映画『無限の住人』原作者:沙村広明と三池崇史監督のトークイベント実施!


主演:木村拓哉×監督:三池崇史という、日本映画界が世界に誇る“最強タッグ”で挑む、規格外アクションエンターテインメント『無限の住人』が現在公開中。

「アフタヌーン」創刊30周年&映画公開を記念して、原作者・沙村広明先生と三池崇史監督によるトークイベントを開催された。

「無限の住人」原作者・沙村広明と三池崇史監督が会うのは今回のイベントで2回目。初対面は映画『無限の住人』の撮影が行われていた2015年12月の京都の撮影所で、丁度その日は、木村拓哉が演じる不死身の男・万次と市川海老蔵が演じる閑馬永空(しずまえいくう)のバトルシーンの撮影日だったとのこと。沙村は「防寒着をフル装備でも寒かったのですが、木村さんは着流しに草履という出で立ちで、撮影中もそのまま。その様子を拝見して感謝の気持ちでいっぱいになりました。非常に素晴らしい体験をさせていただきました」と極寒の京都での撮影を振り返り、三池監督は「キャストの皆さんも楽しんでいました。“サインを貰おうぜ”と興奮していました(笑)」と、キャスト・スタッフ陣が沙村先生の撮影所訪問に興奮していたことを明かすと、沙村は木村から台本へのサインを頼まれたことを思い出し「驚いたのと寒くて手がかじかんでしまっており、“木村拓哉さんへ”って自分で書いた字が読めないんです。平謝りだったけれど、木村さんは『これで頑張れます』って笑ってくれました。今思い返しても書き直したいです…(笑)」と、木村とのエピソードも披露した。

続いて、MCからお互いの作品の印象について問われると沙村は「『DEAD OR ALIVE』シリーズ、『漂流街 THE HAZARD CITY』、『殺し屋1』などを拝見させていただいていて、どの作品も大好きです。そして三池監督の作品は、必ず印象に残るシーンがあります。一番印象に残っているのは『漂流街』冒頭の砂漠のシーンで、政府の取締役が不法外国人をバスで送るんです。アリゾナの荒れ地みたいなところで撮っていると思ったら、最後のテロップで“埼玉県戸田市”と出てきて(笑)。その演出は衝撃的でとても勉強になりました。」とコメント。三池監督は「ありがとうございます。作品全体の出来より“瞬間”を強く感じさせたいので、そういった連続になるといいなと思っています」と沙村に感謝を述べた。

続けて「漫画は物語を作りながら絵を描く、この絵を描きたいのでこのシーンを作る、というようにどちらから作ってもいいという部分がうらやましい。映画は集団で作ります。キャスト・スタッフまで入れると200人くらい関わってくるので、バックアップを受けながらでしょうが、結果的に1人で表現するものを本当は作りたい」と漫画と映画の違いについて言及。沙村は「漫画はローコストです。出来るのも早いし、作品の良し悪しは、漫画家と担当の二人の責任。映画やアニメですと、監督がベストを尽くしても事務所やプロモーションなどで作品が不遇になっていきますよね。映画では撮るシーンをシナリオが出来上がって全体像が見えてから撮り始めると思いますが、連載漫画だと当初とは違うものになっていくんです。このキャラを殺そうと読み返すと、意外とそのキャラを描写していなかったり、予想外のキャラが人気になっている、といったこともあります」と実際に漫画を描いている際に起きることを教えてくれた。

そして三池監督は「万次は描き始めたときはどうだったの?」と、当初のキャラクターと現在とギャップについて問いかけると、沙村は「若い時はこのキャラを20年描くとは思っていなかったので、連載5年目くらいから、なんで不死身にしたのか…と後悔しました(笑)」と苦笑い。「全部で30巻あるんですが、万次がどうやったら死ぬのかというのが途中で解明されます。もっと序盤で明かしていたら、もう少しサスペンスぽく駆け引きみたいな戦いを出すことが出来たかも、と思うこともあります」と、今だから話せる裏話を明かした。

