映画レビュー カンヌ国際映画祭で話題になった韓国の衝撃作が遂に登場!『ビー・デビル』



この「ビー・デビル」が初監督作品となるチャン・チョルスに名匠今村昌平や新藤兼人と同じ土臭くて強烈なエロスを感じる。新たな才能の誕生である。それにしても韓国映画界って「チェイサー」や「息もできない」等、監督デビュー作がいきなり大ヒットを記録、各賞を総なめするという現象が起こっているが、その自由なパワーに改めて驚嘆する。

物語は、閉鎖的な人口わずか9名のちいさな孤島(無島)に、ソウルでの生活に疲れて帰郷したヘウォン(チ・ソンウォン)が、一度もこの島からでたことがない幼馴染みの女友達ボクナム(ソ・ヨンヒ)に再会するが、ボクナムの島の人間(夫や姑等)から受ける非人道的扱いに驚く。しかしボクナムを助ける勇気もなく島を離れようとする時に、ある事件がきっかけでボクナムの怒りが暴発し、島は逃げ場の無い殺戮の地獄と化す。

この映画の見所はいくつもあるが、注目すべきはキム・ボクナム役のソ・ヨンヒの凄まじい演技である。おそらくアイドルとしても充分通用する可愛いルックスの彼女が、ここまでの悪魔を演じることにまず驚かされる。(「チェーサー」の犠牲者ミジン役でプチョン国際ファンタスティック映画祭主演女優賞受賞)生々しいSEXシーンや鎌を持って復讐鬼となり人々を襲う無表情な怖さ、あどけない少女のような笑顔、母親の悲しみ等どの演技もとっても素晴らしい女優である。この映画の一番最後のシーンでヘウォンの体のシルエットがあるものとオーバーラップするのだが、この象徴的なシーンは忘れられない。

レビュアー:JJ堀尾

『 ビー・デビル 』
シアターN渋谷他にて全国順次ロードショー

監督:チャン・チョルス 脚本:チェ・クァンヨン
出演:ソ・ヨンヒ(『チェイサー』「善徳女王」)、チ・ソンウォン(『ハーモニー 心をつなぐ歌』)
2010年/韓国/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル/115分/デジタル上映/
原題:キム・ボンナム殺人事件の顛末/英題:Bedevilled/配給:キングレコード
公式サイト:http://www.kingrecords.co.jp/bedevil/
ツイッター 公式アカウント @bedevilled_jp

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