『哭声/コクソン』ナ・ホンジン監督がファン・ジョンミンを助演で起用したワケ


『チェイサー』『哀しき獣』のナ・ホンジン監督最新作で、昨年韓国で観客動員数700万人に迫る大ヒットを記録した究極のサスペンス・スリラー『哭声/コクソン』 が、3月11日よりシネマート新宿ほかにて公開となる。

日本公開を直前控え、1月に来日していたナ・ホンジン監督が、祈祷師イルグァン役にファン・ジョンミンをキャスティングした驚きのきっかけを語った。

村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発し、事件を担当することになった村の警官ジョング(クァク・ドウォン)は、ある日自分の娘に殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付き、医者に見せても原因は分からず、日々様子がおかしくなっていくのを見かねたジョングの義母の勧めで、腕が立つらしいと評判の祈祷師が呼び寄せられる。ジョンミンが演じているのは、圧倒的なカリスマ性といかがわしさを兼ね備えるこの祈祷師イルグァンだ。

ジョンミンは、最近だけでも『華麗なるリベンジ』『ベテラン』『国際市場で逢いましょう』など立て続けに話題作に主演し、出演した作品は韓国で必ず大ヒットする国民的俳優としての地位を確立しているが、監督によると、彼を本作にキャスティングすることになったきっかけには不思議な縁があったようだ。

イルグァン役のキャスティングに難航していた監督は、シナリオの手直しに専念しようと江原道の海辺の町ソクチョに向かったという。その道中、ひどい強風で事故に巻き込まれそうになったり、山中で10分にも渡ってイノシシに道をふさがれたりと摩訶不思議な体験をした監督が、宿に着きひと息つくために付けたテレビでたまたま放送していたのがジョンミンの出演する『新しき世界』だったという。ジョンミンはこの作品で2013年の青龍映画賞主演男優賞を獲得しているが、公開当時、監督は映画館に観に行ったものの事情があり途中までしか観ることができなかったそう。テレビはちょうどその続きのシーンから始まり、ジョンミンの演技に感服した監督は、その時『ベテラン』の撮影中だったリュ・スンワン監督に電話し仲裁を頼んだというのだ。その頃、祈祷についてリサーチをしていたという監督は、「その時期の自分は目に見えないものをすごく重要視していて、そういう不思議な経験の影響もあったと思います」とこの時の経験がキャスティングの背中を押したことを認めている。

また、監督は、主人公と助演として出演する時のジョンミンに大きな違いを感じていたといい、「主演だと作品全体に配慮しなればならないせいなのか、助演の時の方がより独創的な演技ができる人ではないかと思っていました」と持論を展開。完成した映像を見て、「やはり彼は自由に何のプレッシャーもなくキャラクターに集中し、素晴らしい演技を見せてくれましたが、除霊の場面での彼は演技というより祈祷師そのものでしたね。ただの演技であれは成し遂げられない」と絶賛。ジョンミン自身は、撮影前には自分にできるのか不安を感じていたというが、「声と僕自身がひとつになり完全に無我の境地に達して、我を忘れて跳ね回りましたが、自分がやっているのに自分で驚いた瞬間が何度かありました」と自分自身の演技について振り返っている。

娘を助けるために奔走する主人公ジョングをさらなる混乱に陥れ、映画の大きなハイライトシーンであるイルグァンによる7分以上にも及ぶ除霊シーンを見ると、ふたりのこの言葉に誰もが納得することだろう。

【ストーリー】
平和な田舎の村に、得体の知れないよそ者がやってくる。彼がいつ、そしてなぜこの村に来たのかを誰も知らない。この男についての謎めいた噂が広がるにつれて、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発していく。そして必ず殺人を犯した村人は、濁った眼に湿疹で爛れた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだ。事件を担当する村の警官ジョングは、ある日自分の娘に、殺人犯たちと同じ湿疹があることに気付く。ジョングが娘を救うためによそ者を追い詰めていくが、そのことで村は混乱の渦となっていき、誰も想像てきない結末へと走り出す―

『哭声/コクソン』
3月11日、シネマート新宿他にて公開
配給:クロックワークス
©2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION
公式サイト:http://kokuson.com/

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