「片腕マシンガール」「電人ザボーガー」の井口昇の監督最新作『スレイブメン』が3月10日(金)より全国ロードショーとなる。
今回、映画の公開を記念して、主演のスレイブメン=しまだやすゆきを演じた中村優一さんと、井口昇監督にインタビューを敢行!いろいろと興味深いお話を伺ってきました!
主人公の冴えない自主映画監督・しまだやすゆきが悲劇のダークヒーロー”スレイブメン”となって戦う姿を描く本作。主演は「仮面ライダー響鬼」「仮面ライダー電王」の平成ライダー作品に出演し、圧倒的な人気を博した中村優一。映画、ドラマ、舞台などで活躍し、一度は芸能界を引退するが、2014年に俳優業を再開。本作では、映像オタクで気弱なヒーローという新境地の役に挑戦している。ヒロインには、映画やドラマで活躍する新進女優の奥田佳弥子(『血まみれスケバンチェーンソー』)。しまだとは敵対する学生時代の同級生に阿部亮平(『SCOOP!』『HiGH&LOW』)。そして、スレイブメンのマスクを狙い、しまだを追い詰める男にベテラン俳優・津田寛治が扮し、作品を盛り上げる!
■「スレイブメン」予告
—中村さんといえば仮面ライダーゼロノスの印象がとても強いですが、今回「スレイブメン」という異色のヒーローを演じる上で気を付けたことは?
中村:僕が演じたしまだやすゆきは、気が弱くて、いじめられっ子気質の冴えない人間だけど、映像を撮るということや、カメラに対してとても強い執着心を持った男なので、まずはそれを忘れずにいようと心掛けました。あとは、そんな冴えない男が恋をしてヒーローになる、ちょっとカッコよくなっていく過程を大切にしたいと思って臨みました。
—井口監督はどういう演技指導をされたんですか?
井口監督:まずイケメンの皮を剝がすところから始めました(笑)。モテない男の心理をシミュレーションして下さいと。「その芝居だとモテるぞ!もっとモテなくしてくれ!」みたいな(笑)。
—けっこうダメ出しされたんですね
中村:僕に対してのダメ出しは特に強かった気がします(笑)
井口監督:普段はあまり言わないですけどね。今回はかなり厳しく言いました。
—まさか中村さんがイケメンだから強く当たったわけじゃないですよね!?
井口監督:リアリズムの追求ですよ(笑)主人公はモテない男ですから、カッコいい動きをしちゃいけないんです!常に全身から哀しいオーラを出して欲しかったんです!
中村:喋り方ひとつとっても、すごく細かく指導されました。ちょっと甘ったれた喋り方というか。
井口監督:喋っていて殴りたくなるような感じ(笑)
中村:映画の序盤はとくにそれが顕著ですよね。猫背で委縮してて喋り方もイライラする感じで(笑)
—そこから主人公はヒーローになって自信を付けていくわけですね。ちなみに本作はタイトルが『スレイブメン』ですが、複数形にした意味はあるんですか?
井口監督:これはね、実は3つ意味があるんですよ。よくぞ聞いてくれました! まず1つ目は「メン」にしたほうがカッコよく聞こえると思ったからです!
—それ「エックスメン」のパクリじゃないですか!
井口監督:「エックスメン」風でスケールが大きい感じに聞こえるでしょ?(笑) 2つ目は、これは真面目に作品の本質に触れる話なんですけど、完全にネタバレになっちゃうから言えない(笑)。まあ、要するに(ネタバレ回避のためカットします!スイマセン!)
—なるほどね! でも映画を観たらきっと分かると思いますよ。 3つ目は?
井口監督:3つ目? えーっと、、、
—自分で3つあるって言ってじゃないですか!
中村:適当すぎですよ(笑)
井口監督:ちょっと待ってね、今考えるから。あ、そうそう、「スレイブメン」の方が女子に行きたくなりそうなタイトルだから。デートに使えそうと思ってくれるかもしれない!
—本当に!?それで良いんですね?
井口監督:デートムービーっぽくしたいっていう気持ちは本当ですよ!だって「エックスマンを観に行こう!」とはならないでしょ!?「メン」の方が見栄えも響きも良いということですよ!
—なんか1つ目の理由とあまり変わらない気がするけど・・・。話を戻します!中村さんは一度、芸能界を引退されていましたが、復帰後に井口監督のワークショップに参加したそうですね。なぜ井口監督を選ばれたんですか?
中村:それは事務所の方からの推薦があったんです。ぜひ井口監督にやって頂きたいと。
井口監督:わかってらっしゃる。
中村:僕は復帰するまでの間、5.6年ほど完全にお芝居から離れていましたから、復帰するにあたりもう一度勉強しようことで井口監督のワークショップに参加させて頂きました。とても濃い場所でした(笑)
—まさか初日からブリーフ一丁にされたわけじゃないですよね!?
