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映画レビュー ソフィア・コッポラ監督最新作『SOMEWHERE』

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『バック・ビート』等で知られる90年代に人気を博した俳優スティーヴン・ドーフ。やんちゃなイメージがあったが、ソフィア・コッポラ監督最新作『SOMEWHERE』に主演する彼は、孤独なスターの退廃的な生活を繰り返しながらも、温厚で娘思いの父という今までに無い難しい役どころに挑んだ。静かな演技と豊かな表情で、彼は見事ソフィア・コッポラの世界に溶け込んだ。

スティーヴン・ドーフ扮するジョニー・マルコはハリウッド伝説のホテル:シャトー・マーモンドに暮らすスター。どことなく満たされない表情を持つ彼は、普段はホテルから新作映画の宣伝用の写真撮影や記者会見に出かけたり、クリス・ポンティアス扮する友人とつるんだり、また金髪の双子のポールダンサーの女の子を部屋に招き入れたりして過ごしている。そんなところに前妻と暮らしていた娘のクレオがやって来る。

有名人の娘であるクレオの立場は脚本も手掛けたコッポラと同じ。だからこそ彼女は今まで以上にパーソナルなこの役を正直に丁寧に描き上げ、この繊細さが必要とされるクレオには透明感溢れるエル・ファニングが起用された。時にはジョニーに母の様に振る舞い、またジョニーの周りの女たちに嫉妬もするクレオ。彼女の存在がジョニーのライフスタイルをも変える。そして初めて過ごすかけがえのない父と娘の時間の中でジョニーはいつしか今の彼が何者で、何が必要なのかを徐々に見い出していく。

この映画の本質はオープニングが物語る。物語の幕が開くとそこは周りに何もないサーキット場。そこを黒のフェラーリが大きなエンジン音を鳴らしながらただグルグルと走り回る。期待していてもそれ以外には何も映さない。しかし、辛抱強く注意深くそのシーンを観続けていると、それが何であるのかが次第に分かってくる。本作は何か強いインパクトを与える出来事が起こる映画ではない。しかしコッポラによって嘘のない描き方がなされた映画だからこそ、静かな気持ちで観察すれば必ず映画が語りかけて来るはずだ。

レビュアー:岡本太陽

『SOMEWHERE』
2011年4月2日(土)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
製作:G・マック・ブラウン、ローマン・コッポラ、ソフィア・コッポラ
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ、フレッド・ルース
撮影監督:ハリス・サヴィデス プロダクション・デザイン:アン・ロス
編集:サラ・フラック 衣装デザイン:ステイシー・バタット
音楽:フェニックス
出演:スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング、クリス・ポンティアス
配給:東北新社
2010年/カラー/ビスタ/ドルビーSR・SRD/98分
(C)2010-Somewhere LLC
公式サイト:http://www.somewhere-movie.jp

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