【連載コラム】鶴岡亮のデンジャーゾーン! 第六回 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 新予告編を観た!

【文・鶴岡亮】

鶴岡亮Twitter:https://twitter.com/ryoutsuruoka

8月27日、ディズニーはスターウォーズシリーズ最新作「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」の予告編を公開した。今回はその予告編の印象や、公開された映像からどんな展開が待ち受けているのか予想していこうと思う。まずは下記のURLから予告動画を見て欲しい。

今回公開された予告編では、冒頭にルークの「我々は全てを伝えた。遥かな歴史が君の中に。だが、これは君の戦いだ。」というナレーションを挟みながらEP1〜8までを映像で振り返る内容から始まる。これはスターウォーズのスカイウォーカー家の物語を振り返り、その物語を一区切りするというテーマ性を描くための演出で、「アベンジャーズエンドゲーム」の予告導入と少し似ている感はあるがシリーズファンに向けた良い演出だと思う。
そしてEP9のカットに移り、レイ、フィン、ポー、チューイ、3POが登場する。彼女らが居る場所はタトゥイーンを思わせる砂漠の惑星で、視線の先にはカラフルな衣装を纏った人々が存在し、上空では凧を思わせる物体が浮上している。EP8でレジスタンスは壊滅的な打撃を蒙ったのだが、彼らはこの場所を訪れて新たなるレジスタンスのメンバーを探しているのだろうか?

続いてレイア将軍が現れるカットが映るが、彼女を演じたキャリー・フィッシャーは2016年12月27日に60歳で心臓発作により亡くなっているので、フォースの覚醒時に使用されなかった未使用フィルムを使う形で出演している。キャリー・フィッシャーの弟のトッド・フィッシャーによると満足のゆく撮影になっているようで、亡くなった彼女の名誉のためにもスクリーン上での彼女の登場シーンに期待したい。
次のカットではレジスタンスの戦闘機部隊が登場し、X-ウイング、Y-ウイング、A-ウイング、B-ウイング、タンティブIV、そして謎の中型のビークルが登場する。対してファーストオーダーの艦隊がレジスタンスを上回る規模で画面一面に展開するのだが、この艦隊のスターデストロイヤーは旧三部作時代の造形をしているのだ。ゲームといえど正史の「スターウォーズ バトルフロント2」では皇帝が死ぬ前に残した命令の一部に、銀河系の未知領域に帝国の精鋭艦隊を逃す「終末命令」を出していたので、その残存艦隊がファースト・オーダーと合流し、銀河を支配するに足りる軍備を整えたという所だろうか。

そして、C-3POの目が赤くなるカットインが入るが、なんだか物騒な風陰気をかもし出している。EP2で3POの頭がバトルドロイドのボディに装着され、攻撃的な人格に変わりながらブラスターを発砲するエピソードがあったが、今回はそれをオマージュしてバトル用としてリプログラムされた3POが再びブラスター片手に大暴れしたりするのだろうか?赤い目への変化は映画的にもアニメ的にもキャラクターが攻撃的になる際に使われる演出なので、是非再び暴れまわる3POが登場するのに期待したい。

次に巨大な赤いレーザー砲が真夜中の山岳地帯に直撃するシーンが現れる。
レーザーはスター・キラーベースを思わせる発光色だが、第二のスターキラーベースを完成させたのだろうか?よく観るとレーザーが山岳に二段連発して発射してるようにも見えるので、スターキラーより威力倍増しなのは確かだろう。

それから、森林地帯でレイが木々を切り裂きながら回転するライトセイバーをキャッチするシーンが現れるが、右側にEP4に登場したリモートドロイドが登場している。EP4ではルークがこのドロイドを使ってサーベルの訓練をしているので、レイは森林地帯でルークと同じくリモートドロイドを使って訓練しているシーンなのだろう。