中村:さすがにそれは無かったです(笑)
井口監督:実は結構まともなんですよ。夫婦の日常会話とか、ちゃんと基礎からやります。これが意外と難しくて出来ないんですよ。
—でも中村さんはお芝居をやっていたんですから、出来たんじゃないですか?
中村:いやいや!まず人前で演じることが久しぶりだったので緊張しっぱなしでした!
—そのワークショップはどれくらいやられたんですか?
中村:1年くらい続きました。
井口監督:トータルでそれくらいやったね。
—「スレイブメン」自体がワークショップの卒業制作として企画が始まったと聞きました。
井口監督:そうですね。最初は漠然と恋愛映画で考えていたんです。そこから予算も増えてヒーロー映画になっていきました。ただ普通にヒーローものをやってもパターンにはまりがちなので「恋愛」とか「自分勝手な男」とか「自撮りするヒーロー」とか新しい要素を入れていきました。
中村:ちなみに劇中の自撮り映像は、実際に僕が撮っているものなんですよ。なので井口監督からは撮影指導も受けました(笑)自分で画角を気にしながら撮影して、同時に台詞も言わないといけないので意外と難しかったです。
—新しいなと思った要素で、スレイブメンがスキャンすると相手が消滅して、さらに運命が変わるという所がとても面白かったです。このアイデアはどこから出てきたんですか?
井口監督:今のSNS全盛の時代を俯瞰すると、「撮る」ということ自体が暴力に感じることが多いですよね。リベンジポルノとか、飲食店でのバカッターとか、撮ることで相手を潰すことって簡単に出来るんだなってよく思ってたんですよ。そういう事を象徴的に映像で表現したいなと考えていて、スレイブメンでは「撃つ」代わりに「撮る」ことで相手の存在を消すということを現代社会の風刺も含めてやれたらいいなと思って考えました。あと、自撮りって80年代ではモテない映画少年しかやってなかった行為ですよね。それが今や、可愛い女の子がやっているわけですから、驚愕しっぱなしですよ僕は!
—恐ろしい時代になりましたねぇ。今回は撮影期間が短かったようですが中村さんは撮影中どうでした?
中村:僕はむしろ集中してやれたと思います。時間がないからミスも許されませんからね(笑)ワンカット、ワンカットものすごく集中して臨みました。監督と同じで「とにかく突き進むしかない!」という感じでした。カットごとに振り返って反省している余裕もないのが逆に良かったのかもしれないです。
井口監督:とにかく行くしかなかったもんね。
—低予算と言いながらもVFXのクオリティも高かったですね。スレイブヘッドの中の映像とか超カッコよかったです。
井口監督:実はあれ作ったの高校生なんですよ。
—は?
井口監督:スタッフの知り合いでVFXを勉強している高校生にやってもらったんです。
—それ凄くないですか?アイアンマンみたいな事になってましたよ!?
井口監督:実際「アイアンマンにして」ってお願いしましたから。でも高校生だし、ちょっと歯車が見えるくらいの感じになるかなと思ってたんですよ。完成した素材を見たら「本当にアイアンマンになっているじゃないかぁ!」って(笑)
—とんでもないクオリティでしたね!
井口監督:ただ、彼の夏休みはこの映画のために全部使ってしまったんですよ。高校3年生の1番大事な時期の夏休みを・・・。
—受験勉強しなきゃいけないのに!人生に影響が出てしまう時期じゃないですか!これは井口組に入れてあげるしかないですね。
井口監督:本当に彼のおかげで作品がクオリティアップしました。彼は今後、間違いなくVFXアーティストとして引っ張りだこになりますよ。
—すごい才能を発掘しましたね! では最後にメッセージをお願いします!
中村:僕が俳優復帰するにあたって、井口監督から学んだ事がこの映画に出ていると思います。とにかく面白い作品になっています。自分でアクションをやったり体も張りました。沢山の方にこの映画を観て頂いて、さらに井口監督の面白さもお届けしたいです。どうぞよろしくお願いします!
井口監督:ヒーロー映画ってある程度やり尽くされていまっているので、僕は表面的なアクションではなく内面に向かっていくような、個人の思いだけの戦いをするヒーローを描きたかったんです。そういう意味では新境地を行けたのではないかと思っています。テーマ的にも先駆的な事をやっているので5年後には神映画と呼ばれているかもしれませんよ!
—ありがとうございました!
『スレイブメン』
3月10日(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国ロードショー
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
© 2017「スレイブメン」製作委員会
公式HP:slaveman-movie.com/
電人ザボーガー【Blu-ray】 [ 板尾創路 ] |
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