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『スペシャルアクターズ』上田慎一郎監督 独占インタビュー

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【インタビュー・文:ジャンクハンター吉田&畑史進 】



『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の長編映画第2弾『スペシャルアクターズ』が10月18日に公開される。
今回この作品の宣伝プロデューサーも兼ねている上田慎一郎監督にインタビューを敢行することができたので、たっぷりとお話を伺った。

【STORY】
「緊張すると気絶する役者」VS「カルト集団」!?
暗い部屋でひとり、超能力ヒーローが活躍する大好きな映画を見ては溜息をつく売れない役者の和人。
ある日、彼は 数年ぶりに再会した弟から俳優事務所の「スペシャルアクターズ」に誘われる。そこでは映画やドラマの仕事のほかに、 日常の中で演じる仕事、つまり演じることを使った何でも屋を引き受けていた。そんな折、スペアクに「カルト集団」から旅館を守って欲しいと依頼が入る。
乗っ取りを図るヤバ目な連中相手にプランを練り、演技練習を重ねるスペアクの役者た ち。しかし、和人には皆に内緒にしている秘密があった。極限まで緊張すると気絶してしまうのだ。
あろうことか、このミッションの中心メンバーにされた和人。果たして、彼の運命やいかに!?


本作の制作にはまず1500名の役者をオーディションから50人を選別し、ワークショップを経てから15人のメンバーを選抜し、そこから台本を書き上げるという斬新な手順を採用している。
書類審査通過後の2次オーディションでは上田監督の考案した「円形エチュード」というオーディション対象者を中心に立たせて、その周りを上司役、元カノ役、後輩役などの立場の違う演技をしてもらう役者で囲ってからそれぞれとの会話による即興劇をハイスピードで行うというユニークな方法が取り入れられた。
これはオーディション対象者が特定の人物を演じようと身構えていても、相手によってハイスピードで会話や態度を変えないといけない為、考えてから答えを出すにも時間がないため処理しきれなくなり、最終的にキャパシティオーバーしてその人の素が出てしまう。上田監督は役者の素がどのようなものなのかを見るためにこのエチュードを行ったという。

オーディションをくぐり抜けた後のワーウクショップでも「3分間以上自己紹介を続ける」という審査対象者に難題を課して“役者の素の姿”をあらわにさせ、そこから作中のキャラクターを生み出し、ストーリーの作成に入った事も明かしてくれた。
劇中のキャラを俳優の素の姿に寄り添わせることで、その俳優の演技の実力、魅力を最大限に引き出すことができると考えた上田監督は、人気から集客が見込める俳優にはないリアリティを生むことができたと話した。

また、本作の宣伝プローデュースについて伺うと、公開までに可能な限り全国各地で試写を行い、Twitter等のSNSで書き込まれた感想を広げ、口コミ効果でヒットを作りたいと話した。
『カメラを止めるな!』の後の作品ということで、過度なギミックやストーリー構成が重荷になっているのではないかという質問に対しては、「その呪縛から逃れることが大変だった」と振り返り、「もう一度自分の作りたい映画、好きな映画を作る」と、不安を振り払うまでに少し時間がかかってしまったと話した。

■上田監督インタビュー


—大澤数人さんは素のキャラクターに近い感じだったんですよね。

上田:そうですね、挙動不審っぽくて、常に緊張していましたし、リラックスボールを握るという部分も僕がト書きを書いているところもあるんですが、書いていなくても自然に揉んでいましたね。どっちが役で、素なのかわからないところもありました。
弟役の河野宏紀は尖っていて、Tシャツの胸元を切っている衣装を着用していますが、これも彼の私物で尾崎豊に憧れているからなんです。
—上田さんの作品はインディーのときからおっぱいを軸にしている作品があるんですが、今作でも長めにカットを撮っていたり、センターにバストサイズの数値を置いたりと意外におっぱいに対する並々ならぬこだわりがあると思ったんです。

上田:自分で意識はしていないのでそういう意図はあまりないんですが、ひとつはおっぱいというのは母親というイメージがあるのんです。和人は父からの抑圧でトラウマを抱えていて、それを支えてくれたのが母親なのかなという事は後で思いました。
あと僕はディープキスやセックスシーンは照れくさくてまだ撮れないんですよ。おっぱいは行けるところの限界です。