皇帝の「お前の旅は…」という台詞と共にライトセイバーを起動するカイロ・レン
レイとカイロ・レンが豪雨の中で戦うシーンで彼女らが戦っている場所は、エンドアに落下した第2デス・スターでは無いかと思われる。彼女らの戦っている場所がデススターの表面を思わせるパネルラインの入った一本橋で、画面の右上と左上にデススターに配備されていたターボレーザー砲が確認出来るからだ。この映像以外にも、フォースの覚醒公開当時に発売されたコンセプトアート本の「アート・オブ・スターウォーズ・フォースの覚醒」に、エンドアに落下したデス・スターを主人公達が探索するコンセプトアートが数枚掲載されていたので、そこからサルベージされたアイデアだと思われる。

最後に、ベイダーの呼吸音と皇帝の「間も無く終わる」という台詞と共に、黒いフードを被ったレイが、折り畳み式のライトセイバーから赤い光刃を発生させ予告は終了する。このシーンは一見すると、レイが暗黒面に鞍替えしてると思われるが、恐らくブラフでは無いかと思われる。このシーンで注目して欲しいのはレイの表情はまるで人形のように無機質で、スノークと同タイプの指輪をはめている所だ。ここで冒頭の映像に立ち返るが、その中でEP3の映像が登場するのが確認出来る。そのEP3本篇では、皇帝が後のダース・ベイダーとなるアナキン・スカイウォーカーに「ダースプレイガスの秘術」を共に探求して、アナキンの妻であるパドメを救おうと呼びかける場面がある。結局EP3ではその秘術についての明確な説明がされていなかったのだが、今作ではその設定を再利用している可能性があるのだ。以下にその説をまとめてみよう。皇帝はEP6時に密かに「ダースプレイガスの秘術」を完成させ、その術の内容はジェダイの「死後の霊体化」に対して、シスの「死後に憑依出来る能力」だった。乗り移りに必要なのはスノーク、レイがはめていた指輪で、それを介してパルパティーンはEP6後も乗り移りを繰り返していた。その為、スノークの次に憑依されたレイは操り人形のような無機質な表情をし、スノークのはめていた指輪をつけていたのではないかという話だ。
皇帝はシリーズを通して人々や政治、フォースを操る事に執着してきたが、その終着地点がこの指輪を介した死後の「憑依術」ならば納得できる話だ。公式設定ではスノークの指輪の上にある黒曜石は「ローグワン」に登場したムスタファーのベイダーの城の地下墓地にある黒曜石で作られたもので、ベイダーがEP3以降も「プレイガスの秘術」を完成させるべく皇帝と協力して秘術を探求していた説も考えられるだろう。圧倒的な力を持った指輪を使った魔術と聞くと、まるでスターウォーズの元ネタのひとつの「指輪物語」も思い起こされる。

タイトルのスカイウォーカーの夜明けについてだが、おそらくカイロ・レンがベン・ソロに転向する意味を込めたものであると思う。そのベンがダークサイドからライトサイドに帰還する為の動機付けとして機能するのが、先程の皇帝の操り人形と化したレイで、EP8から彼女に好意を抱いていたレンは皇帝の魔の手からレイを開放する為にライトサイドに帰還するのではないかという話だ。過去作のスカイウォーカー一家は、アナキンはパドメへの愛ゆえに暗黒面に堕ち、息子への愛ゆえにライトサイドに帰還した、ルークは父への愛ゆえに父を暗黒面から救い、愛した弟子であるレンへの疑心でダークサイドに堕ちかけた。この伝統をカイロ・レンに当てはめると愛した師であるルークや両親のハン・ソロ、レイアへの疑念から暗黒面へ堕ち、レイへの愛ゆえにライトサイドへ帰還するベン・ソロという展開が予想される。この展開だとフォースの本質とは愛であるというシリーズ通してのテーマ性に一貫性が出るし、「スカイウォーカーの夜明け」が訪れるというタイトルの回収になるのでこの説を推したい。

今回予告編を素に展開の予想を書いていて気付いたのが、やはりスター・ウォーズは観る前に物語の展開を予想するのが面白いという事だろう。自分が思い入れのある作品ほど、予告というパズルの断片から全体像を創造する喜びが高まる。SW好きの皆さんも本予告編を見ていろいろ考察にふけって欲しい!「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」の公開は12月20日となっている。監督のJJエイブラムスに是非とも良い作品を完成できるべく健闘を祈りたい!May the force be with you!!

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