草刈正雄主演『体操しようよ』クロスレビュー


現在、草刈正雄主演の『体操しようよ』が全国で公開されている。本作品は定年退職を果たし、無事一人娘を男手一つで育て上げた無遅刻無欠勤で勤勉、面白みのない平凡な男、道太郎が第二の人生として主夫や地域のラジオ体操活動、奉仕活動に奮闘するヒューマンストーリー。

今回は、ジャンクハンター吉田&ちゃむうぇい☆茶稲のクロスレビューをお届けします!

<文:畑史進 a.k.a. ちゃむうぇい☆茶稲>

定年退職後、第二の人生を模索する人が多い昨今、主人公、道太郎のような毎日昼間からビールを開けて呑んだくれる姿はこのご時世の男たちのスタンダードな姿かもしれない。

誰もが羨む気楽な定年をこれから送るかと思えばそうではなく、一人娘の弓子(木村文乃)から「主夫」を命じられ、一応家事に手をつけるが何をやらせてもうまくいかない。そのポンコツぶりはもしかしたら家事を任せきりに胡座をかく多くの大黒柱に当てはまるかもしれないことで、ハットさせられる。

そんな道太郎の生活を一変させたのは和久井映見演じる、のぞみに誘われた体操の会。その体操後の集まりで退職前の話を振られるが、定年前に会社では総務という平凡な役職を務めたせいもあってかここでも小馬鹿にされてしまう。そんな矢先に体操の会を通じてボーイスカウト率いる地域の雑用、便利屋の仕事を紹介され、日に日に定年後の空白の時間にやり甲斐を見つけ、徐々に積極的に近所づきあいを行うようになる。そんな道太郎の前向きになって行く姿は観客に元気を与えてくれるだけでなく、体操をしてみようかな、そうでなくとも「外に出てみよう」という気を観客に与えてくれるだろう。

この辺は昨今、老若男女問わず問題になっている引きこもりに対して一つの解決法を提示しているだけでなく、多くの人に鑑賞して「外に出で人と接すると健康的で良いことがあるよ」とメッセージを投げていると思う。それもあってか、劇中、老若男女様々な人物に大小多様なセリフが用意され、軽妙でユニークな掛け合いが行われており子供の興味まで引けるよう工夫されている。

また、画作りも現代的な人物カットもある中、どこか古臭いカットが織り交ぜられ、ストーリーの構成、幕引きも『男はつらいよ』を彷彿させるような作りになっている。その為この映画は他の作品と比較や点数付けする事が無粋な作品として成立しているのだ。こういう映画もあって良い。頭を楽にしてゆったりと座席に座って、登場人物たちの行く末を見守る事がこの映画の鑑賞法だと思う。

<文:ジャンクハンター吉田>

NHK大河から再ブレイクしている草刈正雄主演のアットホームなファミリードラマ。定年を迎えたどこからどう見てもイケている中年シルバー世代なルックの冴えない役を演じている草刈さんの演技が見所。コメディ要素はあるも、人間関係をジワジワ深く描いており、筆者も娘がいる父親でもあるので心に物凄く押しかかる葛藤が物凄く伝わってきた。

『0093 女王陛下の草刈正雄』という傑作コメディ映画の宣伝を担当したことで、それ以降プライベートで草刈さんとの付き合いが始まって11年経過するが、草刈さんは「若い時と違い、年齢を重ねてきたら家族愛の話やコメディ要素のある作品のオファーがドンドン来てくれたら嬉しいんだけどなぁ。二枚目だけの役だと演技の幅が広がらないし、正直それは若い頃に僕は恵まれていたのか沢山経験させてもらったからね」と話していたこともあり、この『体操しようよ』はまさにストライクゾーンだったのだと思う。

娘の麻有ちゃんいわく「パパはハリウッド映画を自宅で良く観ているけど、スグに感動して泣きまくっている」と『汚れた英雄』のカッコ良かったイメージを覆してくれるような情報を教えてくれたりするも、やっぱり何をやっても、どんなにダメな父親役を演じても二枚目なのは変わらぬ。

『体操しようよ』のクライマックスは色々考えさせられるはず。筆者には娘がいる父親というポジションだからかもしれないけど、家族を持っている多くの人に観てもらいたいですね。

『体操しようよ』
11月9日(金)全国ロードショー!
配給:東急レクリエーション
(C)2018「体操しようよ」製作委員会
公式サイト:http://taiso-movie.com/index.html

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