—おっぱいはそういう意味では性的な部分を連想する人、指摘する人も多いですが上田さんの扱われ方はいやらしさも論争を起こすような特別な意味も無く「トモダチンコ」のようなギャグとして使っているなと思いました。

上田:なるほど。そういう意味では櫻井麻七ちゃんは最初の衣装合わせの時にお色気ムンムンセクシーガールで作ってくれたんです。でもそうじゃない。フォーマルな服装でシュッとしていても谷間が隠しきれずに見えるからエロいんだと。それに男はやられてしまうんだと。

—すごいこだわりですね。良いフェティシズムだと思います。和人というキャラクターがは劇中では言及されていないんですが童貞にしか見えないわけで、この作品はそれこそ童貞の方やネオ童貞の方がシンパシーを受けるわけでそういった方に観ていただきたいと同時に、この作品はそんな大澤さんの演技にみんなが引っ張られていくという作品だと思うんです。どうしても今のネット世代の人たちってフェイス・トゥ・フェイスで話せる人って居ないんですよ。彼の挙動不審なところが非常に現実的でこういうキャラクターを主役にした作品って中々無いんですよ。

上田:そうですね。1500人の中から彼を選ぶというのは大博打でしたね。

—彼はこの映画の後に仕事が沢山舞い込んでくるかと思うんです。というのもイケメンの人は自分に自身があるからオーディションに行くわけで、真逆な彼は役者をやりたいという人たちにチャンスが有るということを示してくれたんで、そのきっかけを作った上田さんはエポックメイキングなんです。

上田:そうですね。数人はカメ止めの濱津さん以上に不器用で気弱で、よーいスタートがかかってからカットがかかるまで芝居を続けるのに精一杯というくらいの奴なんです。
数人はカットとカットの間にチョコレートを食べる癖があって、プラシーボ的なものだと思うのですが、チョコがなくなった時はパニックになりかけてましたね。

—滅茶苦茶大物になるような気がしますね彼は。

上田:でも演技は彼の資質に沿ったものでないとハマらず、器用な芝居を求めると潰れちゃうと思います。例えばサイコパスな殺人鬼とかは面白いと思います。

—確かに演技として自然にやるイメージが出来ますね。その辺人気のあるイケメン系俳優はテンプレートを見させられる気がしますね。

上田:例えば売れない役者役を売れている人気俳優がやると嘘が大きすぎて僕の作品では抱えきれないと思います。それはもう完全にフィクションとして見るしか無いじゃないですか。映画には毎作ドキュメントを入れたいなという思いはあるんですよ。

—今回1500人の中で選ばれなかった人も大勢いらっしゃるわけですが、その人達を軸にして別の作品の構想とか浮かびましたか?

上田:今回台詞のある役が40人くらいいて、その人達はできるだけワークショップに来てくれた人を入れてます。面白い人はいっぱいいましたけどどうでしょうね・・・。またこう言う作り方で作るなら改めてオーディションすると思います。

—今作の劇中劇の『レスキューマン』がまんま『スター・ウォーズ』のベタなネタを使っていましたね。

上田:実は和人の部屋には『映画は父を殺すためにある』という本が置いてあって、余裕があれば探してみてください。アメリカ映画って「父親を乗り越える」っていう作品が多いじゃないですか。僕もアメリカ映画をよく見て育ったので、そこが強く出たと思っています。

—今作のアクション監督にHAYATEさんを起用されていますが、どういった経緯で起用されたか教えて頂けますか?

上田:実は僕にとっては「はじめまして」で、アクション監督が必要だなと思っていたらプロデューサーに呼んでいただきました。『レスキューマン』も最初は手を突き出して超能力を使うだけだったんですが、HAYATEさんから首を掴んで上げたり、敵をぶん回したりと言うのを提案してくださってそれを取り入れました。


—じゃあHAYATEさんが『スター・ウォーズ』マニアだったということだったんですね。

上田:そうかもしれませんね。

—例の大立ち回りのシーンもかなりアレンジが入ったのでしょうか?

