第5回目『カンフー・パンダ』

小宮山雄飛の東京DVDライフ 第5回目『カンフー・パンダ』



文章/小宮山雄飛
画/黒木裕貴
みなさん、日々これ素敵なDVDライフを送ってますか?


今回紹介するのは、僕が大好きなジャック・ブラックつながりで、JBが声優をやっている


 



『カンフー・パンダ』



です。


おそらくこの映画には多くの元ネタとなるカンフー映画なんかがあって、カンフー通にはそれだけでも楽しめるポイントが沢山あるんでしょうが、僕はそこまでカンフー映画に詳しくないのでそこら辺はすんませんが誰か詳しい人に任せちゃって、僕は純粋にこの映画の良さをお伝えしようかと。


とにかく素晴らしい!


いや、何がとは言えませんが、とにかく最初から最後まで実に楽しいのです!


とはいっても、単に「楽しい!」「素晴らしい!」ばかり言っていても、なかなかにしてDVDコラムとして成立しませんので、ここは一つ僕の持つ少ない知識をもってして、この映画を分析してみましょう。


この「カンフーパンダ」もそうですが、CGという技術が映画界に入り込んでから、アニメーションの世界は、一気にまた新たな華が開いたと思うのです。


それは単に映像がキレイになったとか、立体的になったとか、そういうことではなく。設定や脚本っていう部分まで、CGの影響で実にキャパシティが広がったと思うんですね。


この映画でいうならば、主人公はラーメン屋の息子のパンダ(なぜか親はアヒル)、彼がカンフー大会に無理矢理紛れ込んだら


「キミがカンフーマスターだ!!」


と言われて、日々レッサーパンダの師匠にカンフーを教わり、虎や鶴や蛇やカマキリと共に修行を積んで、、、、


ってさ、これ絶対昔のアメリカ人の感覚では思いつかない脚本なんですよ。


主人公がパンダで、ラーメン屋の息子って、そもそもラーメンってなんじゃ!?ってことですよ。


それが、CGという技術が発達したことにより、クリエイターの妄想がいくらでも具現化できるようになって、こういうムチャクチャなキャラクター設定や脚本が可能になったんですよね。


技術の進歩により、想像力が増したということです。


これは、音楽の世界にプロツールスが登場したことに、時期も含めすごく似ています。


プロツールスというのは、簡単に言えばパソコンを使ったデジタルレコーディングシステムです。


10年くらい前までは、レコーディングというのはアナログテープに録られていたんですね。それがプロツールスの登場でデジタル録音になり、一気にやれることの幅が広がったのです。


例えば何十テイクも録ったギターの、良い部分だけを切り貼りして全く新しいテイクとして作り上げて、さらにエフェクトで全然違う音色にする、なんてことが可能になった訳です。


それまでのアナログ録音では、絶対表現できなかったフレーズや音色が、プロツールスの誕生で可能になったのです。


くしくも、我々ホフディランがディズニーのCG映画『バグスライフ』のイメージソングとして作った『STAND』という曲が、ホフディランが完全にプロツールスに移行した最初の曲だったという点からも、まさに映画界での本格的なCG登場と、音楽界のプロツールス登場はだいたい同時期だったということが分かります。


技術面でできることが増えれば、クリエイターはその分純粋に想像力の方に力を入れれる訳です。


たぶん今のクリエイターって「こういう画は無理だろうな・・・」「こういう設定は無茶かな・・・」なんて考えないと思うんですよね、とにかく面白いもの、すごいことだけ考えれば、あとはCGでなんとかできちゃう。


だからCGが登場して以来、一気にアニメ作品(に限らず映画)の幅が広がったように思うのです。


それこそラーメン屋のパンダが、食べ物を使って特訓を受けて、カンフーで悪と対決する!なんていう突拍子も無い脚本をアメリカ人のクリエイターが自由に考えれる訳です。


ミュージシャンも、昔だったら「ほんとはこんな音も入れたいけど、トラック数が・・・」なんて考えてたのですが、プロツールスのおかげで、今はやりたいことはなんでも詰め込める。


アイデアの段階での制限がなくなった。


これって実はものすごく大きいんですよね。


僕も本業のミュージシャン以外に(一応)映像監督として自分達のPVやシコウヒンTVというポッドキャスト番組なんかを作ってますが、特に映像製作ってダイレクトに技術や予算とアイデアが直結しちゃうんですよね。


ほんとはこういうシーンも入れたいけど予算的に厳しい・・・とか。


ほんとはこういうエフェクトかけたいんだけど技術的に厳しい・・とか。


そういう現実的な問題で、アイデア・脚本サイドにも否応無しに制限が出て来てしまう。


その点で、このカンフーパンダは、クリエイターサイドが何の制限もなく「こんなのやりたい」「こんなのあったら絶対面白い!」というアイデアを自由に入れ込んでる感じがして、とにかく最初から最後まで楽しい作品に仕上がってる訳です。


ちなみにすでに続編の製作が決まっていて(おそらくもう作り始めてる?)、次回作は2011年に3Dで公開されるらしいですよ!3D!!


もう、ほんと楽しい事やりたい放題でいいなー、ハリウッドって!!



小宮山雄飛(ホフディラン)


ミュージシャン
1973年8月14日生まれ
1996 年「スマイル」でホフディランのVo&Keyとしてデビュー。「遠距離恋愛は続く」「恋はいつも幻のように」「欲望」「極楽はどこだ」など、ヒッ ト曲を多発し、FUJI ROCK FESTIVALへの参加、日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど、ライブでも活躍。日本のポップシーンにおいて根強い人気を誇る。デビュー以 来、シングル19枚、アルバム9枚(ベスト盤含む)をリリースしている。
絶賛発売中のニューアルバム『ブランニューピース』(DVD付き初回限定盤)に収録されている『恋人たち』『ニューピース』のPVでは、自ら監督を 務めるなど、多才な一面を持つ。2009年7月3日には、渋谷C.C.Lemonホールにて、デビュー13周年記念ライブを行い大成功!その模様を収録し たライブDVD『13年の金曜日』においても監督を務め、11月4日にライブCDとともに同時リリース、絶賛発売中! 
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZOへの出演も決定!
2010年7月3日(土)
ホフディラン ワンマンライブ
『14年の土曜日』
会場:SHIBUYA-AX
open 18:00 / start 19:00
チケット料金:3980円(ドリンク無し!)
ワタナベイビープロデュースDVD第3弾発売&自ら手売り
ゲスト:ゆってぃ / and more…
問い合わせ:HOT STUFF 03-5720-9999
5/9からの一般発売に先駆けて、HP先行予約を受け付けます!
受付期間   4月19日(月) 12:00 ~ 5月5日(水) 18:00      
  ※専用URL http://eplus.jp/hoff-hp2/   
・ホフディラン HP http://hoff.jp/
・軟式ブログ http://blog.excite.co.jp/yuhi-blog/
・こむぞう http://comzo.cocolog-nifty.com/
・シコウヒンTV http://www.andsmile.tv/
・SHOOT UP http://www.shootup.net/

黒木裕貴(クロキユタカ)
東京生まれのイラストレーター。
CDジャケットや書籍・雑誌、アパレル等で幅広く活躍中。
また、影絵やコマ撮り作品をつくる映像作家としての顔も持つ。
official website http://www.kurokiyutaka.com/
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