【鶴岡亮コラム】鶴岡亮のデンジャーゾーン! 「新たな熱気が追加されたマッドマックス怒りのデスロード!(ザ・シネマ新録吹き替え版)を観た!」 マッドマックス 怒りのデスロード

この作品は膨大な熱気の塊だ。
ジョージ・ミラー 率いるスタッフ陣の熱気。
トム・ハーディ達キャスト陣の熱気。

そして今回、飯森盛良プロデューサーとザ・シネマは、新録吹き替え版という新たな熱気を加える事に成功したのだ。

今回の新録吹き替え版では、主役のマックス・ロカタンスキー役を宮内敦士、性奴隷として囚われた女性達を解放しようとする戦士フュリオサ役を本田貴子、世紀末の略奪者集団ウォーボーイズのニュークス役を榎木淳弥、そしてウォーボーイズを率いる独裁者のイモータン・ジョー役を安原義人が演じている。

マックス役の宮内敦士は、己の過去のトラウマや、荒れ果てた世界に疲労しながらも内なる狂気を併せ持つ役柄を見事に表現している。特に冒頭の「俺の名はマックス…」の一言は世紀末の放浪者の疲労感を感じさせる演技で、劇場吹き替え版との演技プランの違いが現れているので要チェックだ。

本田貴子は劇場吹き替え版から引き続きフュリオサ役を演じている。凛々しい戦士フュリオサを演じるにはこの役者しかいないという判断から、劇場版から変更されなかったのだろう。劇場吹き替え版と同じキャストであるのだが、やや戦士として落ち着きのある演じ方に変わっていて面白い。

榎木淳弥はウォーボーイズの中で落ちぶれた存在のニュークス役で、イモータンを崇拝する頼りないキャラクターを演じている。早口でまくし立てながら喋るその姿は、何処か少年のような純粋さを感じさせ、イモータンを熱狂的に信奉しながらも、カミカゼとして利用される哀れな存在としてキャラクター性に深みを与えている。

そしてイモータン・ジョー役の安原義人は、荒くれ者揃いのウォーボーイズを統率するカリスマ性を持ちながら、ウォーボーイズに特攻を命じる残忍な独裁者を好演している。配役的にも、マッドマックス最新作の悪の親玉役を初代マックス役の安原義人に演じさせるという、素晴らしいディレクションに、シリーズのファンは唸らずにはいられないだろう。

メインキャスト陣に加え、サブキャラクター陣の吹き替えも素晴らしい。

リクタス役の田中秀樹は、強靭な肉体を持ちながら、頭が足りない馬鹿なキャラクターを幼稚な言葉遣いと幼児のような幼さを感じさせる演技で表現している。スリット役のさとうせつじは、チンピラウォーボーイズ感溢れるけたたましい演技を表現していて、スリットの鮫のような形相にベストマッチさせていて実に素晴らしい。千葉繁は劇場吹き替え版と同じく武器将軍(ザ・シネマ吹き替え版では弾丸農家)を演じており、劇場吹き替え版と比べると砕けた喋り口調の演技を披露している。

ここで紹介している声優陣以外も、誰1人として物足りなさを感じる演技をしている役者は居なく、その各々の役者の熱量によって、登場人物全てが世紀末の世界に生きる人々としての説得力を持たせていてる。本作は通常の映画と比べて台詞が少ないのだが、だからこそ声優陣の一言一言が非常に重要なディテールになっているのだ。

翻訳センスも抜群で、ウォーボーイズが序盤の台詞で「俺達カミカゼウォーボーイズ!」と発していたり、劇場吹き替え版では未吹き替えだったハリネズミ族のロシア語訛りの台詞が、方言のような台詞に吹き替えられている。他にも、ハリネズミ族に囲まれたフュリオサの車発進合図が「馬鹿野郎!」から「アホウ!」に変わっていたり、人食い男爵が人肉喰らい、武器将軍が弾丸農家に名称変更されており、昔ながらの寛容な洋画吹き替えを思わせるもので面白い。

上記のように本企画は昔ながらの面白みに満ちた翻訳作業と声優陣による熱演によって素晴らしい吹き替え版を産み出したと言えよう。

最後にザ・シネマ新録音吹き替え版の本編製作者ばりに熱量を持ったスタッフ、キャスト陣に賛辞を送りたい!ありがとう!!V8!V8!V8!

本記事で新録吹き替え版が気になった方は、こちらでプレビュー動画が公開されているので是非ともチェックして欲しい!https://www.thecinema.jp/special/madmax/movie/

ザ・シネマ・マッドマックス新録吹き替え版公式サイトhttps://www.thecinema.jp/special/madmax/

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