第12回 『ティム・バートンのアラジンと魔法のランプ』

小宮山雄飛の東京DVDライフ 第12回 『ティム・バートンのアラジンと魔法のランプ』



文章/小宮山雄飛
画/黒木裕貴
僕は子供番組が大好きです。


ミュージシャンとしては音楽番組やスペースシャワーTVなんかに出るのが王道ではありますが、個人的には音楽番組よりも教育テレビや子供番組に出るのが昔からの夢なのです。
できれば出演だけじゃなく、子供番組自体を作りたいくらいなのです。
良い子供番組の共通点は、実は大人向けにも出来ているというところ。


80年代アメリカの『Pee-Wee’s Playhouse』しかり、日本の『ピタゴラスイッチ』しかり、確実に大人達が自分達の楽しみで作っているでしょ。
当たり前の話ですが、子供番組といったって作ってるのは大人な訳で(ほんとに子供自身が作ったらどんな番組になるんだ??)、その大人達が本気で楽しんでなかったら面白い番組にならない訳です。なので良い子供番組は、製作者の大人自身が楽しんで作ってて、大人じゃないと分からないだろうというキャスティングや設定のセンスに溢れていて、大人が見てもワクワクする内容になってる。


その一つが今回紹介するフェアリーテール・シアターです。


フェアリーテール・シアターとは、80年代にアメリカで放送された子供向け番組で、世界の名作童話を毎回奇才の監督やカルトなゲスト出演者によって映像化したものです。
なにしろ、監督は売れる前のティム・バートンやフランシス・フォード・コッポラなど超豪華、ゲスト出演者にはミック・ジャガー(!)にフランク・ザッパなどこれまた子供にとっては全く無意味に豪華。そして製作総指揮は『シャイニング』で絶叫していたシェリー・デュヴァル。
まあほんと子供にとっちゃ「あんたら誰?」って感じなところが良い!明らかに製作者も出演者も、大人目線で渋いとこを選んでる。
 子供にとっちゃ、高いギャラ払ってミック・ジャガー出したって何の意味もないっしょ?
「だれ、この唇の厚いおじさんは?」という感じですよ。


今回紹介するのはその中でもティム・バートンが監督をした



『ティム・バートンのアラジンと魔法のランプ』



 
ティム・バートンといえば、日本では『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』がゴスロリ方面にやたらとウケて、原宿竹下通り辺りでも、ゴスなんだかパンクなんだか単なるキャラクターグッズなんだか分からない状態で女子高生がグッズを身につけたりしてますが、ティム・バートン自体は決してゴスという単純なくくりに入れられる人ではありません。
おそらくもっとディープで、もっとサブカルで、もっとブっ飛んだ人でしょう。その原型がこの作品にも見事に出てます。特に王宮のセットや衣裳にはティム・バートンらしいB級の怪しさがプンプンしていて、これが後の『マーズ・アタック』や『チャーリーとチョコレート工場』で完成されていくんでしょう。
出演は『スタートレック』のMrスポック役レナード・ニモイに、キューブリックの『博士の異常な愛情』や『スターウォーズ』のダースベイダーの声でも有名なジェームズ・アール・ジョーンズと、これまた完璧に「大人買い」状態。子供達がどう思おうと、自分のヒーロー達を集めて、とにかく自分が一番楽しんで作ったというのが明らかです。


そういえば、日本でもスチャダラのBOSE君や電気グルーヴのピエール瀧さんが出てた『ポンキッキーズ』なんかは、明らかに大人目線の番組でしたね。曲も山下達郎さんに斉藤和義さんに竹中直人さん(ちなみに作詞作曲はワタナベイビー!)と完璧に大人買い状態。
やっぱり大人が楽しんで作ってる子供番組は楽しいのです!


ということで、NHK教育テレビのスタッフさん、僕を子供番組に出してくれません?
ってかいっそのこと作らせてくれません?
司会でも曲提供でもエキストラでも、なんでもやりまっせ!




小宮山雄飛(ホフディラン)

ミュージシャン
1973年8月14日生まれ
1996 年「スマイル」でホフディランのVo&Keyとしてデビュー。「遠距離恋愛は続く」「恋はいつも幻のように」「欲望」「極楽はどこだ」など、ヒッ ト曲を多発し、FUJI ROCK FESTIVALへの参加、日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、ライブでも活躍。日本のポップシーンにおいて根強い人気を誇る。デビュー以 来、シングル19枚、アルバム9枚(ベスト盤含む)をリリースしている。
絶賛発売中のニューアルバム『ブランニューピース』(DVD付き初回限定盤)に収録されている『恋人たち』『ニューピース』のPVでは、自ら監督を 務めるなど、多才な一面を持つ。2009年7月3日には、渋谷C.C.Lemonホールにて、デビュー13周年記念ライブを行い大成功!その模様を収録し たライブDVD『13年の金曜日』においても監督を務め、11月4日にライブCDとともに同時リリース、絶賛発売中! 
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZOへの出演も決定!
2010年7月3日(土)
ホフディラン ワンマンライブ
『14年の土曜日』
会場:SHIBUYA-AX
open 18:00 / start 19:00
チケット料金:3980円(ドリンク無し!)
ワタナベイビープロデュースDVD第3弾発売&自ら手売り
ゲスト:ゆってぃ / and more…
問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999
5/9からの一般発売に先駆けて、HP先行予約を受け付けます!
受付期間   4月19日(月) 12:00 ~ 5月5日(水) 18:00      
  ※専用URL http://eplus.jp/hoff-hp2/   
・ホフディラン HP http://hoff.jp/
・軟式ブログ http://blog.excite.co.jp/yuhi-blog/
・こむぞう http://comzo.cocolog-nifty.com/
・シコウヒンTV http://www.andsmile.tv/
・SHOOT UP http://www.shootup.net/

黒木裕貴(クロキユタカ)
東京生まれのイラストレーター。
CDジャケットや書籍・雑誌、アパレル等で幅広く活躍中。
また、影絵やコマ撮り作品をつくる映像作家としての顔も持つ。
official website http://www.kurokiyutaka.com/
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