも買うのが海賊版なのです。海賊版には愛があるのです!
 
閑話休題


話がそれましたが、今回の主題はプリンスです。
84年に公開されたプリンス主演の自伝的映画




『プリンス/パープル・レイン』



プリンスは、この映画と同名サントラのヒットで世界的なスターの座を手に入れますが、映画の内容はというと、日本にもありがちなミュージシャン主演のアイドル映画とは全く異なります。
プリンス演じる主人公のミュージシャン<キッド>がスターになるまでの苦悩の日々を描いているのですが、彼はとにかく危ない存在で、ステージパフォーマンスは上半身裸、卑猥なダンスはほとんどストリップ状態、さらに父親による家庭内暴力に、銃による自殺未遂と、アメリカの暗い部分や社会問題が描かれていて、まあ一言で言えばけっして明るく健全な青春音楽映画などではありません。


当時の日本の音楽映画と比べてみると、どれだけアメリカが病んでいたかが分かります。なにしろ、日本ではこの翌年に公開された音楽映画がチェッカーズの『TAN TAN たぬき』ですからね・・・・。アメリカじゃ音楽映画でも家庭内暴力を描いてる時に、日本ではたぬきがバンドをやってポンポコリンなんて言ってる訳ですから、逆に平和すぎるでしょ日本!


そんな訳で、全米で大ヒットしたとはいえ、決して明るい青春映画ではなく、全体として暗く怪しい雰囲気に満ちたパープルレインの中でも、特に過激な曲『ダーリン・ニッキー』の歌詞はこんな感じ


ニッキーは俺のセックスフレンド
ビニ本を読んでマスをかいていたら
彼女が寄って来て腰を回して言った
「どう、私と付き合わない?」


って、なんじゃこれ!ラブホの落書き帳じゃないんだから・・・
ということで、某サイトで紹介されてた実際のラブホの落書き帳の文章と比べてみましょう。


今日はダー(リン)と久しぶりにHしたのっ!!
だから、ちょーう気持ちよかった♥
ダーが「もう1回」って言うから
2回目は上に乗って腰振っちゃったョー!


って、これほんとにほとんど同じじゃん!ラブホの落書き帳とプリンスの詞
ラブホでハっちゃけるギャルの感覚で歌詞を書けるとは、むしろ恐るべし、プリンス!


さて、またも話がいらぬ方向に行ってしまいましたが、この映画でとにかく重要なのはプリンスのステージシーンです。
一応映画上のキャラ設定になってますが、ほとんどこれと同じステージングを当時のプリンスは実際のライブでもやっていたので、このままプリンスのライブフィルムとして見ても差し支えないでしょう。
そう考えると、本当に過激でいて完成度の高いパフォーマンスに驚かされます。


生で見たかった、この頃のプリンスのライブ!
(余談ですが僕はプリンスのシークレットライブに行って、なんと一列目まで近づいて本人に触ったことがあります!はい、これ自慢です。)


映画のラストはステージ上でプリンスが特製のギターを男性器に見立ててシゴくと、ギターの先っちょから水が吹き出て(つまり射精して)観客にブっかけて終わり!!目出たし目出たし。
って、なんじゃそれーーーー!!
最初から最後までプリンスの妖しい魅力に満ちた一作です。



小宮山雄飛(ホフディラン)


ミュージシャン
1973年8月14日生まれ
1996 年「スマイル」でホフディランのVo&Keyとしてデビュー。「遠距離恋愛は続く」「恋はいつも幻のように」「欲望」「極楽はどこだ」など、ヒッ ト曲を多発し、FUJI ROCK FESTIVALへの参加、日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、ライブでも活躍。日本のポップシーンにおいて根強い人気を誇る。デビュー以 来、シングル19枚、アルバム9枚(ベスト盤含む)をリリースしている。
絶賛発売中のニューアルバム『ブランニューピース』(DVD付き初回限定盤)に収録されている『恋人たち』『ニューピース』のPVでは、自ら監督を 務めるなど、多才な一面を持つ。2009年7月3日には、渋谷C.C.Lemonホールにて、デビュー13周年記念ライブを行い大成功!その模様を収録し たライブDVD『13年の金曜日』においても監督を務め、11月4日にライブCDとともに同時リリース、絶賛発売中! 
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZOへの出演も決定!
2010年7月3日(土)
ホフディラン ワンマンライブ
『14年の土曜日』
会場:SHIBUYA-AX
open 18:00 / start 19:00
チケット料金:3980円(ドリンク無し!)
ワタナベイビープロデュースDVD第3弾発売&自ら手売り
ゲスト:ゆってぃ / and more…
問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999
5/9からの一般発売に先駆けて、HP先行予約を受け付けます!
受付期間   4月19日(月) 12:00 ~ 5月5日(水) 18:00      
  ※専用URL http://eplus.jp/hoff-hp2/   
・ホフディラン HP http://hoff.jp/
・軟式ブログ http://blog.excite.co.jp/yuhi-blog/
・こむぞう http://comzo.cocolog-nifty.com/
・シコウヒンTV http://www.andsmile.tv/
・SHOOT UP http://www.shootup.net/

黒木裕貴(クロキユタカ)
東京生まれのイラストレーター。
CDジャケットや書籍・雑誌、アパレル等で幅広く活躍中。
また、影絵やコマ撮り作品をつくる映像作家としての顔も持つ。
official website http://www.kurokiyutaka.com/
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