上田:脚本には元々要素は入れ込んであったんですが、細かいアクションを提案してくださいました。あそこのエキストラはアクションもできる俳優さんにお願いしました。

—劇中劇の『レスキューマン』も音楽から構成が最高だったんですが、あのVHSのビデオって4:3の画面構成じゃないですか、映画で映っていたのは16:9になっていたんですがあれは撮影の時に使ったモニターの関係でああなってしまったのでしょうか?

上田:そこは議論しましたね。スクリーンいっぱいに映したいという思いと、モニターのズーム機能を使って鑑賞しているという設定にしてあの16:9の映像にしたんです。

—機材関連の話でまた聞きたいのが『カメラを止めるな!』で使っていた映像スイッチャーが、おそらくローランド社のV50-HDだと思うんです。あの映像ミキサーにHDMIケーブルが接続されていないのと、カメラに中継機がつながっていないのが気になって、本当に予算ギリギリでやっているんだと当時は思っていたんです。

上田:そこは初めて突っ込まれましたね。あの機材は友達から借りていたもので、ケーブルを繋いでいないのは僕らの知識不足でした(笑)。

—アイディアで勝負できる上田さんにこれまでの倍以上の多額の予算を渡して作品を撮らせたどんなものができるかって考えちゃうんですが、上田さんはどんな物を撮られると思いますか?

上田:僕の中で粋だなと思ったのが、『オースティン・パワーズ』の3作目『オースティン・パワーズ ゴールドメンバー』。この作品は予算が上がったということで、トム・クルーズとかスピルバーグとか豪華出演陣をオープニングで出しまくって製作費を使いまくった後、その後はもう出てこないんです。僕もやってみたいですね、そんな贅沢なこと(笑)。
本作はこの予算感だからこそ良かったんだなと思っています。
『アベンジャーズ』は莫大な予算を貰っているから、あれだけ無茶苦茶な展開をやっても説得力が出るし、みんなのめりこめるんですよ。日本でトム・クルーズみたいな万能型のヒーローが登場したら、まだ嘘が出ちゃうんで現状難しいかなと思っているんです。だから予算があっても主人公はダメなやつでありたいなと思います。

—最後にこの映画を楽しみにしている人に向けてメッセージをお願いします。
上田:『カメラを止めるな!』は「ゾンビ映画」「バックステージもの」そして『パルプ・フィクション』のような「時間軸横断型」の「僕が好きな3つの要素」を詰め込んだ作品でした。
今回はキャストを選ぶ前から「スパイ映画」「ヒーロー映画」「コンゲームモノ」を詰めこもうという思いがありました。一つの映画の中でこの3つが楽しめる内容となっていますので是非劇場に足を運んでいただければと思います!



『スペシャルアクターズ』
<松竹ブロードキャスティング オリジナル映画プロジェクト第7弾映画>
2019年10月18日(金)より新宿ピカデリー他全国ロードショー!

■監督・脚本・編集・宣伝プロデューサー:上田慎一郎
■スタッフ:企画:深田誠剛
プロデューサー:橋立聖史/小野仁史
撮影:曽根剛
照明:本間光平
録音:宋晋瑞
美術:秋元博
装飾:東克典
衣裳:馬場恭子
ヘアメイク:望月志穂美
助監督:山下和徳
アクション監督:HAYATE
音楽:鈴木伸宏/伊藤翔磨
監督補・宣伝デザイン:ふくだみゆき
■キャスト:大澤数人 河野宏紀 富士たくや 北浦愛 上田耀介 清瀬やえこ 仁後亜由美 淡梨 三月達也 櫻井麻七 川口貴弘 南久松真奈 津上理奈 小川未祐 原野拓巳 広瀬圭祐 宮島三郎 山下一世
■製作:松竹ブロードキャスティング
■制作プロダクション:ランプ
■制作協力:PANPOCOPINA
■配給:松竹
■公式HP:http://special-actors.jp/ 
■公式ツイッター:@special_actors 
(C)松竹ブロードキャスティング
■配給:松竹

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