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【連載コラム】鶴岡亮のデンジャーゾーン! 第四回‐ロスト・イン・スペース‐

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【文・鶴岡亮】

鶴岡亮Twitter:https://twitter.com/redeconTF


<作品解説>
宇宙への入植が可能になった30年後の世界。父ジョン・ロビンソン、母モーリーン・ロビンソン、長女ジュディ・ロビンソン、次女ペニー・ロビンソン、末っ子の長男ウィル・ロビンソンからなるロビンソン一家は、宇宙植民地を目指し宇宙ステーションレゾルートで地球を出発する。しかし、旅路の最中に謎のワームホールが発生、ロビンソン一家はステーションから宇宙船ジュピター2に乗って脱出後、未知の惑星に不時着した。そこでは地球とは異なる環境や原生生物、謎の宇宙船やロボット、危険な生存者Dr.スミス等様々な困難が待ち受けていた…。

本作はドラマ「宇宙家族ロビンソン」と映画「ロスト・イン・スペース」のリメイクドラマで二度目のリメイク作品となる。制作はネットフリックスとレジェンダリー・テレビジョン、シンザシス・エンターテイメント、アップルボックス、製作総指揮はザック・エストリンが担当する。

<前作映画版からの変更点>
本作は映画版ロスト・イン・スペースから20年もの月日が流れている為、現在の価値観に合わせた設定変更が随所に見られる。まず、今作のロビンソン一家は離婚寸前の家庭であり、テレビ、映画版のようなスタンダードな家族像では無いという事だ。ジョンとモーリーンは家族限定の宇宙移住プログラムに参加する為にかろうじて家族としての体制を保ってる状態で、移住先のコロニーに到着してから離婚する予定になっているのだ。劇中でもこの微妙な家族感によって夫婦でありながら微妙な距離感を感じさせ、子供達もそれによって複雑な心境を吐露する場面もあり、この設定変更によって旧来の健全とされる家庭像のイメージから脱却し、現代的なリアリティを持った家族像に再構築する事に成功している。役者陣も昨今のポリティカリーコネクトレスへ配慮して、ロビンソン一家の長女のジュディ・ロビンソンはテイラー・ラッセル演じる黒人女性で養子の設定に、Dr.スミスは男性キャラクターからパーカー・ポージ演じる女性キャラクターに。ドン・ウエストは軍人からブルーカラーの整備士に変更、役者も白人からアルゼンチン出身のイグナシオ・エリッチオに変更されている。

それに、映画版ではロビンソン一家とドン以外の人間は地球出発前にわずかにしか登場しなかったが、今作は別の世帯の家族の宇宙船も未知の惑星に不時着しており、様々な家族が登場する。
未知の惑星に不時着した家族群の指導者的立ち位置でインド人家系のヴィクター・ダール(ラザ・ジェフリー)と、ヴィクターの息子でペニー・ロビンソンと恋に落ちるヴィジェイ・ダール(エージェイ・フリーゼ)、夫を喪いPTSDを患いDr.スミスのカウンセリングを受ける黒人女性のアンジェラ・ゴダード(シボンギル・ムランボ)。日本人家族のワタナベ一家も登場し、父のワタナベ・ヒロユキ(ケイリー=ヒロユキ・タガワ)、母のコマツ・ユカリ(ナオコ・ワタナベ)、ワタナベ・キキ(拓真キキ)がロビンソン一家のサポート役を勤める。この様に生存者の家族世帯も様々な人種で構成されており、現代的な価値観に見合ったダイバーシティドラマとしてアップデートされている。

<フェミニズムの要素>
女性陣の活躍もドラマ、映画版より格段に増えており、モーリーン、ジュディー、ペニーは研究室に引きこもり男性側へのサポートに徹するキャラクターから、自分達で現地に赴き惑星の調査や困難を解決するようになっており、自律的なキャラクターへとアップデートが図られている。特にモーリーンは家族の長として夫のジョンに命令を下したり、ジョンや子供達を救う為に勇敢に立ち向かう描写が多く存在し、一家の家長は父というこれまでの概念を覆している。

<少年ウィルとロボット>
元のドラマ版や映画版では家族をサポートするロボット(ドラマではフライデイ、映画ではフレンディ)が登場し、今作にも健在なのだが過去作とは異なった設定で登場する。末っ子ウィル少年は未知の惑星を探索途中、損傷した謎のロボットと遭遇する。少年はこのロボットの修復を手伝うのだが、それをきっかけにロボットは「ウィル・ロビンソン、危険!」と旧来の作品群でお馴染みのフレーズで喋りながら、従順な彼の守護者として付き添い交流を深めていく。彼等の交流の先に待ち受ける展開には胸を打つものがあり、最終話のロボットがウィルに喋りかける一言は、映画版を観た人にはグッと来るモノになってるので是非注目して観て欲しい。ロボットの造形も曲線主体で神秘的なデザインが素晴らしく、CGと着ぐるみで再現されているのだが、着ぐるみパートでも優れたデザインのお陰で安っぽさを感じさせないのが素晴らしい。

<暗躍するDr.スミス>
1話終盤から登場するDr.スミスも本ドラマの魅力である。彼女は虚言癖があり、周りに嘘を吹き込みながら登場人物達を自分に都合良くコントロールしようとするキャラクターだ。ロビンソン一家の中に潜伏し、悪巧みをする様は緊張感があり、次に彼女が何をしでかすかハラハラさせる。演じるパーカー・ポーリーは少しシャーロット・ランプリングを思わせる風貌で彼女が悪巧みを考える時に見せる白い歯がなんとも恐ろしい。

<頼れる兄貴分ドン・ウエスト>
宇宙ステーションでブルーカラーの労働者を勤めるドン・ウエストも本作の魅力である。彼は皮肉屋で、利己的な振る舞いをするものの、いざという時には困った人を放っておけない勇敢さを持ち合わせたキャラクターだ。ムードメーカー的なポジションでもあり、困難に苦しむロビンソン家族をジョークで和ませたり、皆が神妙な面持ちの時に、景気ずけに音楽をかけてリラックスさせたりしてくれる様は、気の良いアンちゃん的な存在で好感が持てる。

<惑星の環境とドラマが進むごとに深まる謎>
回を進めるごとに未知の惑星には様々な環境が存在する事がわかってくる。寒冷地や広大な黄土色の山脈、紫色の大草原や、手を叩くと色が変わる花畑等、全9話のドラマにしては様々な生態系を楽しむ事が出来る。原生生物も様々なバリエーションが存在し、石の甲羅を持った海老や、イグアナを大きくした様な四足歩行の地上生物や、プテラノドンのような翼竜生物等など、様々な原生生物が登場し、観るものを飽きさせない。それにこの惑星には異星人が残した謎の宇宙船も存在し、この宇宙船やウィルと交流するロボットの謎が回を増す毎に解明されていくのも面白い。今作は家族モノとしてだけでなく惑星探索モノが好きな人にも是非オススメしたい作品だ。

<総評>
現代の感性に合わせた家族観や、多様な人種の家庭が存在するダイバーシティ感、男性主導では無い冒険活劇や、魅力的なキャラクター達、惑星探索モノとしての面白さを秘めた今作は、前作の映画版を超えたと言って良いだろう。シーズン2の制作も決定されたが、この面白さが続くように願いたい限りだ。



ネットフリックス(ロスト・イン・スペース)公式サイト
https://www.netflix.com/jp/title/80104198
                                

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