映画監督 金田龍のシネマワークショップ「龍塾S」レポート


[取材:パッキー小林]

先日、金田龍監督が主催するシネマワークショップ「龍塾」に行ってきました。金田監督はTVシリーズ「牙狼」で印象に残る回を担当された方。どういうわけかその金田監督と知り合い、「面白いことやってるから見にきなさい」と誘われるまま行ったのが、金田監督が主催するワークショップ「龍塾」。今回お邪魔したのは「龍塾S」。「龍塾」は通常、座学と実演の4回で構成されているが「龍塾S」は2回。単純な短縮版というより、実演の部分に焦点を当てた一点集中型といったほうがよいだろう。


【写真1】俳優の柴木丈瑠さん(百獣戦隊ガオレンジャーのガオブルー役等)がレッスン生として参加。プロ俳優とこれからを目指す俳優が学ぶ者同士として即興演技のレッスンに取り組む。左:レッスン参加新人の石文風花さん 右:柴木丈瑠さん

「龍塾」に行って、いつもいいなと思うのは、プロの現場で活躍している俳優が自然な感じで生徒として参加し、(今回はTV・舞台で活躍している柴木丈瑠さんが生徒として受講していた。)“これから”を目指す俳優とフラットな立ち位置で共に学んでいること。最初は「プロ俳優」と「俳優の卵」という関係だが、いざワークショップが始まるとすべては結果だけがものを言うものに変わる。ワークショップの締めとして、与えられた台本を元に生徒が即興演技を披露するのだが、その時に俳優という仕事の凄みと面白さ、そして怖さが明確に現れる。観客を“惹きつける” “惹きつけない”が、たった1分程度の演技で決まってしまうのだ。しかも実際にはその中の1秒あるかないかの瞬間でそれが決まる。怖いことに俳優ではない私にもそれが伝わってくる。「映画は残酷。その一瞬で勝負が決まってしまう」金田監督の言葉が、見学に来ているだけの私の心にも刺ささる。


【写真2】実際の制作現場について語る女優の南里美希さん。(「牙狼-GARO- ~闇を照らす者~」莉杏 役など)画面で見るよりも圧倒的な美しさ。でも、存在感はただの綺麗な人ではない。

一見、すごく怖いように聞こえるが、実は「龍塾」の最大の魅力はこれなのだ。これが実に面白い。これを味わうために「龍塾」に何度も通っていると言っても過言ではない。それは辛いものではなく実にワクワクする。そう感じるのは生徒たちが本当に、文字通り前向きだからだ。彼らは今できないことを恥じていない。予算も時間も限られた制作現場で本番を迎えた時、周囲が求める以上のものをその瞬間に発揮する。その瞬間のために「龍塾」があり、そのために今があるという気概がひしひしと伝わってくる。


【写真3】スタッフ・俳優によるティーチイン。準備してきたことが全く役に立たないことが起きるのが現場。だからこそ面白い!と語る最前線で活躍する皆さん。左から、田口恵さん(脚本家)、小林雄次さん(脚本家)、柴木丈瑠さん(俳優)、南里美希さん(女優)、金田龍(監督)、大橋明さん(アクション監督)

それは講師である金田監督がそう仕向けているからなのだが、今では金田監督と生徒たちの互いの本気が互いを突き動かしているものに変化しているように見える。それは、講師と生徒という関係ではなく、面白い最高の瞬間を作り出すための同志といったほうがよい。お互いはそれぞれ独立した“点”同士だが、そこにはつながりが存在する。キレイ事のように聞こえてしまう程度にしか表現できないのが残念だが、私はそれを「龍塾」の中に確かに感じる。


【写真4】監督デビュー作「満月のくちづけ」を題材に、実際の現場で起こる様々について語る金田監督 久しぶりに見た「満月のくちづけ」。一瞬、「牙狼」かと思ってしまった。「牙狼」のもつ儚さは、もしかすると金田監督の持ち味の影響かもしれない。

金田監督は現在新作を準備中とのこと。できればその新作で「龍塾」の受講生と金田監督が共に磨いてきた技術を結集させてくれたら嬉しい。しかし、その一方で、私は金田監督による「牙狼」の新作もぜひ観てみたいと思っている。「牙狼」は金田作品の一部でしかないが、授業で俳優たちが見せてくれた感情のうねりと重なり合いは、まさに私が「牙狼」の金田監督作で感じたものだった。いろんな意見があるとは思うけれども、やはり「牙狼」は金田監督にとってとても特別な存在であることは間違いない。とにかく、私は金田龍の新作が早く観たいのだ。

映画監督 金田 龍のワークショップ「龍塾」第21期 受講生募集中!
詳細⇒http://www.enterjam.com/?p=221912

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

牙狼<GARO> Blu-ray BOX【Blu-ray】 [ 小西大樹 ]
価格:29539円(税込、送料無料) (2017/6/15時点)

コメント

タイトルとURLをコピーしました