好きなキャラクターについてMCから問われると、沙村は「槇絵(まきえ)」と即答。「戸田さんの脚が本当に良いですね。実際に槇絵は、あの脚の美しさを描いたんです。」とコメント。三池監督は「百琳(ひゃくりん)も好きですが、やっぱり尸良が好きです。尸良はあまりにひどい奴なので苦労したんですが、実は撮った半分しか映画のシーンに入っていないんです(笑)。日本以外の北米やヨーロッパなどで公開する本編では、尸良ノーカットバージョンを復活させています。尸良を観たい人は、海外バージョンでぜひ観てください」と、それぞれのお気に入りのキャラクターとともに制作秘話を教えてくれた。

映画でキャラクターを演じたキャストへと話は掘り下げられ、MCより“本作でホレ直した俳優、女優”について問われると、沙村は「海老蔵さんです。映画の話が来て出演キャストを伺った際に、違和感があったのは海老蔵さんでした。閑馬永空(しずまえいくう)はゾンビのイメージだったので、海老蔵さんの目力は強すぎると思ったんです。しかし撮影現場で万次と閑馬のシーンを見させていただいて、本当に死者の息遣いを感じる。凄かったです。木村さんも素晴らしかった。よく“木村拓哉は木村拓哉しかできない”という人がいるんですが、スターとはそういうもの。チャールズ・ブロンソンも、チャールズ・ブロンソンしかできない。万次役は木村さんで本当に良かった」と木村演じる万次の魅力を力説した。

三池監督は「スターというのは、その役と自分自身が無関係ではいることが出来ない。20年以上前に沙村先生が原稿を編集部へ持ち込んだ時は、海老蔵はまだ歌舞伎をやるかどうか分からない時だった。たまたま映画化されて、閑馬の役は海老蔵が良いとなり、奇跡的にスケジュールが空いた。木村拓哉も、その時置かれた状況と役者としてのポテンシャルがついてくるというのは、彼らの特殊な能力だと思います。木村とは初めて一緒に仕事をしたけど、滑稽なくらいに真剣。彼の気迫によって、私たちスタッフも変わりました。共演者の福士蒼汰も、始めは探り探り芝居をしていたが、木村を見て自分の持っている以上のものを見せなければと引っ張られ、初めて時代劇をやる人物から見ることのできない表情をみせるようになった」と木村さんの魅力について熱を込めて語った。

また沙村は「原作のある映画を撮られると、原作ファンから文句を言われますが、むしろ私はアレンジしていただいた方が楽しいです。原作と違うところをマイナスと捉えないで、楽しめるようになってくれたらなと思っています。映画としては100点の出来で仕上げていただきました。予想した通りの作品になっていると思います」と作品を絶賛。三池監督は「不死身の万次が、今の時代にどんな姿になっているのか、できれば会ってみたい。万次を演じている姿とオフの時の木村拓哉と時間を共にしてきました。これは個人的に思うところですが、万次と木村がリンクする瞬間があって、その傷はどうやって治したのか、思わず聞いてみたくなることもありました(笑)。先生もその気になったら、ぜひ現代の万次を表現して欲しい」と希望。沙村は、実はハリウッドから映画化のオファーがあったことを明し、その脚本がなんと万次が現在のニューヨークで活躍する設定だったことも披露し、「短編や続編を書きたくなってきた」とファンも驚きのコメントも飛び出した。

最後に三池監督が今月18日(現地時間)に行われるカンヌ国際映画祭での本作の上映ついて「本当に嬉しく思います。タキシードを着てドレスを着て、作品を持ってレッドカーペットを歩き、あっという間に上映が終了する。全員タキシードという非日常的な空間で映画を楽しむのはカンヌだけとは言えませんが、とても凄いことだと思います。コンペティション部門には、過去2回選出されたのですが、今回の“特別招待作品”は数千作品の中の一握りの数での選出です。優劣をつけるコンペティションとは異なり、優劣を超越して映画を楽しむ部門です。今から、向こうの人々の反応も含めて楽しみです」とコメントを寄せ、沙村は「映画を観たTwitterで呟いている人の中で、作品を悪く言っている人が、本当に誰もいないんです。素晴らしい作品に出来上がっています。ぜひ映画を観ていただきたいです」と再び大絶賛し、スペシャルトークイベントは興奮に満ちたまま終了した。

『無限の住人』
2017年4月29日(土・祝) 全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)沙村広明/講談社 (C)2017映画「無限の住人」製作委員会
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/mugen/

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